内回りは全て先行馬が勝利
阪神競馬場・芝1400mを舞台に争われるフィリーズレビュー。2013年にはオークスと秋華賞を制したメイショウマンボが勝利しているが、将来的に1200〜1400mで活躍する、スピードに勝るタイプが好走している傾向が強い。
馬場適性の観点からレースを占うにあたり、先週末の阪神芝コースの馬場傾向を振り返っていく。
先週は火曜日に10.0mm、水曜日に0.0mmの雨量を計測。加えて金曜日に散水が行われたが土曜日がクッション値10.1、日曜日がクッション値10.4と1回阪神開催で最も堅い馬場状態でレースが行われた。

芝コースでは9レースが行われ、通過順位別成績では4角先頭〜4番手までが5勝、2着5回、3着6回と3着内馬全体の59.3%を占めた。8番手以下からでも2勝、2着3回と5頭が好走しているが、フィリーズレビューと同じ内回りコースを使用した4レースの結果を見ると、勝ち馬は全て4角4番手より前。「先行有利」の傾向が顕著だった。

直線残り200m地点で通った進路を見ても、最内〜4頭目までが7勝、2着7回、3着6回で3着内馬全体の74.1%、内回りコース使用のレースでは66.7%とやや低下するものの、ロスなく立ち回った馬の好走が目立つ「内有利」となっている。
タイム面では土曜5Rに行われた1600mの3歳未勝利戦が1:33.3、重賞のチューリップ賞が1:33.2、1400m戦では日曜10Rの斑鳩Sが1:20.4で決着。良馬場であれば速いタイムが出る馬場だと言っていい。
各馬にチャンスあり

今週末にかけても晴れ予報が続いている阪神競馬場。先週末の馬場傾向がある程度参考になりそうな点から「高速馬場への適性」と「自在性のある先行脚質」タイプを中心に注目馬をピックアップした。
加えて過去10年のフィリーズレビューはハイペースとなることも多く、2014年を除いた9回で4角10番手以下から3着内に好走する馬が出ている。「ハマれば怖い差し馬」についてもあげておきたい。
【高速馬場の適性がある注目馬】
今回の出走メンバーを見渡すと小倉2歳Sを1:07.9、ファンタジーSは勝ち馬と0.1秒差の1:21.2で2着となっているナムラクレアが、タイム面での実績では抜けている。その後の阪神JFでも5着と健闘しているが、1400mに戻るのは歓迎と言っていいだろう。
ウィリンは夏の福島開催開幕週の新馬戦では1:09.1というタイムだったが、後続に1.2秒差をつけた。キミワクイーンは2走前の2歳1勝クラス戦で、1:21.9ながら高速馬場の東京開催で1400m戦を勝っている。タイム面で大きく強調する点はないが、馬場適性は高そう。
【自在性・先行脚質の注目馬】
ここでも先述のナムラクレア、ウィリン、キミワクイーンが該当。ナムラクレアは差す競馬でも結果を残しており、自在性があるという点もいい。ただし、桜花賞出走に向けての賞金を持っているため、先を見据えた仕上げと乗り方をしてくる可能性はある。2つの条件に当てはまるとはいえ、不安要素もある。
ウィリンは久々のレースとなった前走の紅梅Sは4番手に控える形でも折り合ってレースを進められた。少しパワーが要求される馬場だったが、今回は条件が好転。自慢のスピードが活かせるはずだ。
キミワクイーンも安定した先行力がある。前走の阪神JFは馬場の悪い内を通るレースで、距離も長く苦しくなった。こちらも条件が良くなるだけに、巻き返しがあっていい。
アネゴハダは小倉2歳Sでは4角9番手から3着まで追い込む競馬を見せたが、3走前の阪神JF(9着)は4番手追走から5着ナムラクレアと0.2秒差、前走の3歳1勝クラスは4角4番手から馬群を割って突き抜けた。どんな展開になっても対応できる自在性は魅力だ。
その他では阪神芝1400mで2着2回、前走は1着馬の降着によって勝ち上がったサブライムアンセムも脚質に自在性があるタイプ。小倉2歳Sで2着となったスリーパーダは前走が案外な結果に終わったが、うまく内で脚を溜める競馬ができれば巻き返しがあっても不思議ではない。どの馬にもチャンスはありそうだ。
【ハマれば怖い差し馬】
ゼロドラゴンは2走前に阪神芝1200mで未勝利勝ち。前走は最後方追走から3着まで追い上げた。この2走を見る限り、距離延長は全く問題なくむしろプラスに働きそう。脚質面、そして横山典弘騎手が騎乗するという点からも、不気味な存在として名前をあげておく。
ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。
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