人気、年齢ともに差が少なく
高松宮記念まで4週間。短距離路線も今年は混沌とした状況。昨年の春秋王者不在、どちらも2着だったレシステンシアは香港スプリント2着から直行予定。この馬と阪神C快勝のグレナディアガーズが一歩抜けた存在ながら、ほかは横一線。久々にスプリント界は戦国時代を迎え、新チャンピオン誕生の可能性も高い。その前哨戦である阪急杯もまた大混戦。馬券妙味もたっぷりで注目の一戦だ。ここでは過去10年間のデータから好走パターンについて考えてみたい。
まずは人気の傾向を。1番人気は【3-1-2-4】勝率30.0%、複勝率60.0%。勝った3頭はロードカナロア、ミッキーアイル、レシステンシア。GⅠ級は比較的安心して買えるが、そうでないなら疑ってかかりたい。2番人気【2-2-2-4】勝率20.0%、複勝率60.0%以降は横並びで、4番人気【1-4-1-4】勝率10.0%、複勝率60.0%、7番人気【2-0-0-8】勝率、複勝率ともに20.0%、10番人気以下【1-1-2-71】勝率1.3%、複勝率5.3%、視野を広く検討したい。
年齢別でみると、必ずしも若い4歳優勢ではなく、4歳【2-2-3-21】勝率7.1%、複勝率25.0%、5歳【4-3-2-34】勝率9.3%、複勝率20.9%、6歳【3-3-3-38】勝率6.4%、複勝率19.1%とここも横並び。7歳以上も【1-2-2-42】勝率2.1%、複勝率10.6%と見限れない。
あるとすれば、サンライズオネストか
であれば年齢別に詳しく好走傾向について考えてみたい。前走成績に注目しつつ、年齢による違いがあるかみていこう。
グレイイングリーン、ヴィジュネル、モントライゼなど4歳勢について前走クラス別成績を出すと、前走GⅠ【1-0-1-2】勝率25.0%、複勝率50.0%、GⅡ【1-2-1-3】勝率14.3%、複勝率57.1%と格上のレースを経験した馬が優勢で、前走GⅢだと【0-0-0-10】。ヴィジュネル、モントライゼはここに当てはまってしまう。また3勝クラスだった馬も【0-0-0-3】。昇級初戦のグレイイングリーンも苦しいか。
5歳は4歳とは対照的で、前走GⅠ、GⅡだと【0-0-0-6】(海外を除く)。好走は前走GⅢ【2-2-2-13】勝率10.5%、複勝率31.6%に集中。阪神C4着タイセイビジョンは上位人気候補だが、データで見ると厳しい。サンライズオネスト、リレーションシップなどの前走オープンは【0-1-0-13】複勝率7.1%。21年10番人気ミッキーブリランテ2着のみ。同馬はニューイヤーS1着からここに出走。カーバンクルSを勝ったサンライズオネストは同舞台で3勝クラス突破、時計が速くならなければ通用して不思議ない。
侮れないベテラン組について、まずは6歳の前走クラス別成績を。今年はクリノガウディーや昨年2着ミッキーブリランテ、エイティーンガールなどがいる。こちらも前走GⅠだった馬は【0-0-0-3】と好走なし。クリノガウディーはこれを覆せるか。
前走GⅢは【1-2-1-10】勝率7.1%、複勝率28.6%と好成績も、ミッキーブリランテは前走ダート1200mのカペラS16着で前例がない。昨年の京阪杯1着以来の復帰戦エイティーンガールはどうか。こちらも6歳で前走京阪杯という馬はいないが、前走1200mだと【0-2-0-4】複勝率33.3%で馬券圏内の可能性は残る。
最後にトゥラヴェスーラ、ダイアトニックが当てはまる7歳以上について。こちらは前走GⅠ【0-1-1-2】複勝率50.0%、GⅡ【0-1-0-5】複勝率16.7%で格上からきた馬が巻き返す。GⅢだった馬は4歳より悪く、【0-0-0-23】。京都金杯4着で見せ場を作ったダイアトニックはデータから消しでもよさそうだ。であればトゥラヴェスーラだが、前走は前年春の京王杯SC2着以来、久々の出走。昨年高松宮記念4着など実績はここでも上位の存在ながら、見極めが難しい。
ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。共著『競馬 伝説の名勝負』シリーズ全4作(星海社新書)。
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