今年最初のJRAダート重賞
1月23日(日)に中京競馬場で行われる東海S(GⅡ・ダート1800m)。年明け最初のJRAダート重賞であり、フェブラリーSに向けたステップレースだ。
歴代優勝馬にはコパノリッキー、ニホンピロアワーズ、インティ、グレープブランデーなど錚々たる名が並んでいるが、今年はGⅠ馬がおらずやや小粒な印象を受ける。それでも、昨年の東海Sで強い競馬をしたオーヴェルニュ、シリウスS優勝馬サンライズホープ、オープンで安定感のあるブルベアイリーデなどが出走予定で混戦模様だ。GⅠに向けて好発進を決めるのはどの馬か。過去の傾向も踏まえつつ予想していきたい。
好走ローテは多様も1着馬は前走掲示板を確保

まずは現行の施行条件となった2013年以降における、3着内馬の前走成績について見ていく(2020年は京都開催のため除く)。
すると好走馬はチャンピオンズカップ(旧JCダート)や東京大賞典のGⅠ好走組だけでなく、ベテルギウスSや師走Sなどのリステッド組、その他みやこSや交流重賞、3勝クラスなど様々なローテを経ていた。着順については、1着馬は前走5着以内の馬しかおらず、前走好走馬が馬券の中心になってくる。
しかし、2着馬や3着馬はGⅠ大敗組だけでなく、その他のレースで6着以下に敗れていた馬の巻き返しも散見された。データからは全ての馬にチャンスがあると言えるが、なかでも面白そうなのは師走S組か。好走馬は4頭に加え、2012年のフェアウェルSは条件および時期が師走Sと同じであり、実質5頭となる。GⅠ組と比べ人気しづらく、その割に好走馬が多いので期待できそうだ。
穴馬は4角で内を通れる馬から

東海Sは意外と紐荒れが多い。そこで2013年以降の東海Sにおいて、6番人気以下で好走した馬について見ていく。すると、4角でのコース取りが重要になってくることが分かる。6番人気以下で好走した馬は9頭いるが、そのうち5頭は4角で内から1頭目、すなわちラチ沿いを通っており、2頭は内から2頭目を通っていた。「中京の4角では内を通る馬が優位」というのは鉄則だが、ここでもそのセオリーは健在。穴馬は4角で内を通れる馬、すなわち内枠の馬または先行馬からピックアップしたいところだ。
また9頭の穴馬は全て2、3着であることにも触れておきたい。裏を返せば1着は人気馬が来ているわけであり、穴馬はあくまで紐候補として押さえておくほうが良さそうだ。
距離を延ばして覚醒、重賞初制覇に期待
◎アイオライト
距離を延ばしたここ2走がかなり強い内容だ。2走前の福島民友Cでは競り合ったためタイトなペースになったが、ギリギリまで粘って2着。前走のベテルギウスSは楽な逃げになったこともあったが、上がり2位でまとめ後続を完封。距離を延ばして明らかに内容がよくなっており本格化してきた。オーヴェルニュにどれくらい楽に逃げさせてもらえるかがカギになってくるが、2走前を見る限りある程度のペースアップには耐えられるだろう。1着候補として相性の良い前走好走馬であることに加え、短距離戦を使っていたおかげかテンのスピードが速く、今回もすんなり逃げられそう。本格化した今なら押し切ることが可能とみて本命に推す。
◯ブルベアイリーデ
OP~GⅢ戦で丸1年以上掲示板を確保し続けている安定株で、前走も5着以内。前述した1着馬の条件を満たしている。武蔵野Sではダッシュが付かず後方からになったが4着を確保。上位はソリストサンダーやエアスピネル、オメガレインボーと、レースレベルが高かったと言ってよく、本馬も差のない競馬をしており、能力が高い。
以前は1400m付近を主戦場にしていたが、昨夏のBSN賞やシリウスSで1800m以上をこなすようになり、距離適性に幅が出てきた。むしろ前走1600m戦でついていけなかったあたり、距離が延びるのはプラスに働きそうだ。M.デムーロ騎手とのコンビでは【2-2-1-2】で着外の2度はいずれも4着とかなりの好相性を誇るのもプラス。外枠を引いてしまったため対抗としたが、ある程度先行できるので4角で大外を回らされる可能性は低そう。状態はいいので好勝負になる。
▲デュードヴァン
前述のデータ面でも触れた師走S組。前走は久々の1800m戦だったが中団からしぶとく伸びて3着。昨年の東海Sにも出走してクビ差の4着と、1800mでは勝利こそないが大崩れもしていない。今回は絶好の4番枠を引き当て、内でじっと脚を溜めることができそうなのが最大のプラス要素だ。そこまで人気しないと思われるので、配当妙味も含めて3番手に推したい。
△オーヴェルニュ
昨年の東海S勝ち馬であり、その勝ち方は非常に強かった。前半1000m59.2という速い流れに被せて行ってそのまま押し切っており、持っている能力という点では一番と言ってよい。距離こそ違うが、同じく中京で行われた平安Sでも58kgを背負ってレコード勝ちを収めており、中京競馬場を得意としているのはプラスだ。
ただどちらも不良or重馬場であり湿ったダートの方が合っているのも事実。現時点での天気予報では大きな降水はなく、爆発的な強さを見せるかは微妙なところだ。近年はコパノリッキー、テイエムジンソク、インティ、オーヴェルニュと強い先行馬が人気に応えて勝っているが、昨秋の内容がイマイチなことを踏まえると人気の割に信頼しづらい。能力は高いのでこれ以上評価を下げられないが、上位3頭の方が狙いやすいと見て4番手にとどめる。
×サンライズホープ
昨年のシリウスS勝ち馬で、中京コースは【2-1-0-1】の好相性。シリウスSでは先行してしぶとく残し重賞初勝利。決して楽なペースだったわけではなく、十分強い内容だった。しかし前走のチャンピオンズカップでは、直線で寄られてスムーズさを欠き15着に大敗。不利があったとはいえ流石に負けすぎで、今回の人気になる馬としては不安が残る内容だった。大敗からの巻き返しも多い東海Sだが、1着馬は前走好走馬が占めており、勝ち切るまでは厳しいとみて押さえの5番手にとどめる。
☆ゲンパチルシファー
穴ならこの馬を推したい。前走のベテルギウスSではスタート後にダッシュが付かず最後方からとなったが、それでも上がり最速の脚を使って7着まで押し上げた。前が有利な展開だったことを考えれば能力自体は秘めていると言ってよいだろう。本来は2、3走前のようにある程度の位置を取れる馬であり、前走の位置取りは例外とみたほうが自然だ。馬体重もプラス16キロで流石に重かった面もあり、叩いて絞ってくることができればもっと走れるはず。枠もまずまずで、内に上手く潜り込めればチャンスがある。
買い目は馬連フォーメーション◎◯-印で強弱をつけて勝負したい。本線は◎◯▲の3頭だ。(文:川崎)
▽東海S予想印▽
◎アイオライト
◯ブルベアイリーデ
▲デュードヴァン
△オーヴェルニュ
×サンライズホープ
☆ゲンパチルシファー
ライタープロフィール
京都大学競馬研究会
今年で25周年を迎える、京都大学の競馬サークル。馬主や競馬評論家など多くの競馬関係者を輩出した実績を持つ。また書籍やGⅠ予想ブログ等も執筆。回収率100%超えを目指す本格派が揃う。
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