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【アイビスSD】活躍目立つ「牝馬」と「マイナー血統」 カルストンライトオのレコード勝ちなど歴史を振り返る

2021 7/20 06:00緒方きしん
アイビスSD過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

新潟名物・直線重賞が今年もやってきた

今週は夏の風物詩、アイビスサマーダッシュ。日本で唯一の直線1000mで開催されるGⅢで、毎年楽しみにしているファンも多いレースだ。2001年に新設された比較的歴史の浅い重賞ながら、直線という独特な条件により数々の名勝負を生み出してきた。

今年は、直線1000m競走で4勝の実績馬ライオンボス、マイル重賞2勝のロジクライ、前走の韋駄天S(OP競走・直線1000m)を14番人気で勝利したタマモメイトウ、昨年の京王杯2歳S勝ち馬モントライゼなどバラエティ豊かなメンバーが揃った。

独特な条件だけに、独特な血統を持つ馬の参戦も多い。韋駄天Sの3着馬ロードエースは、父エーシンフォワード・母父エイシンサンディ・三代母がエイシンマリアンナという「エイシン/エーシン」血統馬。他にもロードアルティマ産駒ヒロイックアゲン、ジョーカプチーノ産駒セピアノーツ、ローレルゲレイロ産駒リッチクレマチスといった血統の馬が出走登録をしている。

今年はメジャー血統か、マイナー血統か──。アイビスサマーダッシュの歴史を振り返る。

1番人気は信頼度◎

アイビスSD過去5年間の優勝馬,ⒸSPAIA



ここ5年で1番人気は3勝。さらに敗れた2頭もどちらも2着と、1番人気馬の信頼度は高い一戦だ。近10年に範囲を広げても1番人気馬は7勝と、やはり圧倒的な安定感を誇る。

一方で、3着以内に中穴が食い込むことも少なくない。昨年は9番人気ビリーバーが3着に食い込み、2番人気ジョーカナチャンとのワイド配当は20.1倍となった。2019年も9番人気オールポッシブルが3着となり、3番人気カッパツハッチとのワイドは40.5倍となっている。2018年、2017年にも8番人気馬が馬券に絡むなど、人気馬と中穴のワイドを狙うのも面白い。

また、牝馬の活躍する重賞としても知られるアイビスサマーダッシュ。2020年には、掲示板に食い込んだ5頭のうち4頭が牝馬という結果になった。牝馬が上位の大多数を占めるのは決して珍しいことではなく、2017年以降4年連続で「掲示板の過半数が牝馬」という状況が続いている。

勝ち馬を見ても、2020年ジョーカナチャン・2018年ダイメイプリンセス・2016年ベルカントと、5年間で3頭の牝馬が勝利。特にベルカントは、前年の2015年にも同レースを制覇している。

史上最強クラスの1000m逃げ馬、カルストンライトオ

アイビスサマーダッシュを語る上で欠かせないのが、ウォーニング産駒のカルストンライトオ。創設初年度から出走し、重賞未勝利の3歳馬ながら1番人気に推された。結果は3着だったが、翌年に再出走するとリベンジを達成、重賞初制覇を果たした。

カルストンライトオはアグネスタキオン・ジャングルポケット・クロフネらと同世代の98年生まれ。結局アグネスタキオンらと激突することはなかったものの、徹底した逃げのスタイルから人気を集めた馬だった。類い稀なスピード感から上位人気に推されながらもなかなか勝ちきれていなかった同馬が、遂に勝ち取った重賞タイトルがこのアイビスサマーダッシュ。しかもレコードタイムというおまけつきである。

カルストンライトオは2004年にもアイビスサマーダッシュを制覇すると、勢いそのままにその次走スプリンターズSでサニングデール・デュランダル・シーイズトウショウらを相手に勝利。見事、GⅠ馬となった。鞍上は大西直宏騎手。サニーブライアンと華麗な逃げで皐月賞・ダービーを制した同氏にとって、この鮮やかな逃げ切り勝ちが最後のGⅠタイトルとなった。さらに翌年もカルストンライトオはアイビスサマーダッシュに挑戦し、4着と好走している。

今年もマイナー血統が躍動するか

引退が近づいたカルストンライトオが4着に敗れた2005年アイビスサマーダッシュを制したのは、3歳牝馬のテイエムチュラサン。2着には4歳牝馬のウェディングバレーが食い込み、牝馬のワンツーとなった。この年を皮切りに、アイビスサマーダッシュは7年連続で牝馬が勝利。

2012年にスウェプトオーヴァーボード産駒のパドトロワが勝利するまで、完全に牝馬の時代が続いた。しかし一方で、直線1000mのレコードタイムは今もなおカルストンライトオの残した53.7。燦然と輝く名タイムである。

カルストンライトオは父系にMan o'Warを受け継ぐ貴重な血統馬でもあった。タイキシャトル産駒やサクラバクシンオー産駒の好走ももちろんあるが、2006年勝ち馬サチノスイーティーは父のカリスタグローリに唯一の重賞タイトルをプレゼントしている。さらに2018年2着馬ラブカンプーはショウナンカンプ産駒、2010年2着馬ジェイケイセラヴィはスクワートルスクワート産駒、2003年トーセンオリオンはカリスタグローリ産駒と、マイナータイプの種牡馬にも大いにチャンスがある舞台である。

今年もこの舞台で、マイナー血統が躍動することに期待したい。

《ライタープロフィール》
緒方きしん
競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。


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