「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

【共同通信杯】蛯名正義騎手が最多4勝、ディーマジェスティなど7度の馬券内 東の登竜門を「記録」で振り返る

2025 2/10 19:00緒方きしん
共同通信杯の「記録」,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

6番人気22.6倍で勝利したディーマジェスティ

今週は共同通信杯が開催される。古くはカブラヤオーやテンポイント、ミスターシービーにダイナガリバーらが勝利した伝統の一戦。平成以降もナリタブライアンやジャングルポケット、ゴールドシップやスワーヴリチャードといった名馬たちが勝利をあげてきた。

近5年でもエフフォーリアやジャスティンミラノが後にGⅠを制しており、見逃せない一戦だ。今回はそんな共同通信杯の記録を振り返る。なお、データは1986年以降のものを使用する。

まずは勝ち馬の単勝オッズにまつわる記録から。共同通信杯を単勝1倍台で制した馬は過去に9頭。単勝1.2倍の圧倒的支持に応えたナリタブライアンやエルコンドルパサーを筆頭に、ジャングルポケット、フサイチホウオー、ダイナガリバー、メジロブライト、マイネルダビテ、アイネスフウジン、サクラスピードオーが勝利を挙げた。

一方で、当時は低評価でありながらもここを制し、名馬への階段を駆け上がっていった馬もいる。共同通信杯の勝ち馬における、「単勝オッズ高配当ランキング」は以下の通り。

1位 33.0倍 ヤマニンアクロ(1999年/10番人気)
2位 22.6倍 ディーマジェスティ(2016年/6番人気)
3位 21.4倍 ショウナンアルバ(2008年/6番人気)
4位 13.6倍 オウケンムーン(2018年/6番人気)
5位 10.8倍 マイネルリマーク(1993年/4番人気)

ヤマニンアクロはデビュー戦を勝利で飾った後、札幌3歳Sで5着、東スポ杯3歳Sで4着など、馬券圏内には届かずも安定した走りを見せていた。

迎えた共同通信杯ではデビュー2連勝のマル外・グラスグラードが注目を集め、単勝1.5倍の圧倒的人気。さらにデビュー戦を完勝したドラゴンブライアンが2番人気、京成杯3着のエイシンウインダムが3番人気と続き、ヤマニンアクロは14頭立て10番人気という扱いだった。

しかし、レースが始まると果敢にハナを切り、そのまま押し切って勝利。1馬身半差の2着は13番人気キンショーテガラで、馬連1146.5倍という大波乱を巻き起こした。

2位のディーマジェスティはデビュー3戦目で勝ち上がり、ホープフルS取り消しを経て共同通信杯に出走した。

この年はホープフルSを制したハートレーが1番人気、東スポ杯2歳Sの勝ち馬スマートオーディンが2番人気で続いたなか、上がり最速の末脚で6番人気を覆す快勝。続く皐月賞も8番人気で勝ち、ダービーでも3着とクラシックを盛り上げた。

この世代といえば、マカヒキやサトノダイヤモンド、エアスピネルにリオンディーズといった逸材が躍動。皐月賞とダービーはこの5頭が掲示板を独占する結果となった。

エアスピネルは引退後に乗馬となったが、残る4頭は種牡馬として第二のステージでも激突している。ディーマジェスティ産駒ではディマイザキッドが昨年の共同通信杯で4着と健闘。ほかにもユキノロイヤルやドットクルーが重賞で3着に入ったが、まだ重賞勝ち馬は出ていない。活躍馬の登場に期待したい。


蛯名正義騎手が最多4勝で馬券内も最多タイ

上述したランキング5頭のうち、ディーマジェスティとショウナンアルバの鞍上は蛯名正義騎手だった。

共同通信杯の騎手別勝利数を見るとC.ルメール騎手、北村宏司騎手、戸崎圭太騎手、武豊騎手、柴田政人騎手、四位洋文騎手、内田博幸騎手、南井克巳と2勝している騎手が多くいるが、蛯名騎手はなんと4勝を挙げている。

つづいて、範囲を「馬券圏内」に広げてみる。馬券内の回数が多い騎手ランキングは以下の通り。

1位 7回 蛯名正義騎手、柴田善臣騎手
3位 5回 C.ルメール騎手、北村宏司騎手
5位 4回 武豊騎手、戸崎圭太騎手、岩田康誠騎手ほか2名

柴田善騎手は勝ち星こそナカヤマナイトであげた1勝のみだが、タケミカヅチなどで2着4回、マイネルブリッジとハヤテバラモンで3着を2回と、合計7度も馬券圏内を確保している。

ナカヤマナイトはオルフェーヴルと同世代の活躍馬で、父はオルフェーヴルと同じステイゴールド。皐月賞5着、ダービーでも4着と存在感を示した。特にダービーでの執念の追い込みは、印象に残っているファンも多いことだろう。

北村宏騎手とルメール騎手はいずれも2勝をあげ、他にも3度馬券圏内となっている。

ルメール騎手は2022年にジオグリフを2着に食い込ませたが、次走の皐月賞ではイクイノックスに騎乗、福永祐一騎手とコンビを組んだジオグリフに1馬身差で敗れた。

北村宏騎手はスピルバーグとのコンビが印象深い。デビューから3戦連続で手綱を取り、共同通信杯は3着。その後はしばらく背中から離れる時期もあったが、翌年秋に手が戻って以降はコンビ復活となり、2014年の天皇賞(秋)ではジェンティルドンナやイスラボニータらを相手に勝利をあげている。

今年は11頭が出走登録している共同通信杯。この中から後の名馬は現れるのか。また、馬券内回数の上位に入っている騎手も複数名参戦が予定されているだけに、ランキングの変動にも注目だ。

《関連記事》
【共同通信杯】経験より素質を重視 リスグラシューの半弟ネブラディスクに有力データ
【京都記念】「5歳以下×GⅠ組」のチェルヴィニアとソールオリエンスが中心 穴候補は「複勝率50%超」データ持つセイウンハーデス
【クイーンC】阪神JF好走ショウナンザナドゥが登場 「東京マイル」ならマピュース、レイユールの逆襲も

 コメント(0件)