波乱濃厚も軸馬候補はただ1頭
7月18日(日)に函館競馬場で行われる函館記念(GⅢ・芝2000m)。ラジオNIKKEI賞、七夕賞に次いで3週連続で行われるハンデ重賞に16頭が出走予定。
今年のフェブラリーS覇者で芝初挑戦となるカフェファラオや、新潟の福島民報杯を大差勝ちしたマイネルウィルトス、昨年の函館記念を15番人気で勝利したアドマイヤジャスタなどが顔を揃えたが、絶対的存在はおらず今年も波乱が予想される。夏競馬ですっかり荒んでしまった収支に潤いを取り戻すべく、今週もデータを踏まえて予想していく。

まず過去10年の函館記念のレース傾向を調べる。後半5Fが前半5Fよりも速いタイムだったのは16年のみで、MペースからHペースの年が多い。ただ今年は先行馬が少なく典型的な逃げ馬もいないことから、先行争いは激化せずペースは落ち着くと思われる。
ちなみに、前走で逃げた馬が1頭もいなかった19年は前後半ともに59.8秒で、1・2・3着馬が4角1・2・3番手の完全な前残りとなっていた。過去10年の3着以内馬30頭のうち4角7番手以下は8頭しかおらず、ペースの速い年が多い割に差し有利ではないため、馬券は先行できる馬を中心に組み立てるべきだろう。
また函館記念といえば、1番人気馬の【1-0-0-9】という成績に表れているように波乱傾向が特に強いレース。この10年の2着馬は全て7番人気以下で、軸馬の選択に心を砕く方も多いのではないか。以下ではそんな方々の役に立つデータを紹介したい。
まず前走重賞で6番人気以下だった馬が【7-4-5-43】と好走例に富んでいることに注目。そしてこのうち下馬評を覆して5着以内に健闘した馬は【6-2-0-3】で、その連対率はなんと73%にもなる。今年唯一これに該当するのはトーセンスーリヤ。軸馬として強くオススメしたい。
巴賞組はあえて大敗馬を狙うべし

〈過去10年の函館記念・前走クラス別成績〉
OP【2-6-3-64】勝率2.7%/連対率10.7%/複勝率14.7%/複回収率79%
巴賞【1-5-2-46】勝率1.9%/連対率11.1%/複勝率14.8%/複回収率84%
GⅢ【4-2-4-32】勝率9.5%/連対率14.3%/複勝率23.8%/複回収率150%
目黒記念【3-0-0-9】勝率25.0%/連対率25.0%/複勝率25.0%/複回収率70%
次にローテ面から好走パターンを探る。今年は条件戦組が不在、GⅠ組は地方のダートJpnⅠから来る例外中の例外カフェファラオだけなので、これらについては割愛する。まず前走OP組は【2-6-3-64】と出走数の割には振るわない成績。
このうち今年も5頭が該当する前走巴賞組について詳しくみると、掲示板外に敗れた馬が【1-4-1-20】と巻き返しが目立つ。逆に前走5着以内の馬は【0-1-1-26】と大苦戦で、このうち斤量が56kgよりも重ければ【0-0-0-15】と好走例が皆無。巴賞勝ち馬のサトノエルドールは危険な人気馬と言わざるを得ない。
そしてGⅢ組は【4-2-4-32】で複回収率が150%と最も優秀な組。過去10年で大半の8レース、この組から3着以内馬が出ており、1頭くらいは絡んでくるグループとなっている。今年はトーセンスーリヤ、バイオスパーク、ワセダインブルーの3頭しか該当しないため、取り敢えず全頭押さえておくのも一つの手だ。
最後に目黒記念組。この組は【3-0-0-9】でまさにピンかパーといった成績だが、勝ち馬3頭の共通点は函館記念で4番人気以内に支持されていたこと。展開が向かなかったとはいえ前走大敗を喫し、そこまでの支持を集めることは考えにくいアイスバブルとディアマンミノルには厳しいデータだ。
逃げ馬不在で展開利する先行勢重視
◎トーセンスーリヤ
連覇のかかった新潟大賞典ではHペースを先行する苦しい競馬ながらも差のない4着に健闘。その新潟大賞典では9番人気に甘んじており、先に挙げた「前走重賞で6番人気以下&5着以内」という連対率73%の超・好データに該当する。
先行力を備えている点もレース傾向的にアドバンテージで、昨年の宝塚記念のように逃げの手を打つ可能性もある。いずれにせよ楽に前目のポジションにとりつけることは間違いなく、19年のように前残りの展開になれば粘りこみは必至だ。さらに札幌・函館成績は【1-4-1-2】と洋芝適性を証明済みで、舞台替わりにも不安がない。
◯ジェットモーション
巴賞大敗組からはジェットモーションを推す。その巴賞では直線で詰まって満足に追えないまま終わってしまい、本来の力を出し切れなかった。着差が0.3秒なだけにスムーズならより上の着順であったことは間違いなく、OPクラス以上のレースで用なしとするのは早計。函館についても、直線平坦で小回りの小倉で2勝を挙げていることから舞台適性はあるはずで、今度こそ能力全開で力を示して欲しい。
▲マイネルウィルトス
急きょの代替開催、芝の生育が間に合わないところに不良馬場という極度にタフなコンディションで行われた前走福島民報杯では2着馬に1.8秒差をつける圧勝劇を演じた。パワーを要する馬場は得意で、札幌でも【0-1-1-0】と崩れていないように洋芝は歓迎。脚質的にも好走パターンにマッチしている上、丹内騎手とのコンビでは【3-5-3-1】と高い水準で安定している点を素直に評価したい。ここで好走すれは凱旋門賞への出走がいよいよ現実味を帯びてくるという意味でも注目だ。
△ワールドウインズ
56kgの斤量はさすがに見込まれた感があるが、今回のメンバー中貴重な先行馬であることに変わりはない。前走の巴賞ではジェットモーションと同じく進路に窮しており、やはり見直しがきく。また鞍上の武豊騎手は先週の日曜函館【2-1-2-1】と好調で、レジェンドの手綱捌きにも大いに期待したい。
以下、前目で競馬できる昨年の3着馬バイオスパークと、小回りコースが得意で条件を一変させてきたワセダインブルーまで印を回す。そして人気が予想されるカフェファラオは消しとした。集中力に課題があるこの馬にとってコーナー4つのこの舞台は不向きであるし、初芝や最重量58.5キロの斤量など不安要素が目白押し。これが嫌われて人気を下げるなら抑える余地もあったが、メンバーが比較的手薄なためかまずまず人気しそうな点も購買意欲を減退させる。
▽函館記念予想▽
◎トーセンスーリヤ
◯ジェットモーション
▲マイネルウィルトス
△ワールドウインズ
×バイオスパーク
×ワセダインブルー
《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。
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