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【函館記念】差しが決まりやすい馬場状態 巴賞敗戦組から巻き返しがあるならジェットモーション

2021 7/15 17:00三木俊幸
函館記念の馬場適正チャート,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

3着内馬の40.5%が4角6番手以下

今年は変則日程の影響で7月3日に開幕した函館開催だが、早いもので中盤に差しかかる。今週の日曜日に行われるのは伝統の一戦、函館記念(GⅢ・芝2000m)。ダートGⅠフェブラリーSを勝利しているカフェファラオが芝のレースに初挑戦ということで注目が集まっている。

ハンデ戦で波乱の気配も漂うが、函館競馬場の芝コースはどのようなコンディションとなっているのか、また出走馬の馬場適性はどうなのかという角度からレースを分析していく。

先週土曜日の函館競馬場の天気は曇り、芝は良でスタート。クッション値は7.2、ゴール前の含水率は14.3%だったが、昼過ぎから雨が降り出し、8Rからは稍重へと変更された。日曜日は終日曇りだったものの稍重。朝の時点ではクッション値6.9、ゴール前の含水率は17.7%という馬場状態だった。

7/10・11の函館芝コースタイムと上がり,ⒸSPAIA

そういう状態だったこともあり、勝ちタイムは土曜6Rの3歳未勝利戦(芝2000m)が2:03.0、日曜9Rの3歳以上1勝クラス(芝2000m)は2:02.6。11Rの3勝クラス戦、五稜郭S(芝1800m)は1:48.6と全体的に時計は掛かっていた。

もともと上がりの掛かる函館コースではあるが、先述の日曜9Rはハイペースで流れたということもあるものの、勝ち馬ブルームスベリー(4角5番手)は36.9、2着馬プレミアエンブレム(4角3番手)、3着馬ペルソナデザイン(4角7番手)は37.0とバテ比べのような形に。それでもスローペースとなった五稜郭Sの上位好走馬が35秒台前半の上がりだったところ見ると、ほぼ良に近い馬場状態まで回復していたと考える。

7/10・11の函館芝コース通過順位,ⒸSPAIA

3着内馬の通過順位を見ると、14レースのうち逃げ切りは新馬戦の1頭のみ。対して4角6番手以下だった馬は、3勝、2着8回、3着6回で全体の40.5%と多く、差しが決まりやすい馬場だったことが見て取れる。開幕週から比較的差しが届く馬場状態にあった点、先週末に雨の中でレースが行われたことを考慮すると今週末も差し馬の台頭は多く見られるだろう。

スムーズなら巻き返せる

そうした点に加えて、ハンデと各馬の馬場適性を踏まえた結果、以下の馬をピックアップした。その中でも特に注目したい本命候補には馬名の前に☆をつけている。

なお初芝で注目のカフェファラオについては、母Mary’s Folliesがアメリカで芝の重賞を2勝しているという点、父American Pharoah産駒はアメリカ、フランスで芝の重賞ウィナーを輩出している点からもこなせないことはない。時計が掛かり、差し馬の台頭も可能な今の函館コースも向いているが、初芝で58.5kgというハンデを考えると様子見が無難だろう。

函館記念の馬場適正チャート,インフォグラフィック,ⒸSPAIA

【☆マイネルウィルトス】
前走の福島民報杯は不良というタフな馬場の中、後続に1.8秒差をつける大差勝ち。その他、3着内に好走しているレースを見ても時計の掛かる馬場でのものが多いだけに、函館コースは合っていると言える。

【トーセンスーリヤ】
下級条件でのものであるが函館コースは3回走っていずれも2着、勝ち切れてはいないものの洋芝への適性は高い。極端に馬場が悪くなると2走前の福島民報杯のように厳しいが、今回は雨の心配がない中でレースを迎えられる。立ち回り一つといったところだろう。

【☆バイオスパーク】
昨年の函館記念は内を回って3着。その後福島記念でも内を上手く立ち回って接戦を制し、重賞初制覇を飾っている。ハンデ57kgを背負っている近3戦は結果が出ていないが、差しが決まる馬場で立ち回りの上手さを活かせればチャンスはあるだろう。

【ワールドウインズ】
前走の巴賞は好位からレースを進めるも4着。しかし直線では4角で1列前にいた1、2着馬が馬体を併せており、左右にも囲まれてしまうレースだった。ひと叩きされた上積みに期待したい。

【☆ジェットモーション】
この馬も前走巴賞組。7着という結果に終わったが、勝ち馬とは0.3秒差。直線では先述のワールドウインズ以上に進路がなく、まともに追えていなかった。距離延長はプラス材料、スムーズに走れれば突き抜ける可能性も十分ありえる。

【ハナズレジェンド】
昨秋から4戦連続でダート戦を使われていたが、前走の都大路Sで久々の芝に戻り、上がり最速の33.9を使って5着。まだまだ芝でもやれることを証明した。展開の助けが必要だが、追い込みが決まる流れになれば怖い存在だ。

ライタープロフィール
三木俊幸
編集者として競馬に携わった後、フリーランスとなる。現在は競馬ライターとしてだけでなく、カメラマンとしてJRAや地方競馬など国内外の競馬場で取材活動を行っている。



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