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巴賞→函館記念は勝率0% 狙うは他場からの参戦馬

2019 7/12 11:00門田光生
2019年の函館記念で本命に推されたポポカテペトル
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Ⓒ明石智子

巴賞組有利は過去のもの?

サマー2000シリーズの初戦、七夕賞はミッキースワローが差し切って優勝。◎を打ったクレッシェンドラヴは思った通りの騎乗で2着に来てくれたが、肝心の勝ち馬がノーマーク。

思えば、ミッキースワローは3歳時に福島でもったいない騎乗があって3着に敗れていることがあった。鞍上の菊沢騎手はその時以来の騎乗となったが、経験を積んで確実に成長した姿を見せてくれた。何も学んでいなかったのは筆者の方か。

さて、先週に引き続いてサマー2000対象のレース、函館記念が行われる。函館記念と聞いて、まず思い出すのがエリモハリアー。このレースを3連覇して「函館の申し子」などと呼ばれたのが懐かしい。エリモハリアーは10歳まで現役を続け、函館記念に何と5回も挑戦している。3連覇した時の前哨戦はいずれも巴賞で、着外に終わった2回は別のレースを使っていた。

となると、見えてくるのが巴賞→函館記念のローテーション。同馬が3連覇したのは10年以上前の話なので今回のデータの範囲外だが、もちろんこの傾向が生きていると思っていたが、全く逆の結果が出た。

過去10年の函館記念出走馬の前走の競馬場・前走のレース別データⒸSPAIA

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上に挙げた2つの表を見ればわかるが、函館で行われたここ10年(2009年は札幌開催)、前走で函館を使った馬の勝率は0%。

もちろん、前哨戦であるはずの巴賞を経由した馬も全く勝っていないことになる(札幌で行われた2009年の函館記念は巴賞組が1~3着を独占している)。ちなみに、最も勝利数が多いのは東京。特に目黒記念を使った組が3勝と好結果を出している。

過去10年の函館記念出走馬の前走距離別のレースデータⒸSPAIA

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巴賞は1800m、目黒記念は2500m。函館記念は2000mだから、巴賞組は距離延長、目黒記念組は距離短縮になる。全ての出走馬のデータを見ても、前走から距離短縮している組の数字がいい。

過去10年の函館記念出走馬の前走クラス別のレースデータⒸSPAIA

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続いて前走の格。ここも同じで、巴賞を含むオープン特別組より、目黒記念を含むGⅡ組の方が数字がいい。ちなみに1998年~2007年は巴賞組が5勝と圧倒的。エリモハリアーの3勝を含めているといっても、この時代はきちんと前哨戦として機能していたということになる。函館開催が短くなった影響も関係しているのか分からないが、ともかく今は巴賞組が苦戦の傾向にあるのは間違いない。

前へ行く組が断然!

続いて年齢。4歳と7歳以上の連対率がいい。ただ勝率に関してはそれほど差はなく、迷った時の選択肢として挙げておく。

過去10年の函館記念出走馬の年齢・ハンデ別のレースデータⒸSPAIA

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ハンデだが、軽量よりハンデを課せられている馬の成績がいい。ただ、ハンデを背負っている実績馬が活躍しているからといって人気通りに収まっているわけではなく、むしろ荒れるレースとして有名。近走くすぶって人気を落としている実績馬が狙いになるか。

過去10年の函館記念出走馬の脚質別のレースデータⒸSPAIA

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最後に挙げる脚質のデータが最も顕著。後方待機馬、特に追い込みの数字がひどい。とにかく先行できる足がないとつらそうだ。

今回は3頭BOXで勝負!

そろそろまとめに入る。

①前走函館組は×、東京組は◎
②前走から距離短縮の馬が優勢
③前走が条件戦だったり、ハンデが軽すぎると×
④逃げ、先行が圧倒的有利。特に追い込み馬は絶望的
となる。

今回、函館記念に16頭の登録があったのだが、その半分以上が巴賞組。巴賞組は前走函館、距離延長とマイナス材料が2つもあるので今回は軽視。それ以外ではブラックバゴ、メートルダールが分の悪い差し、追い込み脚質なのでこれも除外。実力馬エアスピネルは前走から距離延長なのと、挙げてはいないが、ここ10年で4か月以上間隔があいている馬は一度も馬券圏内に来ていないマイナスデータもある。ゴールドギアは前走が条件戦だし脚質も微妙。ともにパス。

残ったのはステイフーリッシュ、ポポカテペトル、レッドローゼスの3頭だけ。特にポポカテペトルは相性のいい東京経由、しかもここ10年で3勝している目黒記念組。不良馬場だったとはいえ菊花賞で3着の実績があり、重賞でも格負けはしない。残る2頭はともにステイゴールド産駒。先週のクレッシェンドラヴもそうだが、小回りの2000mはこの父の産駒は外せないところ。

今週もこのレースは「サマーSPAIAシリーズ」対象レース。予想はポポカテペトル、ステイフーリッシュ、レッドローゼスの馬連BOX1000円ずつ。押さえにワイドBOXを600円ずつ。200円余るので、ポポカテペトル-レッドローゼスの馬連に追加する。

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想や「最終逆転」コーナーを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記を執筆中。