今年も牝馬
2021年5月30日、東京競馬場で第88回日本ダービーが行われる。今年は桜花賞2着馬サトノレイナスがダービーへ参戦。牝馬のダービーといえばウオッカの名前が思い浮かぶが、ここ10年で出走した牝馬は、2014年のレッドリヴェール(12着)だけ。サンプルが少なく、データ予想をする上でこの馬の扱い方が重要なポイントとなりそう。
先週行われたオークスは1番人気馬が着外に沈んでしまったが、果たしてダービーは人気通りに収まるのかどうか。今回も過去10年のデータと照らし合わせて、好走馬、そして勝ち馬を探していきたい。


競馬に携わる者なら、誰もが憧れる「ダービー〇〇」の称号。その昔「ダービー馬のオーナーになることは一国の宰相になることより難しい」と英国首相が言ったとか、言ってないとか。それはともかく、馬の能力や陣営の努力はもちろん、「運」も味方して初めて、その称号を手にすることができるのだろう。
ここ10年で「ダービージョッキー」に輝いたのは美浦所属1人に対し、栗東はのべ9人。「ダービートレーナー」は美浦所属2人、栗東所属はのべ8人。西高東低の傾向となっている。


オークスは桜花賞と忘れな草賞組が好成績を残していた。ダービーはというと、やはり一冠目の皐月賞組が強く、連対馬20頭のうち15頭が該当。続いて京都新聞杯組の3連対。近年のダービー馬はこの2レースからしか出現していない。
なかなか勝ち馬が出ないことで有名になってしまった青葉賞組は【0-2-3-19】。連対なら可能性はあるので、相手候補には考えておきたい。なお、連対馬はこの3レースからしか出ていない。
続いて前走結果を調べてみると、6着以下に負けた馬、前走で6番人気以下の馬、そして前走でコンマ6秒以上負けていた馬の連対率はいずれも3%を切っている。上記の条件に該当しながらも、ダービーで好走したのはどのような馬だったのか。
まず前走6着以下だが、2017年の2着馬スワーヴリチャード(皐月賞6着)と、2018年の勝ち馬ワグネリアン(皐月賞7着)の2頭。スワーヴリチャードは2番人気、ワグネリアンは1番人気と、ともに皐月賞で高い評価を受けていた馬だった。
前走6番人気以下は2011年の2着馬ウインバリアシオン(青葉賞6番人気→1着)と2018年の2着馬エポカドーロ(皐月賞7番人気→1着)。ともに前走を勝っているところがポイントか。
そして前走でコンマ6秒以上負けた馬は、上記にも出てきた2018年の勝ち馬ワグネリアン(コンマ8秒)。ここに該当しても、前走(特に皐月賞)で人気した馬、そして前走勝ちの馬は評価を落としすぎないように注意したい。

ダービーブリーダーと言うのか、生産者部門ではノーザンファームが4勝、2着6回と堂々のトップ。しかし、それ以上に目立つのがノースヒルズ生産馬。【3-0-0-1】は驚異的な確率。ただ、今年は出走馬がいなかった。逆に不振が目立つのは社台ファーム。ここ10年で【0-0-1-21】と連対馬を出していない

セレクトセールをはじめ、市場取引馬の成績はどうなのだろうか。まずセール出身馬は63頭が出走。そのうち連対したのは6頭(2勝、2着4回)で、すべてセレクトセール出身だった。勝ち馬2頭の共通点はディープインパクト産駒、1億円以下、そして意外にも社台系以外の生産牧場となっている。

オークスは前走で内枠を引いた馬が苦戦するというデータを紹介したのだが、1~3着馬のすべてが前走で内枠を引いた馬。見事に裏目った。何だか申し訳ないが、ちなみにダービーでも同様のデータがある。懲りないやつだと思われるだろうが、データで分析している以上、使わないという選択肢はない。
オークスとは全く逆で、前走が1~3枠だった馬9勝に対して、4~8枠だと1勝しか挙げていない。オークスを踏まえて過信しすぎるのはよくないが、数字的に強いデータなのは間違いない。


最後にダービーにおけるプラスとマイナスデータを羅列していく。まずはプラスデータから。ここ10年のダービーはディープインパクト産駒(6勝)、キングカメハメハ産駒(2勝)、そしてハーツクライ産駒(1勝)が合計9勝。残る1勝はステイゴールド産駒だが、すでに死亡しておりこの世代に産駒がおらず、今年もこの3頭の産駒からダービー馬が誕生する確率が高いと考える。
可能性があるなら、オークスのようにキャリアが浅い種牡馬になるか。また、前走で差し、追い込みの競馬をした馬が8勝。これはオークスでも同様のデータがあった。そしてキャリア4、5戦の馬が14連対。あまりキャリアを重ねすぎるのもよくないようである。
マイナスデータの方だが、騎手が乗り替わったパターンは勝率0%。2着も1回しかない。ダービーが獲れそうな馬はそう簡単に手を離さないということか。22頭が出走してすべて着外というNHKマイルC組も苦戦必至。
最後に毛色。1989年に勝ったウィナーズサークルは芦毛初のダービー馬誕生で話題になったが、それ以来芦毛のダービー馬はいない。これもここ10年で勝率0%のデータなので活用できるかと思ったが、今年は登録の時点で芦毛がいなかった。














