ゴルコンダが前走のペースで行くなら…
8月31日(土)に札幌競馬場で行われるのは札幌2歳S(GⅢ・芝1800m)。夏競馬期間の平地重賞としては唯一土曜日に行われる一戦だ。前走を大差勝ちしたゴルコンダが圧倒的な人気になると予想されるが、同馬の扱いをどうすべきか、その他で配当妙味のある馬はどれか、検討していこう。
まずはレース展開や馬場傾向、コースの特徴といった点を分析していく。展開の鍵を握りそうな逃げ馬は前述のゴルコンダ。その他はアールクインダムくらいで、出遅れでもない限りゴルコンダが逃げそうだ。
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上記の表を見ると、元々2、3着に差し・追い込み馬がよく入るレースだが、2014年以降はさらに差し馬が台頭するようになった。想定する逃げ馬のゴルコンダはデビュー戦をためる競馬で3着に敗れ、前走は今回と同じ条件で、前半1000m通過59.6秒というハイペースの逃げで圧勝。
この過程を考えれば今回も速いペースで逃げたいはずだ。前半59.6秒という数字は過去10年の札幌2歳Sで最も前半が速かった昨年よりもさらに1秒近く速いため、単純に前回同様のペースで逃げるなら昨年以上に展開は差し馬有利になるだろう。
コース傾向と馬場状態からも外差し狙い
過去3年、札幌芝1800mの枠番別成績を見ると7・8枠の勝率が高く、やや外枠有利の傾向がある。一方で1枠の複勝率も高く、内枠が全くダメということでもない。勝率を比較すると真ん中辺りの枠がよくないが、1コーナーまでの距離が短いため、そこでゴチャつきやすいということだろうか。
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先週の馬場傾向を思い起こしても、土曜は内め、先行馬の好走が見られたが、日曜は外差し傾向が加速した。
キーンランドCは川田騎手自身が述べたように、“かなり外を回らされた”ダノンスマッシュが快勝、人気薄で4着に入ったライトオンキューも外から追い込んできた馬だった。開催が進んでセオリー通り外差しにシフトしていくならば、前項で述べた展開面も含めて狙いは差し、追い込み馬ということになるだろう。
先週の反省を生かして
先週の新潟2歳Sで本命にしたグランチェイサーは、出遅れた上に道中で完全にヒートアップしてしまい、レースにならず最下位に大敗。改めて2歳馬の難しさを痛感する結果となった。
新馬戦から行きっぷりがよく、馬群を割る根性も見せた馬だけに、2戦目の距離延長をこなすには気性が前向きすぎたか。この反省を生かして今週は、レースを使ってパフォーマンスが向上しそうなタイプを狙う。
本命はブラックホール。道中の追走にやや苦労する面と、エンジンのかかりの遅さは父ゴールドシップをほうふつさせる。新馬戦は追われ続けてようやくゴール前でエンジンがかかったようなレースぶり。差し遅れて2着となったが、ゴール前の足は出色だった。
前走はそれを踏まえて石川騎手が向正面からムチを入れて促す好騎乗できっちりと勝ち上がった。こういうタイプはコーナーで外を回って仕掛けざるを得ないため、函館よりコーナーの緩い札幌の方が戦いやすいし、馬場傾向や展開面の狙いとも合致する。
対抗にはゴルコンダ。そもそもブラックホール本命の理由がゴルコンダのつくるペースをアテにしているように、前走の着差を素直に評価した。「前走逃げて圧勝」という人気馬は、過去にウィクトーリア、タガノアシュラなどがいたが、このレースと相性が悪いイメージもある。しかし、この馬の場合は新馬戦で控える競馬を経験していて、暴走するような面もなかっただけに心配無用だろう。
ダーリントンホールも新馬戦の勝ち方にはゆとりを感じたし、まだまだ伸びしろがあるように映る。ただ、ゴルコンダを重視してこちらも買うとなるとオッズ的に苦しく、買い方に工夫が必要だ。
以下、差し追い込み馬からレザネフォールとエイリアス、ホッカイドウ競馬のヨハネスボーイまでが△評価。エイリアスは1500mの前走が道中忙しそうだったので、距離延長は意外と合うのではないだろうか。
▽札幌2歳S予想▽
◎ブラックホール
○ゴルコンダ
▲ダーリントンホール
△レザネフォール
△エイリアス
△ヨハネスボーイ
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東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」でも予想を公開中。