今年は小倉開催
夏のハンデ重賞、中京記念。今ではサマーマイルシリーズのひとつとしてお馴染みだが、歴史を振り返ってみると2000m戦として行われてきた期間も長く、また開催時期も変更されてきた一戦だ。
今年は阪神競馬場の工事に伴う日程変更のため、2年ぶりに小倉芝1800mを舞台に行われる。果たしてどんな戦いが繰り広げられるのか、今回は1986年以降の中京記念の記録を振り返る。
過去に小倉開催となった中京記念は6回ある。そのうち牡馬が3勝、牝馬は2勝、セン馬が1勝。特に牝馬は、2021年に2着を除く1~5着を占めるなど、奮闘が目立った。
また「小倉開催の中京記念」といえばベテラン勢の躍進も多い。過去6回で馬券圏内18頭のうち、4歳馬は4頭のみ。5歳が9頭と半数を占め、6歳も3頭と粘りを見せた。
馬齢順に並べると、3位は6歳馬の3頭(ナリタハヤブサ、アンノルーチェ、カテドラル)で、2位は7歳のゴールデンアワー(1994年2着)。そして1位が9歳のシャドウゲイト(2011年2着)となる。
シャドウゲイトはシンガポールの重賞シンガポール・エアラインズ・インターナショナルカップでも勝利を挙げた実力派。3歳時はダービーで16着、菊花賞も15着と苦戦を強いられていたが、古馬になって着実に力をつけ、5歳で一気に素質を開花させた。
6歳時にはダートの川崎記念でも3着に食い込むなど、息長く活躍。8歳時に中京開催の中京記念で勝利も挙げており、中京と小倉の中京記念で好走というレアな記録の持ち主でもある。
58.5kgを背負って勝利したオサイチジョージ
ハンデ戦ということもあり、荒れるケースも多い中京記念。歴代の勝ち馬を単勝オッズの高い順に並べると、3位が2009年サクラオリオン(単勝56.8倍)、2位は2004年メイショウキオウ(同161.9倍)。そして1位は2020年メイケイダイハード(同163.0倍)となる。
3位のサクラオリオンと2位のメイショウキオウはいずれも芝2000m開催の時代。ともに7歳馬で、鞍上は秋山真一郎騎手という共通点もあった。ちなみに、同騎手は1位のメイケイダイハードにも騎乗したことがある。
メイケイダイハードはハードスパンの産駒。JRAの産駒成績を見ると、これまで通算66勝のうち芝で11勝、ダートで55勝を挙げているが、重賞勝利は中京記念だけ。メイケイダイハード自身も中京記念の前走ではダートを走っていた。
以前から8番人気1着や10番人気3着、9番人気3着といった突然の激走が多いタイプだったが、2度目の重賞挑戦という舞台でもその意外性を発揮した。
上述した単勝オッズの高い3頭は、いずれも斤量53kgと軽量を味方につけての勝利だった。53kgで勝利を挙げた馬は計7頭いるが、これは1986年以降で見ると54kgと並んで2位タイの記録(勝利数最多は斤量55kgで8勝)。最軽量の勝利はというと、2019年に52kgで勝利したグルーヴィットがいる。
反対に重いハンデを背負って勝利した馬を見ると、3位が57.5kgで1998年トーヨーレインボーと2010年シャドウゲイト、2位は58kgで、2014年サダムパテック。そして1位は58.5kg。1990年のオサイチジョージだ。
オサイチジョージは菊花賞こそ3番人気12着と大敗を喫したものの、デビュー当初から安定したパフォーマンスを続け、中京記念までの成績は【6-3-1-1】。菊花賞以外はすべて馬券圏内に食い込んでおり、神戸新聞杯など重賞タイトルも3つ手にしていた。
キャリア12戦目で当時3月開催だった中京記念を快勝すると、その後も大阪杯2着と安田記念3着を挟んで宝塚記念を制した。それが最後の勝利となった。種牡馬として現在にその血を残すことはできていないが、当時の勢いは本物。昭和から平成にかけての競馬界を盛り上げた一頭だ。
ライタープロフィール
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。
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