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【NHKマイルC】前走逃げ馬の共存はない 東大HCが東京芝1600mを徹底検証

東京芝1600mコース分析インフォグラフィック,ⒸSPAIA

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コース紹介

今週は東京芝1600mを舞台に3歳マイル王決定戦、NHKマイルCが行われる。朝日杯FSを好時計で制したグレナディアガーズが主役を張るが、ニュージーランドトロフィーで圧巻の走りを見せたバスラットレオン、弥生賞ディープインパクト記念2着のシュネルマイスター、アーリントンC覇者ホウオウアマゾンなども見劣らず、例年同様に予想が難しい一戦となりそうだ。

東京芝1600mコース分析インフォグラフィック,ⒸSPAIA

当該コースが舞台の重賞は8レースを数える。グレード順に、GⅠは今週のNHKマイルC、古馬のマイル女王決定戦ヴィクトリアマイル、春の府中GⅠのラストを飾る安田記念の3レース。GⅡはマイルCSの前哨戦である富士S、GⅢは初春の伝統重賞・東京新聞杯、牝馬クラシック路線において重要なクイーンC、2歳GⅢにおいては屈指の出世レース・サウジアラビアロイヤルC、同じく2歳戦で牝馬限定のアルテミスSが行われる。今週はこのコースの特徴をデータで分析していく(使用するデータは2016年5月7日〜2021年5月2日)。

まずはコース概要。大箱を生かした綺麗なU字型のコースで、2コーナーをスタートしてしばらくゆるやかに下り、向正面半ばで坂を上る。3〜4コーナーの下りを出て500m超の直線に差しかかり、直線半ばから傾斜のなだらかな高低差2mの坂が待ち受ける。最後の平坦な300mを走り切ってゴールを迎える。

前走逃げ馬は共存しない

東京芝1600mの枠順別成績ⒸSPAIA



<東京芝1600m・過去5年の枠別成績>
1枠【34-35-35-415】勝率6.6%/連対率13.3%/複勝率20.0%
2枠【33-33-36-447】勝率6.0%/連対率12.0%/複勝率18.6%
3枠【48-34-34-455】勝率8.4%/連対率14.4%/複勝率20.3%
4枠【36-40-34-483】勝率6.1%/連対率12.8%/複勝率18.5%
5枠【48-51-39-491】勝率7.6%/連対率15.7%/複勝率21.9%
6枠【39-58-36-522】勝率6.0%/連対率14.8%/複勝率20.3%
7枠【51-44-67-602】勝率6.7%/連対率12.4%/複勝率21.2%
8枠【64-59-72-603】勝率8.0%/連対率15.4%/複勝率24.4%

枠別成績はほぼ横一線で、勝率トップは3枠、連対率トップが5枠、複勝率トップは8枠となっている。平場のレースではほとんどフラットに考えていいが、GⅠになると評価を下げたいのが1枠で、過去5年では【0-1-1-26】複勝率7.1%(馬券内は2018年安田記念スワーヴリチャード3着、2019年安田記念アエロリット2着)。スタートでのわずかな踏み遅れでレース運びが難しくなり、ごちゃつくリスクも高い内枠は高速マイル戦にとって決してプラスではないようだ。NHKマイルC史上でも1枠から勝った馬はいない。

なお、NHKマイルCで買っておきたいのは外枠。特に7・8枠の馬がまとめて凡走するケースは少なく、2003年東京競馬場改修以後の18レースのうち8割を超える15レースで該当馬が馬券になっている。例えば雨が大波乱を呼んだ2007年のレースでは、17番人気1着ピンクカメオと18番人気3着ムラマサノヨートーはそれぞれ7枠14番、8枠18番だった。ただでさえ難解なレースだけに、外枠の大穴からホームランを狙うのも一興だろう。

東京芝1600mの脚質別成績ⒸSPAIA



<東京芝1600m・過去5年の脚質別成績>
逃げ【44-42-49-218】勝率12.5%/連対率24.4%/複勝率38.2%
先行【144-129-110-900】勝率11.2%/連対率21.3%/複勝率29.9%
差し【131-131-134-1567】勝率6.7%/連対率13.3%/複勝率20.2%
追込【34-52-59-1329】勝率2.3%/連対率5.8%/複勝率9.8%

脚質別成績ではセオリー通り逃げ・先行が有利。クセのないワンターンのマイル、直線の長いコースとあって差し・追込有利のイメージがあるのか、特別戦では前走逃げ・先行の馬が単勝回収率113%・複勝回収率91%と買える。速い時計の決着では後方勢が物理的に届かない場合もあり、迷った場合はとにかく前で運ぶ馬を買いたい。

翻ってNHKマイルCは「特徴がないのが特徴」と言いたいほど、好走例が固まっている脚質がない。2003年以降の同レースでは逃げ:3勝、先行:5勝、差し:6勝、追込:4勝。複勝率ベースで見ても若干前有利という程度だ。

ただ今年は前走逃げた馬が多く、前が速くなる予想がつく。前走4角先頭だった馬は、同様の馬が他に複数いた場合、上記と同期間で【0-1-2-19】。2019年のグランアレグリアが1番人気5着、2007年のオースミダイドウが2番人気12着、2006年のフサイチリシャールが1番人気6着など、人気馬でも凡走が多い。さらに該当馬が同レースで2頭以上馬券に絡んだこともなく、バスラットレオン、ルークズネスト、ピクシーナイトあたりが共存する買い目は現実的ではない。

ミルコ・デムーロ、NHKマイルC3連覇へ

東京芝1600mの種牡馬別成績ⒸSPAIA



<東京芝1600m・過去5年の種牡馬別成績>
ディープインパクト【70-44-48-276】勝率16.0%/連対率26.0%/複勝率37.0%
キングカメハメハ【16-17-13-93】勝率11.5%/連対率23.7%/複勝率33.1%
キズナ【3-2-1-28】勝率8.8%/連対率14.7%/複勝率17.6%

種牡馬別成績ではディープインパクトが貫禄の数字。数々の産駒がGⅠを制してきたようにこのコースは庭といっていいほどの好相性を誇る。平場では複勝率4割を超え、単勝回収率102%、全頭買うだけでプラスが見込める。軍資金づくりにはもってこいだろう。NHKマイルC出走組でチャンスがありそうなのはランドオブリバティか。ホープフルSで逸走後は今一つの内容が続くが、きさらぎ賞は安全運転第一のレース、スプリングSは道悪と言い訳がきく。間違いなく人気薄だろうが買い目には入れておきたい。

キングカメハメハ産駒は複勝率3割超えも、全16勝のうち13勝が2勝クラス以下と、ハイレベルな戦いにはやや力不足の印象も。GⅠ・GⅡでは【0-0-1-13】、唯一の馬券内が2018年NHKマイルCレッドヴェイロンとあって消しと即断はできないが、人気を集めそうなホウオウアマゾンは過信しないようにしたい。バスラットレオンなどが該当するキズナ産駒もこの種牡馬にしては見劣る数字。

その他の種牡馬ではモーリス産駒(ルークズネストなど)【2-5-0-16】、フランケル産駒(グレナディアガーズ)は【3-1-1-9】。キングマン産駒(シュネルマイスター)は該当例がなかった。

東京芝1600mの騎手別成績ⒸSPAIA



<東京芝1600m・過去5年の騎手別成績>
ルメール【56-33-23-85】勝率28.4%/連対率45.2%/複勝率56.9%
川田将雅【10-6-7-26】勝率20.4%/連対率32.7%/複勝率46.9%
M.デムーロ【21-12-10-70】勝率18.6%/連対率29.2%/複勝率38.1%
福永祐一【11-11-10-60】勝率12.0%/連対率23.9%/複勝率34.8%

騎手別成績ではやはりルメール騎手がトップに君臨。昨年行われた東京芝1600mのGⅠは全て1番人気で【1-2-0-0】とパーフェクト連対を達成し、2018年安田記念では9番人気、連闘のモズアスコットを勝たせるなど隙がない。シュネルマイスターの大きな懸念材料である2000mからの距離短縮も、該当例では2017年クイーンCアドマイヤミヤビを筆頭に【4-1-0-2】複勝率71.4%。消しようがない。

ルメール騎手に続く川田将雅騎手も複勝率50%に迫る好成績。外枠からのレース運びは群を抜いており、7・8枠に限ると【6-2-5-5】複勝率72.2%、単複回収率130%超えと素晴らしい。ただしGⅠでは2017年安田記念サトノアラジンの勝利があるものの【1-0-0-12】と微妙で、上位人気濃厚の中で無条件に軸に据えられるかというと疑問符がつく。

NHKマイルC3連覇がかかるM.デムーロ騎手は複勝率こそ前述の2人に劣るものの、全体の単勝回収率は109%とさすがの数字。タイムトゥヘヴンは前走ニュージーランドトロフィー2着。前走ファルコンS2着からNHKマイルCを勝ったラウダシオンと被り、長男が誕生して新たな力を得たであろう今年も当然期待できる。その他福永祐一騎手もGⅠで【1-1-3-9】、人気以上の結果を残したデータが多い。

重賞で走る音無厩舎

東京芝1600mの調教師別成績ⒸSPAIA



<東京芝1600m・過去5年の調教師別成績>
音無秀孝【5-2-3-10】勝率25.0%/連対率35.0%/複勝率50.0%
戸田博文【10-9-7-50】勝率13.2%/連対率25.0%/複勝率34.2%
矢作芳人【8-2-3-43】勝率14.3%/連対率17.9%/複勝率23.2%

NHKマイルCに出走馬がいるトレーナーでは音無秀孝調教師が優秀。データは20例と少ないものの、出走の過半を占める重賞で【3-2-3-5】複勝率61.5%と安定している。インディチャンプだけでなくブラックスピネル、インフィナイト、ダンビュライト、レッドアヴァンセと複数頭が馬券圏内に好走しているのも相性の良さを裏付けており、ピクシーナイトは前走を気にせず買いたい。

タイムトゥヘヴンを管理する戸田博文調教師は二桁の勝ち星を積み上げている。GⅠには出走例がないものの、3歳馬全体では【6-6-3-20】と4割を超える複勝率となっており、デムーロ騎手の好データともども頭に入れておきたい。

バスラットレオン・ホウオウアマゾンの豪華2頭出しで挑む矢作芳人調教師は栗東のトレーナーとしては異例といっていい出走回数の多さ。モズアスコットの安田記念勝利があるものの、2019年10月以降は【0-0-0-13】と一年半以上馬券になっておらず、穴党の方はまとめて消す価値があるだろう。

《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。


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