3つのファクターから推奨馬を見つけ出す
京都記念ではキラーアビリティを推奨し5着。3週連続の的中とはいかなかった。レースはダービー馬ドウデュースが圧巻の走りで勝利。海外帰り初戦、休み明けとは思えないパフォーマンスを見せた。ハーツクライ産駒らしく成長力も感じられ、イクイノックスとの再戦が今から楽しみだ。
さて、今回は2月19日(日)東京競馬場で行われるフェブラリーSについて下記3つのファクターを組み合わせる、コンプレックスアナライズで分析を行っていく。
・レースの好走馬及び凡走馬の共通項を探る「重要データ」
・目には見えない上積みを探る「前走不利データ」
・適性と素質を知るための「血統評価」
フルゲートが16頭で除外対象馬も含まれるが、ギルデッドミラーを除く特別登録のあった18頭を検討対象とし、過去10年のデータを使用する。
重要データ:フレッシュさが重要 勝ち馬は6歳以下

重要データで取り上げるのは年齢別成績だ。ダート競走と言えば高齢馬の活躍も目立つイメージがあるが、フェブラリーSは東京ダート1600mというスピードを求められる条件でもあり、勝ち馬は6歳以下からしか出ていない。
4歳【4-1-1-19】、5歳【4-4-4-24】、6歳【2-1-2-25】、7歳以上【0-4-3-60】という成績で勝率なら4歳、複勝率なら5歳が好成績だ。回収率は2014年16番人気で1着だったコパノリッキーが引き上げており、一概に比較はできないが、4歳が単複ともに100%を大きく上回っている。今回上位人気が予想されるレッドルゼルは7歳のため割引材料となるデータだ。
また年齢にもう一つ付け加えるなら、ここまで積んできたキャリアの数にも注目したい。勝ち馬はキャリア20戦以下の馬しかおらず、6歳以下だったとしてもキャリア21戦以上の馬は割引が必要だ。
【7歳以上もしくはキャリア21戦以上の馬】
・オーヴェルニュ
・ケイアイターコイズ
・ゴールドパラディン
・ショウナンナデシコ
・ジャスパープリンス
・ソリストサンダー
・タガノビューティー
・テイエムサウスダン
・ヘリオス
・レッドルゼル
前走不利データ:すばるSのドライスタウト
ドライスタウトの前走はすばるS2着。同レースは前走着順が重要な要素となった。過去10年で前走1着は【0-4-1-12】と意外にも勝ち馬が出ていない。もちろん3勝クラス勝ちからの臨戦が多いというのも一つの要因として考えられるが、OP級のレースを勝利してすばるSに出走してくる馬は、さらに先のレースを目標にしていることも要因として考えられる。
ドライスタウトも11月の霜月Sを勝ってから年明けの目標はフェブラリーSとしていた。100%の仕上げてくるであろうここは改めて注目したい。
血統解説:シャールズスパイト、タガノビューティー、ドライスタウト、レモンポップ
・シャールズスパイト
祖母Lady Shirlを根幹として米国で大繁栄を見せているファミリーの一頭。叔父Shakespeare(父Theatrical)はJHターフクラシック招待S(GⅠ・芝12F)とウッドバインマイルS(GⅠ・芝8F)を勝利。母Perfect ShirlもBCフィリー&メアターフ(GⅠ・芝11F)を勝利している。そのほか従姉妹のLady Speightspeareも加GⅠを勝利していてかなり活力のある一族と言える。
しかし近親の活躍は芝が中心。シャールズスパイトもダートの出走経験こそあるものの、メーカーズマークマイルS(GⅠ・芝8F)勝ちやBCマイル(GⅠ・芝8F)2着などあきらかに芝の方が実績はある。父Speightstownの産駒は日本ではマテラスカイやモズスーパーフレアが有名で、本馬もダート適性の拠り所を求めるならSpeightstownだろう。持続性能の高い末脚が特徴の一族で東京コース自体は悪くないと思うが、良馬場だと少々パワー不足か。テンが速いタイプではないので砂を被るポジションとなってしまう可能性も高く、そうなると経験の差が出そうで軸にはしづらい。

・タガノビューティー
日本での牝祖は祖母ソフトパイン。母スペシャルディナーが繁殖として優秀で、本馬の他にNHKマイル2着のタガノブルグ(父ヨハネスブルグ)、若葉S勝ちのアイトーン(父キングズベスト)などを輩出している。ファミリーとしては芝適性が高いが、Woodmanの影響が強く、胴長の良い馬体とそこから繰り出される持続性能の高さは共通項だ。
本馬は父はヘニーヒューズのためダート馬に出たが、走りのタイプとしてはファミリーと同様。器用なタイプではなく東京コースは【5-4-3-4】と抜群に合う。スムーズに進路を確保できればという条件はつくが、枠の並び次第では面白い一頭になるかもしれない。

・ドライスタウト
日本での牝祖は4代母パーフェクトポイント。同馬は現役時ダイアナH(GⅡ・芝9F)2着、クイーンシャーロットH(GⅡ・ダート10F)3着の実績馬。日本に入ってきてからはドライスタウトが出るまで重賞級の馬は出せていなかったが、ダートを中心に中央複数勝利馬をコンスタントに輩出し、一定の活力を見せていた。ファミリーを通して成長力のあるタイプが多いことが特徴だ。
本馬はフジキセキ×Deputy Ministerというダート路線において有名なニックスを持ち合わせていて、シニスターミニスター産駒らしいストライド走法で走るパワータイプのダート馬に出た。東京コースはこれまで2戦2勝と相性が良く、1600mという距離も問題ないだろう。

・レモンポップ
外国産馬で母Unreachableは現役時未勝利。祖母Harpiaは現役時シャーリージョーンズH(GⅢ・ダート7F)勝利の他、トップフライトH(GⅡ・ダート8F)2着など米ダート牝馬路線で活躍した。またHarpiaはデインヒルの全妹という血統で、レモンポップの迫力あるトモはこのあたりの影響が強そうだ。
父Lemon Drop Kidはダート中長距離を主戦場とする産駒を多く出していて、レモンポップも距離延長となった2走前の武蔵野Sでも2着と好走した。血統的には1600mをこなす下地はあるが、根岸Sのラストの走りを見る限り、1400mの方が舞台適性は高いか。

Cアナライズではドライスタウトを推奨
今回のコンプレックスアナライズではドライスタウトを推奨馬としてピックアップする。前走は勝ち馬に上手く乗られた感じがあり、五分の展開なら十分に勝ちもあっただろう。その勝ち馬バトルクライは次走の根岸S3着、同馬を物差しにすればレモンポップに対抗しうる可能性は十分だ。前走不利データも持ち合わせていて、血統的にも東京1600mは適応出来る可能性が高く、100%の仕上げで臨んでくるここは中央GⅠ初制覇の大チャンスだ。
【ライタープロフィール】
貴シンジ
競馬ライター。サラブレッドの血統をファミリー中心に分析する牝系研究家。3つのファクターから構築する「コンプレックスアナライズ」を駆使して競馬予想を行う。現在はWEBサイト『サラブレッド研究所』でも執筆を行い、競馬予想のほか一口馬主クラブ募集馬やセリ馬の血統も独自の切り口から分析している。
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