軽斤量が有利とは限らない短距離戦
8月21(日)に北九州記念(GⅢ・1200m)が小倉競馬場で行われる。昨年は九州産馬ヨカヨカが勝利し、思い出深いレースとなったハンデ重賞。今年は、CBC賞を逃げ切ったテイエムスパーダ、函館SSを快勝したナムラクレア、短距離で実績十分のタイセイビジョンなど注目のメンバーが揃った。過去のレース傾向などを踏まえて予想していく。

まず、過去10年の北九州記念における斤量別成績について調べた。特徴としては、軽斤量の馬より55kgぐらいの馬が好走しやすいことが挙げられる。
51kg以下の馬は【1-0-1-18】、52kgの馬は【0-3-1-13】と斤量が軽いからといって好走傾向にある訳ではない。勝ち馬がよく出ているのは斤量53kg【2-1-2-24】、54kg【1-0-3-29】、55kg台【4-4-1-25】、56kg台【1-2-2-21】あたり。複数勝利を挙げる53kgや、勝率・連対率・複勝率いずれもトップの55kg台、複勝率が比較的高い56kgは狙いたい斤量になる。出走馬の中では、53kgがナムラクレア、シンシティ、ザイツィンガー、55kgはキャプテンドレイク、モントライゼ、56kgはファストフォースが該当する。この馬たちは高く評価していきたい。
3・4歳馬が好調、高齢馬は不利

次に、過去10年の北九州記念における馬齢別成績について調べた。好成績なのが3・4歳馬。3歳馬は【1-2-2-16】で勝率4.8%、連対率14.3%、複勝率23.8%、4歳馬は【3-2-4-17】で勝率11.5%、連対率19.2%、複勝率34.6%と活躍している。これに対して、5歳馬は【2-6-1-40】と連対は多いが複勝率18.4%はやや見劣り、6歳馬は【3-0-3-37】、7歳馬は【1-0-0-30】で評価を下げるべきだ。3・4歳馬は計5頭出走しているが、人気になりそうなところではナムラクレア、テイエムスパーダ、アネゴハダがいる。
斤量×馬齢で好走馬を検討
◎ナムラクレア
斤量53kg、3歳馬という好条件に合致。前走函館SSは久々の1200m戦となったが、上手に先行してそのまま押し切り、2着馬に0.4秒差を付ける快勝を見せた。1600mは長い中で桜花賞3着に入るなど地力に関してはメンバー最上位。今回も得意の1200mで、調教過程などを見ても前走と比べてスピード感が増しており、1400mよりは1200m向きの馬となっている。多少のハイペースになっても垂れない力を持っているので、先行勢が多いこのメンバーであっても問題なし。小倉芝1200mは2戦2勝、この舞台かつこの相手関係では負けられない。斤量3kg増は能力でカバーできるだろう。唯一の懸念点はスタートがあまり上手ではない点だが、それを踏まえても好走する可能性はかなり高いので、素直に本命にしたい。
◯ファストフォース
前走は17番枠、速すぎた時計、落鉄のアクシデント、馬体重大幅減と不利が重なった。昨年はCBC賞を制し、北九州記念でも2着に入るなど小倉は相性がいいコースで、前走以外はGⅡ・GⅢであれば着差的にもそう離されておらず、まだまだ重賞でも通用する力はある。前走ほどの超高速馬場になることは考えづらく、条件は好転する。前述のデータから斤量56kgもいい。今回は先行馬が多いが、そのような展開でも耐え切る力は持っている。
▲キャプテンドレイク
前走函館SSは展開が向いた感があったとはいえ5着。洋芝の函館よりは2勝を挙げる小倉コースが合っている馬で、先行馬が多く、前が流れそうな展開もこの馬にとってはプラスに働く。斤量55kgも魅力的。
△アネゴハダ
前走は馬場などの恩恵があったとはいえ、ハイペースの中粘って3着と評価できる内容。その際の勝ち馬テイエムスパーダと比べて2kg軽い斤量で出走でき、状態面も鑑みれば今回逆転すること自体は十分あり得る。斤量が軽い馬の好走実績はデータ上多くないが、能力は重賞でも通用するものがあるのでこの評価。
×テイエムスパーダ
前走は斤量、展開、馬場などあらゆる面でこの馬にとって向いたレースになり、今回は有利な面が減るので頭までは期待しにくいが、能力的には馬券に絡んでもおかしくない。
×メイショウチタン
前走は久々のレースで5着に入ったことを高評価。元々持っている能力は高く、重賞でも勝負できる力はあるので、ひと叩きした上積みに期待。
買い目は◎から◯▲△×への馬単、3連複で勝負する。
▽北九州記念予想印▽
◎ナムラクレア
◯ファストフォース
▲キャプテンドレイク
△アネゴハダ
×テイエムスパーダ
×メイショウチタン
ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
25年以上の歴史がある、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。
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