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【皐月賞】課題残ったダノンザキッド 前哨戦で世代屈指のレースセンスを見せたのは?

2021 4/15 06:00坂上明大
2021年弥生賞の参考レースⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

操縦性抜群の良血馬

牡馬クラシック第1戦・皐月賞。ホープフルSを制して、最優秀2歳牡馬にも輝いたダノンザキッドが中心ではあるが、共同通信杯のエフフォーリアや京成杯のグラティアスなど新興勢力の台頭も目立つ。参考レースを分析しながら各馬の地力と適性を見極めたい。

【京成杯】
タイムトゥヘヴンが枠なり、発馬なりにハナを切ったが、掛かり気味だったところを抑えたことで3~4F目は14.0-13.3と大きくラップを落とした。ここでペースダウンに付き合わされた先行馬や内目の馬はやや不利を受けた形だったか。

ただ、グラティアス(半姉レシステンシア)は減速にも難なく対応しており、非常に競馬が上手い。4角の立ち回りも完璧。メンバーに恵まれた感は否めず、まだまだトモが緩くスタートも速くないが、2000m以上では楽しみな良血馬だ。

世代屈指のレースセンス

【共同通信杯】
1週間以上降雨がなかった影響で馬場が乾燥し、当日はかなり速い馬場状態。ただ、内目の芝は痛み気味でやや外有利のトラックバイアスが見られた。レースは前半3F37.4と緩く、さらに南からの追い風を受けながらの中盤3F36.4は超スローペースの部類。東京芝1800mらしいスローの瞬発力勝負であった。好位から速い上がりを使えるタイプがベスト。2着馬ヴィクティファルスがスプリングSを、3着馬シャフリヤールが毎日杯を次走で制しており、メンバーレベルは相当高い。

1着馬エフフォーリアは好位から上がり3F2位タイの末脚で完勝。レースセンスと直線スピードは世代屈指だろう。課題は中山替わりと大幅なペースアップ。楽に好位を取れれば勝ち負けだろうが、忙しい競馬になると経験値の差がでるかもしれない。

2着馬ヴィクティファルスは四輪駆動型で直線勝負には不向き。直線での伸び負けは仕方ない。中山に舞台を移し、さらに馬場が緩むようならエフフォーリアとの差は縮まるだろう。

5着馬ステラヴェローチェは直線半ばで怯んでピッチダウン。ラスト1Fで再度ヴィクティファルスとの差を詰めているように、ややスムーズさを欠いた敗戦であった。Height of Fashion≒Burghclereを3×4でクロスするバゴ産駒で中山替わりもプラス。この敗戦で人気を落とすなら狙い目か。

最重要ステップレースだが……

弥生賞組の展開/馬場バイアスインフォグラフィックⒸSPAIA



【弥生賞】
週中の降雨の影響でパンパンの良馬場ではなかったが、1月開催時にCコースで隠れていたラチ沿いの伸びが目立ち、トラックバイアスは「内有利」と評価。さらに、レースはタイトルホルダーの単騎逃げで前後半1000m62.6-59.4の後傾3.2秒。ペースが上がったのも残り3Fからで、内有利の馬場状態とも相まって好位勢に有利な競馬となった。

1着馬タイトルホルダーはトップスタートからの単騎逃げ。さすがに展開が向いた感は否めない。今回も楽をさせてもらえるのであれば当然有力だが……。

3着馬ダノンザキッドは掛かり気味で中団を追走し、手前変換にも課題が残る結果。大トビで太い末脚が持ち味なだけに、1、2列目につけられれば中山では無敵だろうが、今回のように3列目以降となると一転して乗り難しくなる。1番強い競馬を見せたのが本馬であることは間違いないが、本番でも少々注文はつきそうだ。

共同通信杯組が中心

中山替わりやペースアップへの対応は求められるが、総合力ではエフフォーリアが頭一つ抜けた存在か。反対に舞台替わりを味方につけられそうなのがステラヴェローチェ。一雨あればヴィクティファルスにもチャンスがあるだろう。

注目馬:エフフォーリア・ステラヴェローチェ・ヴィクティファルス

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

ライタープロフィール
坂上明大
元競馬専門紙トラックマン。『YouTubeチャンネル 競馬オタク(チャンネル登録者45000人強)』主宰。著書『血統のトリセツ』。血統や馬体、走法、ラップなどからサラブレッドの本質を追求する。

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