「スポーツ × AI × データ解析でスポーツの観方を変える」

【七夕賞】クレッシェンドラヴ連覇に黄色信号! 前走新潟大敗は好走サイン!? 一変なるかヴァンケドミンゴ

2021 7/4 16:59勝木淳
七夕賞インフォグラフィック1ⒸSPAIA
このエントリーをはてなブックマークに追加

「七」にまつわるジンクス

JRA重賞でレース名に数字が入る(2歳Sは除く)レースはともにサマーシリーズの北九州記念と七夕賞。七夕賞はこれまで9年間(11年は中山で施行)で7番人気は【0-2-2-5】複勝率44.4%。20年も7番人気ブラヴァスが2着に入り、このデータが適用された。その一方で、昨年以前の8年間【0-0-0-16】、「七夕賞の7枠は消し」というデータは崩れた。崩したのは前出のブラヴァス。7番人気と7枠がかち合った結果、7番人気が勝ったということだ。

ちなみに馬番7番はこの9年間で【0-0-3-6】。3着3頭は7、1、16番人気、ここにも7番人気が……。このデータ、最後の出現は15年。ここ5年出ていないのはかえって不気味だ。数字遊びはこのあたりにして、ここでは福島で行われた過去9年間のデータをみながら、七夕賞の傾向をつかんでいく。


穴狙いならとことんフルスイング

過去9年人気別成績ⒸSPAIA


06年サマー2000シリーズ創設当初から開幕戦を務めている七夕賞は、伝統的に強い馬が勝ちにくいレースである。ここ9年間も1番人気は【2-1-1-5】でわずか2勝。半数以上が馬券圏外である。とはいえ、3番人気以内は【6-2-1-18】で上位人気が勝つ傾向もある。3番人気以内から1着候補を選ぶ作戦も悪くない。一方、4~9番人気で勝利した馬は14年5番人気メイショウナルトのみで、半端な穴馬の単勝は厳しい。であれば10番人気以下【2-1-5-47】が狙い。9年で3着5頭が10番人気以下なので、振り回すならフルスイングしたい。


過去9年年齢別成績ⒸSPAIA


年齢別で目立つのは4歳【2-2-1-9】勝率14.3%、複勝率35.7%。4歳は出走数のわりに好走馬を出す。今後は降級制度廃止にともない4歳オープン馬が増え、出走回数は増加傾向。20年は6頭と以前の倍以上出走、2着ブラヴァス、3着ヴァンケドミンゴという結果だった。今年は昨年ほどの出走頭数ではないが、ブラックマジックとワーケアがおり、注目したい。5、6歳は互角で7歳以上のベテランからも好走馬が出る。


過去9年斤量別成績ⒸSPAIA


ハンデ戦ということで斤量別成績に注目。軽ハンデの一発はそこまでなく、52キロ以下だと【0-0-2-13】。53~56キロまでは好走馬がまばらで、57キロ【5-2-0-15】勝率22.7%、複勝率31.8%がピーク。57.5キロ【1-0-0-3】、58キロ【0-2-1-3】と重いハンデを課される馬が強い傾向には気をつけたい。牡馬としては軽量の部類に入る53~55キロあたりからも好走馬が出るが、候補が多く狙いを絞りにくい。であれば重いハンデを背負った組に視点を置くという作戦も悪くない。ただし斤量に恵まれる牝馬は【0-0-0-10】。


ヴァンケドミンゴ巻き返しも

それではここからは個別に前走レースから好走パターンに該当するかどうか調べていこう。


過去9年前走クラス別成績ⒸSPAIA


まず前走GⅠは【0-1-1-5】と勝ち馬が出ておらず、2、3着も1頭ずつで頼りない。GⅠを使ってさらに夏もとなると、状態の維持が難しいのではないか。ミヤビランベリ以来の連覇を狙うクレッシェンドラヴやトーラスジェミニは過信禁物か。

では好走馬が多いGⅢ【6-4-1-56】とオープン・リステッド【2-3-4-22】について詳しく掘り下げよう。


過去9年前走GⅢ組レース別成績ⒸSPAIA


前走GⅢ組のレース別成績をみると、鳴尾記念【2-2-0-13】勝率11.8%、複勝率23.5%、エプソムC【2-0-1-15】勝率11.1%、複勝率16.7%と、間隔が詰まる6月施行のレースから好走馬が出ている。前者からは2着ショウナンバルディ、7着クラージュゲリエ、後者は8着ワンダープチュック、13着プレシャスブルーなどが予定している。


過去9年前走GⅢ組着順別成績ⒸSPAIA


ではGⅢ組を着順別成績から整理してみる。前走2~4着馬は【0-4-1-11】で勝てはしないが、好走はするといった感じ。ショウナンバルディは軸候補にはよさそう。勝ち馬は前走5着以下から出ており、6~9着【2-0-0-18】、10着以下【3-0-0-24】と前走GⅢで大きく負けた馬の一発巻き返しに警戒。クラージュゲリエ、ワンダープチュック、プレシャスブルーは穴候補に考えたい。


過去9年前走オープン・リステッド組着順別成績ⒸSPAIA


最後にオープン・リステッド組について着順別成績をみると、前走1着【0-1-1-1】、2着【1-1-0-3】と好走馬は素直にいい。都大路S1着マウントゴールドはベテランでも侮れない。10着以下も【1-1-1-5】勝率12.5%、複勝率37.5%と油断ならない。福島巧者のヴァンケドミンゴは、前走新潟で行われた福島民報杯13着大敗だが、待望の福島出走、これはむしろ好走のサインかもしれない。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース公式コメンテーターを務める。


七夕賞インフォグラフィック2ⒸSPAIA



《関連記事》
デアリングタクト、コントレイルも敗戦の春競馬 「雨の日の競馬は荒れる」は本当なのか
トップはキタサンブラックの18億7684万円 アーモンドアイは何位?競走馬JRA獲得賞金ランキング
上手な付き合い方のコツは?ルメール騎手の「買える、買えない条件」