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【セントウルS】重賞で3戦連続2着のカレンモエが中心 穴は立て直された効果に期待のラウダシオン

2021 9/11 17:00山崎エリカ
2021年セントウルSPP指数,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

中京芝1200mは逃げ馬受難

今年のセントウルSは昨年と同じ中京芝1200mが舞台。中京芝1200mは、向上面の半ばからスタートして緩やかに100mほど坂を上った後、最後の直線序盤まで坂を下って行くコース。坂を下るコースはペースが上がりやすく、逃げ、先行馬が苦戦の傾向。実際に中京芝1200mで行われた過去10年の重賞では、逃げて1着入線した馬は1頭もいない。2着も2013年CBC賞のハクサンムーンと、昨年の高松宮記念のモズスーパーフレア(クリノガウディーの降着により、繰り上がり1着)のみである。

中京開催は例年4回で昨年は3回。しかし今年は6回もある。4回開催が4日間だったとはいえ、今開催の芝は次開催を意識して、金曜日正午の段階でクッション値10.3と硬めに作られているので、高速馬場になる可能性が高い。馬場の悪い内側も張り替えられ、エアレーション&シャタリング作業もされているので、大きな内と外の差もなさそうで、ペースは速くなるだろう。

能力値1~5位馬の紹介

2021年セントウルSPP指数,ⒸSPAIA



【能力値1位 クリノガウディー】
初めての芝1200m戦となった一昨年の高松宮記念では、3列目の外からレースを進め、直線で先頭のモズスーパーフレアを捉えに動いた際に内に刺さり、内から伸びて来ていたダイアトニックの進路を妨害。1着→4着降着となったが、スプリント能力の高さを見せつけた。その後やや低迷した時期もあったが、近2走は中京の鞍馬S、安土城Sを連勝。芝1200mの前々走、鞍馬Sは出たなりで中団の外からレースを進めた。直線で内に切れ込みながら抜け出し、ラスト1Fでは先頭。一旦は3馬身ほど差を広げての完勝だった。

芝1400mの前走は、前々走で芝1200m戦を使った後の一戦で二の脚が速く、ハナに立ちそうな勢いがだったが、ブレーキをかけ掛かりながらも好位の中目に入れた。前半3F33秒7の芝1200mのような速い流れになったことから、この控える判断が功を奏し、直線ではクリノガウディーらしい伸びを見せることができた。しかし、ここでも抜け出してから内に刺さる面を見せていた。

同馬は苦しくなると左にヨレる癖があり、岩田騎手に乗り替わってからは、左回りで内に馬がいる場合、見せ鞭や手綱を右に引っ張るように修正しているので、問題ないだろう。また、トップスピードを長く維持できず、終いで甘さを見せることから、ラスト1Fがほぼ平坦の中京コースは合っている。今回は休養明けだが、ここで2着以内に入らないとスプリンターズS出走が危うい立場。目標は次走としても、ある程度の本気は見せてくれるだろう。

【能力値2位 レシステンシア】
2歳時の阪神ジュベナイルFでは、かなりのハイペースで逃げ、古馬オープンレベルの指数「-21」で楽勝したほどの馬。瞬発力はあまりないが、高いスピードを維持できる能力があり、前に行ってそのスピードを生かしてこその面がある。休養明けとなった3走前の阪急杯では、マイペースで逃げて自己最高指数の「-23」で優勝。成長力も見せつけた。

前々走の高松宮記念では、阪急杯から1Fの距離短縮だったこともあり、行きっぷりが悪く、また外枠だったため好位の外目からの競馬となった。しかし馬場は内が緩く、外のほうが伸びる状態だったため、これが功を奏した形となった。さらに自身が目標にされなかったことで、展開も楽になり2着を死守。

前走のヴィクトリアマイルは、大外枠から好スタートを切ったが少しつんのめり、内のスマイルカナに行かせて2列目の外からの競馬。レシステンシアが折り合ったことで、ペースが上がり切らず、決め手負けしてしまう形になった。グランアレグリアは別格としても、思い切って逃げていれば2着争いに食い込めた可能性はある。マイル戦でも悪くはないが、よりスピードが行かせる短距離がベストだろう。前からスピードを生かす競馬なら巻き返せそうだ。

【能力値3位 カレンモエ】
4走前の3勝クラス、長篠Sではシャンデリアムーンがかなりのハイペースでレースを引っ張り、後半に向けラップが減速して行く中、2列目の内でレースを運んでオープン級の指数「-20」で勝利。3走前の京阪杯では、外差し馬場を中目の2列目でレースを進め、5頭の大接戦の2着。前々走のオーシャンSでは、2列目の内でレースを進め、同じ列の外を追走していたコントラチェックと、直線で叩き合いの末、2着に敗れた。

前走の函館スプリントSも大外枠だったため、控えてビアンフェに行かせ2列目の外からじりじり差を詰めての2着。このレースはビアンフェが激流に持ち込み、ラスト1F12秒3まで減速していることを考えると強い内容だったが、どうしても終いが甘くなるのがカレンモエの弱点でもある。

その理由として、ゲートも上手で二の脚も速いため、常に2列目の2番手でレースを進めていることが挙げられる。もう少し控えたレースができれば面白いが、同馬なりに地力も付けている。前走で厳しい流れを経験したことが、ここでの粘り強化に繋がればチャンスは十分ある。

【能力値4位 ジャンダルム】
新馬戦、デイリー杯2歳Sを連勝し、ホープフルSでも2着と2歳時から活躍していた馬が、ここに来てさらに地力を強化。前々走の春雷Sでは、二の脚の速さで好位の外を取って追走。楽な手応えで直線に入り追い出されると、あっさり抜け出し2馬身半差の勝利。とても強い勝ちっぷりだった。前走の北九州記念はスタートが悪く、中団のやや外を追走し、結果は7着。力を出し切れておらず、今回の前進は期待できる。ただ前走は外差し馬場で、展開自体は恵まれていた。そこをどう解釈するかだろう。

【能力値5位 ラヴィングアンサー】
4走前のタンザナイトS、前々走の北九州短距離Sとオープンを勝利している実力馬。芝のオープン1200m戦は通算3勝している。ただし好走パターンは毎回脚を目一杯溜めての追い込み一本。よって展開次第の面がとても大きい。今回は開幕週だけにあてにはならないが、前がどこまでペースを引き上げるかによってはチャンスがあるだろう。

■穴馬は立て直されたラウダシオン
前々走京王杯スプリングCで3歳時のNHKマイルC以来、約1年ぶりの優勝を収めたラウダシオン。前々走はまずまずのスタートから促して、先頭をうかがいながら内のビオグラフィーを行かせて2番手の外。同馬が大逃げしたがペースはそれほど速くならず、2番手で立ち回ったことで展開に恵まれた。また、NHKマイルCもレシステンシアがスローペースで逃げた中、2番手から前有利の展開を利して優勝している。

前走の安田記念は、トーラスジェミニの直後で終始レースを進めた。4角で手が動いて直線を向かえたが、直線の伸びはひと息。ラスト1Fを過ぎて手応えが怪しくなったところで、内の馬と外に挟まれる不利もあり、14着と殿負けを喫した。

前走はトップクラスが相手で、マイル戦で距離も長かった。そこで勝ちに行く競馬をしたことも敗因のひとつだが、本調子になかった可能性が高い。それだけに立て直された今回は変われる可能性が高い。今年1月のシルクロードSでも3着の実績があるように、中京芝1200mも合うはずだ。

※パワーポイント指数(PP指数)とは?
●新馬・未勝利の平均勝ちタイムを基準「0」とし、それより価値が高ければマイナスで表示
例)クリノガウディーの前走指数「-21」は、新馬・未勝利の平均勝ちタイムよりも2.0秒速い
●指数欄の背景色の緑は芝、茶色はダート
●能力値= (前走指数+前々走指数+近5走の最高指数)÷3
●最高値とはその馬がこれまでに記録した一番高い指数
能力値と最高値ともに1位の馬は鉄板級。能力値上位馬は本命候補、最高値上位馬は穴馬候補

ライタープロフィール
山崎エリカ
類い稀な勝負強さで「負けない女」の異名をとる女性予想家。独自に開発したPP指数を武器にレース分析し、高配当ゲットを狙う! netkeiba.com等で執筆。好きな馬は、強さと脆さが同居している、メジロパーマーのような逃げ馬。



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