先行馬が有利も、馬券的には差し馬狙い
3月6日(日)に中山競馬場で行われる弥生賞ディープインパクト記念(GⅡ・芝2000m)。皐月賞への最重要ステップレースに11頭が顔を揃えた。朝日杯FSを制し昨年度のJRA最優秀2歳牡馬に輝いたドウデュースや、きさらぎ賞の覇者マテンロウレオなどが出走を予定しているが、信頼すべきはどの馬か。今週もデータを踏まえて検討していこう。
はじめに、過去10年の傾向を分析する。

脚質別では先行が【5-5-5-24】で勝率、連対率、複勝率ともにトップ。【4-2-4-22】の差しも魅力的だ。逃げは昨年タイトルホルダーが唯一の勝利で、追い込みを選択した馬の成績は壊滅的。極端な競馬をする馬は極力避けたい。
なお先行馬の単勝、複勝回収率はどちらも100%を下回っているのに対し、差し馬の単勝回収率は231%、複勝回収率は108%。馬券的には差し馬を狙いたいところだ。
前走オープン組は勝率トップ、GⅠ組は堅い

続いて前走クラス別成績を確認する(今年該当馬がいないものは省略)。勝率トップは前走オープン組で、出走数は少ないながら2勝を挙げている。前走GⅢ組も複勝率は31.3%と優秀で、着実にレースを経験してきた馬なら格が上がっても通用しているようだ。
また買い目として必ず押さえなくてはいけないのが複勝率70.6%の前走GⅠ組。朝日杯FS組は【1-2-3-2】で複勝回収率203%、ホープフルS組は【1-1-4-3】で複勝回収率101%を記録している。どちらにおいても人気を背負った馬が大崩れした事例はなく、13年にはタガノエスプレッソが2桁人気ながら3着に食い込むなど人気以上の好走もある。ハイレベルなレースで今一つだったとしても過小評価してはいけない。
本命は前走オープン組から
◎インダストリア
前々走は後方集団から脚を伸ばして、前走は4、5番手から抜け出しと、先行・差しどちらの競馬にも対応可能な馬。特に強さを感じたのは前走のジュニアCで、直線での瞬発力は一頭だけモノが違った。中山の急坂を苦にする様子も見られず、ゴール前はもったままでの勝利。今回は距離が焦点になるが、1800mの未勝利戦では最後まで良い脚を保てており、200m延びても戦えそうだ。
◯ドウデュース
新馬戦は加速ラップを差し切り。前走朝日杯FSでは上がり最速の脚を繰り出し余裕を感じさせる勝ち方だった。2着馬も重賞2連覇中のセリフォスで、ハイレベルな叩き合いを制したことは大きい。2000mは初となるが、武豊騎手は「1600m~2000mが良い」とコメントしている上、ハーツクライ産駒ということで問題ないだろう。
▲リューベック
新馬戦、若駒Sではどちらも道中で先頭を走りながら上がり最速。直線でもう一伸びできる強さをもつ。なお札幌2歳Sに関してはスタートでの出負けという明確な敗因があった。若駒S→弥生賞は現役時代のディープインパクトと同ローテ。前走若駒S組は過去10年で【2-1-0-2】と安定しており、金子真人オーナー所有の馬が【2-1-0-1】というデータも興味深い。
△マテンロウレオ
抜群の末脚が持ち味。前走きさらぎ賞ではゴール前の競り合いを制する勝負根性を見せた。ホープフルSでは6着に敗れているが、終いはよく伸びており、脚を余す形だった。前有利のレース展開が敗因だろう。ここまで3戦とも2000mを使っており、距離の面での経験値は大きい。
相手にはホープフルS3着のラーグルフを押さえておく。横山武史騎手が鞍上を務めるメイショウゲキリンの逃げ切りにも警戒したい。
◎インダストリア
◯ドウデュース
▲リューベック
△マテンロウレオ
×ラーグルフ
☆メイショウゲキリン
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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