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【天皇賞(春)】68年ぶりの牝馬優勝なるか? アリストテレス、ディープボンドは買えるのか?

2021 4/25 17:00勝木淳
天皇賞(春)インフォグラフィック1ⒸSPAIA
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サンプルはたった1レース、阪神芝3200m

天皇賞(春)は秋の菊花賞と並び、京都施行ではないことに違和感を覚えるレース。同レースが阪神で最後に行われたのは94年。単勝1.3倍のビワハヤヒデが勝ち、2番人気ナリタタイシンが2着、3着は3番人気ムッシュシェクルだった。旧コースの芝3200mは、かつて桜花賞などマイル戦で使用された2コーナー引き込み線からスタートする。マイルよりもゲートは2コーナーに近く、発馬後すぐにコーナーを迎える。といってもマイル戦の倍を走るので、魔の桜花賞ペースのような激しい先行争いはなかった。

現在のコースの芝3200mは、阪神大賞典の舞台・芝3000mよりも3コーナー寄りからスタート、1周目は外回り、2周目で内回りを通る。これまで行われていなかった条件だったため、予行として1回阪神初日3勝クラスの松籟Sが芝3200mで行われた。結果は2番人気ディアスティマが逃げ切り、2着は2番手にいた11番人気タイセイモナーク、3着は4コーナー7番手から差してきた5番人気シルヴァーソニックだった。

ディアスティマは有馬記念当日のグッドラックHCを逃げ切っており、タイセイモナークは20年万葉S2着。長距離実績がある馬で決まった。もっともこのレースが参考になるかは意見が分かれるところだが。


1番人気はたった3勝

というわけで舞台が異なる場合、通常はレースデータではなく、コースデータを持ってくるが、これもサンプルはたった1レース。そこで今回は過去のローテーションなどを中心に今年の天皇賞(春)の輪郭をつかんでいく。


過去10年天皇賞(春)人気別成績ⒸSPAIA


まずは人気別成績をみると、1番人気は【3-1-0-6】勝率30%、複勝率40%と心もとない。17年キタサンブラック、19、20年フィエールマンの3勝。いずれも菊花賞馬だった。一方、2番人気は【4-0-2-4】勝率40%、複勝率60%。しばしば逆転が起こる。7番人気【1-1-0-8】や10番人気以下【1-2-2-73】と近年の天皇賞(春)は波乱傾向も強い。主流とはいえない長距離戦への適性がカギを握る。


過去10年天皇賞(春)年齢別成績ⒸSPAIA


年齢別成績だと、4歳【4-2-4-37】、5歳【5-3-0-37】、6歳【1-4-3-27】が好走ゾーン。長距離戦らしく7歳【0-0-3-17】などベテランの食い込みも注意だが、まずはこの3世代をチェックしたい。


ウインマリリン、カレンブーケドールはありか

ここからは天皇賞(春)好走パターンを探るために、それぞれ年齢ごとにローテーション別成績をみていく。


過去10年天皇賞(春)4歳馬前走レース別成績ⒸSPAIA


4歳トップはかつて天皇賞(春)のステップレースだったGⅡ時代の産経大阪杯【2-1-0-1】。GⅠ昇格後は中距離路線との住み分けが進み、このローテはゼロ。今年も世代を問わず、登録馬に該当馬はいない。となると、やや頼りないが日経賞【1-0-1-16】、阪神大賞典【0-0-3-13】あたりが好走パターンか。


過去10年天皇賞(春)4歳馬前走日経賞組着順別成績ⒸSPAIA


日経賞1着は【1-0-0-4】、2着【0-0-1-5】。4歳はデータ上、3着以下からは好走なし。日経賞1着ウインマリリンはこれをクリア。もっとも牝馬で天皇賞(春)を勝ったのは53年レダのみ。86年以降は【0-0-0-20】で馬券圏内もなし。

ちなみに日経賞の牝馬は同じく1986年以降で【2-1-2-18】。勝ったのは88年メジロフルマー以来。しかもこの88年は東京競馬場の日経賞だった。牝馬に勝利歴のない条件の日経賞を勝った時点でウインマリリンは過去データの例外だ。


過去10年天皇賞(春)4歳馬前走阪神大賞典組着順別成績ⒸSPAIA


4歳で前走が阪神大賞典だった馬は過去10年3着馬が3頭。前走着順の内訳は1着【0-0-2-2】、3着【0-0-1-1】。2着【0-0-0-5】が気になるが、やはりここも前走好走が条件。ディープボンドはいいが、7着だったアリストテレスの巻き返しは黄色信号だ。


過去10年天皇賞(春)5歳馬前走レース別成績ⒸSPAIA


つづいて5歳のレース別成績を。ここもステップレースの阪神大賞典【2-1-0-11】、日経賞【1-0-0-12】をとりあげる。5歳・前走日経賞で勝ったのは14年フェノーメノ。日経賞2番人気5着と裏切った直後だった。1番人気2着カレンブーケドール(またも牝馬!)、2番人気3着ワールドプレミア、5番人気6着オセアグレイトなどはイメージに合う。


過去10年天皇賞(春)5歳馬前走阪神大賞典組着順別成績ⒸSPAIA


5歳の阪神大賞典組は1着【1-0-0-2】、2着【0-1-0-2】のほかに10着以下【1-0-0-0】。これは12年14番人気ビートブラックだ。今年、阪神大賞典に出走した5歳のうち、天皇賞(春)に登録があるのは、6着だったメイショウテンゲンと競走中止したゴーストの2頭。来れば大穴ではある。


過去10年天皇賞(春)6歳馬前走レース別成績ⒸSPAIA


そして6歳。こちらもやはり頼りになるのはステップレース。阪神大賞典【1-0-1-10】と日経賞【0-2-2-8】だ。前走が日経賞だった6歳馬は登録がないので、阪神大賞典をみる。


過去10年天皇賞(春)6歳馬前走阪神大賞典組着順別成績ⒸSPAIA


こちらはさらにわかりやすく、1着【1-0-1-0】のみ。2着以下に負けて本番で巻き返した馬はいない。2着ユーキャンスマイル、3着ナムラドノヴァンはデータを覆せるだろうか。

最後に上記2頭も含め、今年に限っては阪神大賞典組を早計に見限れないことは強調しておく。舞台は阪神→京都ではなく、阪神→阪神だからだ。内回り2周と外回り→内回りという違いこそあるが、阪神適性という部分では阪神大賞典は頼りになる。今年は舞台が変わる上に、データ上、頼れる馬も多くはない。例年以上に混戦模様だ。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。


天皇賞(春)インフォグラフィック2ⒸSPAIA


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