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“イン突き”の岩田康誠騎手は内枠で単回収率900%超え GⅡで妙味のある騎手、厩舎を東大HCが調査

GⅡで妙味のある騎手,ⒸSPAIA
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秋競馬の開幕とともにGⅡが連続開催

長かった夏競馬も終わりを迎え、秋競馬がスタートする。

秋競馬では、GⅠに向けたトライアルやステップレースが多く並ぶ。そして、それらのレースのほとんどがGⅡだ。そこで今回は「GⅡで妙味のある騎手、調教師」をテーマにデータ分析を行う(参照するデータは2019年9月8日~2024年8月18日の過去5年分。なお、J・GⅡは除く)。


“イン突き”の岩田康誠騎手が高回収率をマーク

GⅡで妙味がある騎手,ⒸSPAIA


<GⅡで妙味がある騎手>
横山武史【11-7-11-44】勝率15.1%/連対率24.7%/複勝率39.7%/単回収率179%/複回収率106%
横山典弘【10-5-6-47】勝率14.7%/連対率22.1%/複勝率30.9%/単回収率100%/複回収率83%
岩田康誠【10-3-3-52】勝率14.7%/連対率19.1%/複勝率23.5%/単回収率361%/複回収率103%
藤岡佑介【8-4-1-37】勝率16.0%/連対率24.0%/複勝率26.0%/単回収率154%/複回収率88%
※2019年9月8日~2024年8月18日の過去5年分。J・GⅡは除く

まずはGⅡで妙味がある騎手について。単回収率が100%を超える騎手を4名紹介する。

最初に紹介するのは横山武史騎手。単回収率は179%と素晴らしい成績だ。特に、内枠が狙い目だ。データを見ると、1~5枠では【10-4-6-20】で勝率25.0%、単回収率319%と非常に優秀。その一方、6~8枠では【1-3-5-24】で勝率3.0%、単回収率9%と、かなり苦戦していることがわかる。今年の札幌記念でジオグリフを内枠から2着に導いたように、ポジションを取る形の競馬を得意としており、外枠に入った際は割引が必要だ。そのほか、中山芝1800m~2500mでの安定感が凄まじく、【5-2-5-12】で複勝率50.0%、複回収率126%とプラス域。今秋の中山開催でも頼りにしたい存在だ。

その横山武史騎手の父、横山典弘騎手は前走で馬券を外した馬を平然と好走させるのが特徴だ。前走1~3着【1-3-1-20】勝率4.0%、単回収率16%に対して、なんと前走4着以下では【9-2-5-27】勝率20.9%、単回収率148%。今年の中山記念で7番人気1着と穴を開けたマテンロウスカイも、前走は東京新聞杯5着とこの条件を満たしていた。また、息子と同じく中山競馬場が得意で、成績は【7-2-1-16】勝率26.9%、単回収率213%と、横山武史騎手を上回る数字。やはり父は偉大だ。

次に紹介するのは岩田康誠騎手。単回収率はなんと300%オーバーである。“イン突き”が代名詞ということもあり、こちらも内枠の方が好成績。5~8枠では【3-2-3-36】勝率6.8%、単回収率55%と低調なのに対して、1~4枠では【7-1-0-16】勝率29.2%、単回収率922%と衝撃的な回収率を記録している。どんな人気薄の馬に騎乗していたとしても「内枠の岩田康誠」は軽視禁物だ。なお、外枠のなかでも、8枠は例外的に【2-1-1-10】複勝率28.6%、複回収率152%とプラス域となっている点は留意したい。

最後に紹介するのは藤岡佑介騎手。今年はフェブラリーS、帝王賞を勝利と、勢いに乗っている。距離は短めの方が信頼度が高く、1600m以下では【5-3-1-16】で勝率20.0%、単回収率210%となっている。阪神コースが最も高回収率で、成績は【3-2-1-15】で単回収率224%、複回収率133%。改修終了後の阪神開催まで覚えておきたいデータだ。


手塚貴久厩舎は穴馬の激走も

GⅡで妙味がある調教師,ⒸSPAIA


<GⅡで妙味がある厩舎>
手塚貴久【8-8-6-39】勝率13.1%/連対率26.2%/複勝率36.1%/単回収率164%/複回収率120%
池添学【7-1-4-31】勝率16.3%/連対率18.6%/複勝率27.9%/単回収率128%/複回収率60%
藤原英昭【6-2-4-45】勝率10.5%/連対率14.0%/複勝率21.1%/単回収率470%/複回収率126%
杉山晴紀【4-2-2-28】勝率11.1%/連対率16.7%/複勝率22.2%/単回収率101%/複回収率112%
※2019年9月8日~2024年8月18日の過去5年分。J・GⅡは除く

次はGⅡで妙味がある厩舎について。こちらも4つ紹介する。

まずは手塚貴久厩舎。全体成績は【8-8-6-39】で単複ともに回収率は100%オーバー。なかでも、中山のGⅡで【4-6-1-19】勝率13.3%、単回収率228%と好成績だ。また、前走からの距離延長が好走パターンとなっており、成績は【4-2-4-14】単回収率276%、複回収率200%。2023年京王杯2歳Sで9番人気3着のオーキッドロマンスや2022年AJCCで11番人気2着のマイネルファンロンなど、人気薄からの激走例も多くあり、該当馬がいればぜひ狙いたい。

次に取り上げるのは池添学厩舎。短距離、マイルよりも、中長距離での信頼度が高いのが特徴だ。1600m以下では【0-1-0-14】複勝率6.7%、複回収率9%に対して、1800m以上では【7-0-4-17】勝率25.0%、単回収率197%と、好走率、妙味ともに大きな差が生まれている。外国人騎手を起用するイメージがある厩舎だが、GⅡにおいては意外にも【0-0-0-2】で馬券に絡んでいない。

続いては藤原英昭厩舎。西開催と東開催での成績の違いに注目したい。東開催では【1-1-1-16】で勝率5.3%、単回収率32%と振るっていない反面、西開催では【5-1-3-27】勝率13.9%、単回収率727%と優秀な成績を残している。東京、中山のGⅡでは大きく割り引きたい。また、前走4着以下からの巻き返しも多く、該当馬は【3-2-3-17】単回収率1005%、複回収率260%となっている。

最後に取り上げるのは杉山晴紀厩舎。前走からの距離短縮ローテが【1-2-1-6】で複勝率40.0%、複回収率331%と妙味たっぷりだ。昨年のマイラーズCで4番人気2着のガイアフォースや、2022年神戸新聞杯で5番人気1着だったジャスティンパレスもこの条件に合致していた。また、出走間隔が詰まっている場合は割引が必要。前走から中9週以上では【4-2-1-9】で勝率25.0%、単回収率229%と良好だが、中8週以下だと【0-0-1-19】と厳しいデータとなっている。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。

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