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【七夕賞】4歳馬の連対率33.3% 今年願いがかなうのはあの馬

2019 7/5 11:00門田光生
2019年七夕賞で本命に推されたクレッシェンドラヴⒸ明石智子
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Ⓒ明石智子

梅雨の時期の難しさ

CBC賞は激しい雨の中、行われた。相当馬場が悪かったと思うが、1、2番人気ともに馬券圏内に入って大荒れとはならなかった。勝ちにこだわって◎を打ったセイウンコウセイは直線半ばで力尽きて3着。1、2、4着馬が後方待機馬だったことを考えると、ちょっとペースが速かったのかもしれない。

「逃げた馬は勝てない」とデータに出ていたので、某漫画の主人公と同じく「逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだ」と祈っていたが、残念ながらハナを切ってしまった。このあたりの読みの甘さがどうも抜けない。「レッドアンシェルは軸として堅そう」と書きながら、あえてセイウンコウセイからいって外すのだからどうしようもない。

データが当たっていても馬券が当たらないのは、己の推理力に乏しいから。前職から今の仕事形態になるまで馬券に半年以上のブランクがあったのだが、思った以上に影響があるようだ。このままでは財布の中身が力尽きてしまうのも時間の問題である。

《先週の予想記事》
【CBC賞】前走GⅠ組の勝率は4.5% それでもセイウンコウセイ本命の理由とは?

さて、今週行われる七夕賞はサマー2000シリーズの初戦。サマーシリーズ2000は七夕賞から始まって、函館記念、小倉記念、札幌記念、そして新潟記念の5レースが対象。そのうち、4レースがハンデ戦となっている。

ハンデは実績馬との差を埋めるためのもの。当然ながら格下が実績馬を負かす確率も高くなるはず。ましてや「格より出来」の夏である。というわけで、ハンデ戦である七夕賞で下克上は本当に可能なのか?過去10回(2011年は中山開催のため除く)で調べてみた。

七夕賞出走馬のハンデⒸSPAIA

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まずは過去の出走馬のハンデを調べてみた。勝利数、勝率ともに55.5~57キロを背負っている馬がトップ。このくらいのハンデを背負うのはある程度実績のある馬。早くも暗雲が立ち込めてきた。

夏は格より出来

続いて前走着順。前走で好走している馬の成績が断然いい。

七夕賞出走馬の前走着順ⒸSPAIA

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前述したように「夏は格より出来」の格言通りの成績といっていいだろう。よって、大敗からの巻き返しは厳しいといえる。

七夕賞出走馬の前走着差ⒸSPAIA

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続いて前走の着差。勝利している馬より1秒以内に負けている馬の数字がいい。これはハンデ戦だから、勝って実力以上の斤量を課せられるより、僅差負けで据え置き、ないし斤量減の馬が有利ということだろう。

七夕賞出走馬の前走クラスⒸSPAIA

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上記は前走クラスを表にしたもの。オープン特別からの参戦組がトップ。続いて重賞を使った組。前走で条件戦を走っている馬の下克上は、これまた厳しくなってきた。

七夕賞出走馬の年齢ⒸSPAIA

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最後に年齢。サンプル数は少ないものの、4歳馬の成績のよさが目立つ。逆に7歳以上の数字がさっぱり。高齢馬には厳しい戦いが待っているようだ。

狙いはクレッシェンドラヴ

前章の表から考えられることは、
①前走で条件戦を走っている軽ハンデ組は厳しい。狙いは前走オープンを走った馬
②前走で好走している、出来のいい馬が有利。ただし、勝っている馬は割引
③ハンデはある程度背負っていても問題なし
④4歳馬。7歳以上は厳しい

七夕賞に関していえば、下克上は厳しいようだ。かといって前走で重賞を使っている馬が有利かといえばそうでもない。狙いは「前走でオープン特別を僅差で敗れて、なおかつある程度ハンデを背負っている4歳馬」となる。

いつもデータを出してから登録馬を見るのだが、今年は前走で条件戦を使った馬が何とゼロ。最軽量も54キロと軽ハンデと言える馬がいない。

絞りづらくなったが、上記にできるだけ当てはまった馬は「前走がオープンで善戦、ある程度の斤量を背負っている」クレッシェンドラヴと、「前走で善戦し、ある程度の斤量を背負っている4歳馬」のロシュフォールの2頭。CBC賞と同じく、二択になったが、今回は福島への適性を加味してクレッシェンドラヴを上に取る。

前走は小回りでよく見られる外を回った待機馬が台頭するレースで、ステイゴールド産駒である同馬が得意とする展開でもあった。ステイゴールド産駒は近10年で、福島芝2000mでの勝利数が22勝と断トツで多い種牡馬(ちなみに2位は12勝)。

何より、クレッシェンドラヴは2017年の8月に新潟を使って以来、中山、函館、福島と徹底して直線の短いコースばかりを使っている。陣営もこの馬の特徴を加味しての選択だろうし、それが当たって現在オープンまで上り詰めた。その執念がこの福島で報われていいだろう。

相手はもちろんロシュフォール。こちらは逆に新馬戦で中山を使って以降は広いコースばかりを使われている。小回りコースへの適性は「?」だが、データ的に相性のいい4歳馬というのは大きい。

ほかはデータ的に一長一短だが、ロシュフォールの小回り適性が不明なので押さえ馬券も必要と判断したい。もう1頭の4歳タニノフランケル、前走で好走し、成績のいい57キロのハンデを背負うブラックスピネル、そしてサマー2000の記事で有力候補に挙げた一頭、クリノヤマトノオーも入れておく。

今回はサマーシリーズの一つなので、「サマーSPAIAシリーズ」の対象レース。クレッシェンドラヴからロシュフォールへ2000円、タニンフランケル、ブラックスピネル、クリノヤマトノオーへ馬連1000円ずつで勝負。

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想や「最終逆転」コーナーを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記を執筆中。

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