4角4番手以内が9勝
春の中山開催の幕開けを飾る中山記念(GⅡ・芝1800m)。過去10年ではナカヤマナイト、ドゥラメンテ、ウインブライト(2018年、2019年連覇)、ヒシイグアスと半数の勝ち馬が過去に中山コースで重賞を勝利した実績を持つ中山巧者が強いレース。さらに大阪杯をはじめ、国内外の春のGⅠ戦線にも繋がる一戦でもある。
馬場適性の観点からレースを占うにあたり、まずは過去10年のレース結果から傾向を分析していきたい。
馬場状態は稍重が2回、重が1回と道悪で行われることもあったが、良馬場であれば2021年ヒシイグアスが1:44.9、2019年ウインブライトが1:45.5と速いタイムでの決着となることも多い。
JRAの発表によると、低温の影響で洋芝の生育に若干不揃いの箇所があるとのことだが、前開催はCコースだったのに対し、中山記念はAコースを使用する。内側は仮柵で保護されていたし、1月の開催では極端に馬場が悪化していたという印象はなかったので、あまり影響はないだろう。
優勝馬の脚質を見ると、道中4番手以内を追走していた馬が7勝。4角通過順位では4番手以内が9勝と圧倒的に先行有利。上がり33秒台を使って勝利したのは2019年ウインブライトの33.7のみだが、勝ち馬の6割が34秒前半と中山コースとしては比較的速い上がりが求められる傾向にある。

差しが決まる流れならカラテに注意
先週末は雨が降ったものの、今週末にかけて雨予報はなし。良馬場でレースが行われそう。今年は登録時点でパンサラッサやトーラスジェミニ、コントラチェックなど逃げたい馬が揃っている。そうした点も踏まえて「自在性ある脚質と中山コース実績」「高速決着、小回り・上がり勝負の実績」という2点から注目馬をピックアップしていく。
【自在性ある脚質と中山コース実績からの注目馬】
好位からレースを進めることができ、中山コースの実績もあるという面ではやはりダノンザキッドだろう。2歳の暮れにはホープフルSを勝利し、その後弥生賞3着という実績はここでは抜けている。
ホープフルSは好位を追走し、4角3番手から抜け出す内容。1800mでは東京コースながら東京スポーツ杯2歳Sを3番手から勝利している。近2走は中団からのレースとなっているが、いずれも1600m戦でのもの。1800mに戻ればある程度好位につけられるだろう。
アドマイヤハダルも2走前のディセンバーSでは1番人気5着と案外な結果に終わったが、皐月賞では2着タイトルホルダーからは0.1秒差の4着と中山コースがダメなわけではない。2000mくらいがベストで1800mはやや短い印象もあるが、好位から中団でレースを運べる自在性もある点と叩き3走目の上積みに期待したい。
前走は15着と大敗したマルターズディオサだが、直線で不利を受けてリズムを崩した様子も見受けられた。控える競馬で府中牝馬S3着となっているが、元々は先行していた馬。前走で久々に5番手から競馬ができた経験は、紫苑Sを勝利した実績がある中山コースに替わってプラスに作用する可能性はある。人気が下がりそうなら、大敗には目を瞑って押さえておいてもいいだろう。
【高速決着、小回り・上がり勝負実績からの注目馬】
この項目でもダノンザキッド、アドマイヤハダルの2頭は該当する。ダノンザキッドは究極の瞬発力勝負が向くというタイプではないが、前走のマイルCSでは33.0でトップマイラーに食い下がった。中山コースではホープフルSこそ上がり36.4かかる展開と馬場であり、弥生賞では前を捉えることができなかったが、上がりは最速の34.2を使えており、ある程度上がりが速くなっても問題ないだろう。
アドマイヤハダルは5走前の若葉Sで4角3番手から上がり33.7で勝利。直線に坂がある内回りコースでのレースぶりを見ても、中山記念で求められる条件にマッチする。若葉Sは1:59.5、前走の白富士Sは2着ながら勝ち馬とは0.2秒差の1:57.6で走っており、高速馬場への適性という面ではダノンザキッドよりやや優勢といったところだ。
その他では、2走前のニューイヤーSで稍重ながら4角10番手から上がり34.3で差し切ったカラテに注目。ある程度ペースが速くなって差しも届きやすい流れになりそうな点は味方しそう。ハマった時は頭まで突き抜ける可能性もある。
【3頭出しの藤沢和雄厩舎】
今週末で引退の藤沢和雄調教師は最後重賞で3頭出し。その中からレッドサイオンに注目したい。前走の白富士Sは7着だったが、勝ち馬のジャックドールはかなりの素質馬。2番手追走から0.7秒差は良く健闘したと言っていい。好位から中団でもレースができるタイプでコースは歓迎。上手く立ち回って3着争いに加わってほしいと個人的に期待している。
ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在はカメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場を飛び回りつつ、ライターとしても執筆している。
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