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【セントウルS】メイケイエール、いよいよ完成の域へ 超一流スプリンターに向け、残すはGⅠタイトルただひとつ

2022 9/12 10:55勝木淳
2022年セントウルS結果,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

ラスト200m11.7の価値

単勝オッズ一桁台は4歳牝馬メイケイエール、ソングラインの2頭のみ。3番人気は中京巧者ながら重賞実績はGⅢ4着のダディーズビビッド。実績の開きが大きく、相手関係が楽とはいえ、メイケイエールの2馬身半差快勝はスプリンターズSに向けて申し分ないパフォーマンスだった。

勝ち時計1.06.2は開幕週の良馬場という馬場状態がアシストした面もある。ただし、野芝のみながら、当日のクッション値は9.1。決して硬くはなかった。エアレーション作業を行い、週中に雨も多かった中京の芝は適度な軟らかさを保っており、使いこんでいた5月開催のようなレコード連発の高速馬場ではなかった。それでも走りやすい馬場。レコード演出にひと役買った。

スプリント戦の快時計は前半がポイント。レース序盤は内枠からシャンデリアムーンが主張、外枠ファストフォースが近走の不振を振り切るように久々に強気な番手主張。11.8-10.2-10.5、32.5は緩いのぼり区間が続く中京芝1200mとしては相当速い。レシステンシアが引っ張った今年の高松宮記念は33.4。追い込みを誘発したGⅠより速い流れだった。この前半32.5も決着時計1.06.2に影響したのも事実だ。

だが、1.06.2を叩き出したのはメイケイエールがスプリンターとして完成の域に達した合図ではないだろうか。前半は先行勢の後ろ5番手、周りに馬がいない絶好位。かつてのような危うさはどれほど残っているのか。これは池添謙一騎手にしかわからない。レース後のコメントを読む限り難しさは残ってはいるが、課題のひとつ、前半の追走、折り合い面は楽になった模様。端から見る限りだが、いたってスムーズで理想的な前半に映った。

最後の直線はメイケイエールのワンサイド。粘り込みを狙う2着ファストフォース、追いかける3着サンライズオネストとは脚色に明らかな差があった。前半32.5と流れて、急坂をあがったラスト200mは11.7。このラップでまとめられることがメイケイエールの価値であり、この1.06.2の真価ではないか。

単純比較は危険だが、高松宮記念の最後200mは12.4。坂をあがり、先行勢は末を失い、後続が一気に押し寄せた。このとき伸びない外を通り、悔いを残したメイケイエールは経験を重ね、スプリント戦特有の急流に対応、かつ速い上がりを使う、超一流のスプリンターになりつつある。あとはタイトルを奪取するだけだ。

ソングラインも上々の立ち上がり

もう一頭の牝馬ソングラインは5着。こちらはスプリント戦初挑戦。勝負所で前と離され、距離は明らかに忙しかった。それでも上がり2位タイ33.1を記録、それこそ最後200mで差を詰めてきた。休み明け、初の1200mという状況を考えれば5着は上々。再度のマイルGⅠ制覇を目指してほしい。

2着6番人気ファストフォースは昨秋京阪杯3着以来、久しぶりの好走だった。この夏はCBC賞1.6差12着、北九州記念0.6差10着と見せ場はなかったが、勝てばポイントでナムラクレアと並ぶところだった。昨夏のような出足の鋭さが最近はなりを潜めていたが、今回は外枠から積極的なレースを試み、ハイペースのなか番手追走。らしさを取り戻した。無理なペースでも強気に行き、速い時計でしのぎ切るスタイルが合う。本番前にそれを改めて確認したことは大きく、GⅠでは展開のカギを握る存在になりそうだ。

サマースプリントシリーズは3歳ナムラクレアが14ptで優勝。2位は12ptでヴェントヴォーチェ、メイケイエール、4位タイ(11pt)にテイエムスパーダ、ビリーバー、ボンボヤージという結果で幕を閉じた。3歳牝馬が上位に2頭入り、どちらも逃げ、先行型。ファストフォースの復調も合わせ、今年のスプリンターズSはかなり活気あるメンバーになる公算が高くなった。3週間後のハイレベルな戦いを心待ちにしたい。

2022年セントウルSレース結果,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。

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