ダンジグの血を持つ馬の天下
血統に興味のある人なら「夏のダンジグ」という格言を聞いたことがあるはずだ。ダンジグ系(あるいはダンチヒ系)の馬は、00年前後の夏の重賞で活躍した印象が強い。少し思い出しても、99年の小倉記念を制するなど芝中距離重賞を逃げまくったアンブラスモア(父ラシアンボンド)、01、02年の関屋記念を連覇したマグナーテン(父ダンジグ)、01年に函館スプリントSとアイビスサマーダッシュを連勝したメジロダーリング(父グリーンデザート)など、懐かしい馬名がズラリと並ぶ。
近年は「夏のダンジグ」を聞くことも減ったが、昨年も函館記念をローシャムパーク(父ハービンジャー)、札幌2歳Sをセットアップ(父デクラレーションオブウォー)が制するなど、今もなお夏の重賞でダンジグ系は活躍している。そして重賞別で見ると、実は関屋記念が〝ダンジグの血を持つ馬の天下〝なのだ。
近10年の関屋記念を振り返ると、血統表の5代以内にダンジグの血を持つ馬は【5-3-2-38】の勝率10.4%、複勝率20.8%。これだけでは微妙だが、4番人気以内に限ると【5-2-1-8】の勝率31.3%、複勝率50.0%。回収率は単複ともに100%を超えるので十分に狙いが立つ。ただ、人気薄がダメというわけではない。実は4着に4頭、5着に5頭が食い込んでいるのだが、そのうち6頭は8番人気以下。つまり、惜しくも馬券に絡むことはできなかったものの、あと一歩で高配当の主役になれた馬は数多くいるのだ。
今年の出走馬を見てみよう。血統表の5代以内にダンジグの血を持つ馬は、五十音順にサンライズロナウド、ジュンブロッサム、ディスペランツァ、パラレルヴィジョン、プレサージュリフト、ワールドウインズの6頭。このなかで安定感を取るなら、C.ルメール騎手が騎乗予定のプレサージュリフト、次いでマイルの良馬場なら安定して速い上がりを使えるジュンブロッサムだろうか。
一方、伏兵陣ではサンライズロナウドに要注目。2、3走前の阪急杯、シルクロードSを差す競馬で3、4着しているように、折り合った時の破壊力は抜群。相性がいい横山典弘騎手とのコンビ復活が魅力だ。
ダンジグの血を持つ馬は、22年はウインカーネリアンが1着、ダノンザキッドが3着、23年はアヴェラーレが1着、ディヴィーナが2着だった。精鋭揃いの今年は3連覇、そして2年連続のワンツーとなるか。いずれにしても、この6頭の取捨が馬券の大きなポイントとなるに違いない。
《ライタープロフィール》
逆瀬川龍之介
国内の主要セール、GIのパドックはもちろん、時には海外のセリにも足を運ぶ馬体至上主義のライター。その相馬眼を頼りにする厩舎関係者、馬主は少なくない。一方、マニアック、かつ実用的なデータを駆使して、ネット媒体や雑誌などにも寄稿するなど、マルチな才能を持っている。
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