先行経験値がなければ勝負にならない
超高速コースの小倉芝での短距離2歳重賞・小倉2歳Sだが、土曜には1800m戦の札幌2歳Sもあり、こちらに出走する馬は明らかに短距離を意識した馬が多くなる。過去10年の結果を見てみても、前走4番手以下だった馬の勝ちはゼロ。とにかく基礎的な部分で一定の先行力を持っていないと話にならないレースだ。
だが、小倉2歳S自体はけっこう後ろの位置取りでも勝ち馬が出ている。つまり「先行力をある程度持っていたうえで、位置取りが下がっても大丈夫な馬」を探すのが小倉2歳Sでの基本的な予想軸だ。
しかし、差しが決まるパターンは限られていて、過去10年で差し馬が1着になった2例はいずれも3F目が10秒台となるハイペースだった。今年は天気が木金で雨が降る予報。土日も曇り中心で、良馬場だとしてもパンパンの良馬場ではなさそう。かつ、前走逃げた馬は4頭しかおらず、3F目に10秒台が出るような状況ではない。今年は数多い「先行馬」が中心の年であると決め打ちしよう。
小倉2歳Sは前傾ラップの年が中心で、前半3Fが33秒台、後半3Fが35秒台というのが標準的だ。「わーっと行って、余力勝負」の形だ。このペース配分の経験がある馬は登録馬に3頭いる。
インプロバイザーは6月中京の新馬戦で後方から追い込んで2着とまったく短距離らしくない走りをした後、7月小倉の新馬戦で前半33.3を2番手から、後半34.6で抜け出して1着。今回のレースにがっちりマッチした走りで勝っている。前半33.3は今回の登録馬の中でもっとも前半ペースが速いレースを経験していることになる。未勝利勝ち馬ということで1番人気になりづらそうなところを考えると配当期待値は高い。ただ、直線では後ろに詰められており、余力はなさそうだった。この馬がモノサシになるだろう。
前半33秒台を経験した馬は残り2頭。ショウナンマッハが小倉新馬で33.7、ソリッドグロウが函館新馬で33.8を経験している。この2頭についてはどちらも逃げ切り勝ちであり、小倉2歳Sでは折り合えるかどうかが難点だが、プラス材料はショウナンマッハが2着と0.5秒差、ソリッドグロウに至っては1.1秒差の楽勝だった点で上積みが見込めるところだ。
オッズがどう固まっていくか難しいレースだが、インプロバイザー、ショウナンマッハ、ソリッドグロウの3頭を中心に馬券を組み立てていくのがよさそうだと当記事では判断したい。
<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。
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