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【金鯱賞】デアリングタクトの地力が一枚上手も 期待できる伏兵2頭とは?

2021 3/11 14:22坂上明大
2021年金鯱賞の参考レースⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

現役トップクラスの証明

大阪杯のステップレースに位置づけられる金鯱賞。今年も三冠牝馬デアリングタクトを筆頭にG1馬4頭という豪華メンバーが登録している。ただ、前哨戦であることや週末の雨予報などから一筋縄ではいかないだろう。参考レースから地力面、適性面を精査していく。

2021年金鯱賞の参考レース展開/馬場バイアスⒸSPAIA



【ジャパンC】
週中に2.5mmの雨が降るも馬場は乾燥して含水率は低め。秋の連続開催最終週で馬場の傷みが強く、3角~直線の内側はそれが顕著。 内々を走った馬にとっては苦しい馬場状態であり、好走馬が傷んだ馬場を避ける進路取りをしている光景が印象的だった。

ペースはキセキが超ハイペース、大きく離して逃げたが、馬群は前後半1000m60.3-58.7の後傾1.6秒。ただ、道中も終始11秒台を刻む淡々としたラップであり、天皇賞(秋)のような決め手勝負でなかった点は留意しておきたい。

3着馬デアリングタクトは出たなりで中団待機。3角で脱落馬を交わすために外を回ったため、内のカレンブーケドールに先を越される形に。直線入り口ではクレッシェンドラヴとトーラスジェミニを交わすために外に出すしかなく、その分手前変換が遅れ、コントレイルにも先に出られてしまった。そこからはコントレイル、カレンブーケドールと順に寄られる面があり、それに過剰に反応するあたりはエピファネイア産駒の性である。それでもラスト1F最速を計時するあたりが強さの証明であった。

5着馬グローリーヴェイズは正攻法で真っ向勝負を挑んだが、残り200m手前で捉えられ5着。それでもラストまで止まることはなく、6着以下には大きな差もつけた。今回のメンバーでは地力上位は間違いない。ポイントは左回り。直線で左手前に戻すのが早く、ゴール前で少々甘くなる傾向にある。

8着馬キセキは明らかなオーバーペース。スタート地点も異なり、今年の天皇賞(秋)はスローペースのため比較にならないが、2000m通過1.57.5は例年の天皇賞(秋)でも勝負になる時計。2000mへの距離短縮は大歓迎だ。スタートが決まれば。

遅咲きの超良血馬

【チャレンジC】
ジェネラーレウーノの単騎逃げで前後半1000m62.0-57.9の後傾4.1秒。下り坂に入る3角からペースが上がり後半は息の長い末脚が求められたが、ペースなりの「前有利」の競馬であったことは間違いないだろう。

2着馬ブラヴァスは緩い流れの分、道中は抑えるのにひと苦労。中団のポジション取りも勝ち馬レイパパレとの比較では不利に働き、差し届かずの2着に終わった。ラストは内にモタれて勢いが鈍ったが、ラスト1F最速は本馬。次走で大阪城Sを制した3着馬ヒンドゥタイムズには着差以上の強さを見せており、初の一線級との対戦でも楽しみはある。Nureyevの4×4などから母ヴィルシーナよりもパワー型に出ているため、この相手関係なら力のいる馬場の方がベターか。

良血馬が目下4連勝中

【白富士S】
昨年11月以来の開催であったが、開幕週でも近年の東京芝レースらしい末脚重視の馬場状態。同日の上がり3F最速馬は【2-3-0-0】と5頭すべてが連対を果たした。本レースも前後半1000m60.7-58.3の後傾2.4秒であったが、上がり3F上位馬のワンツーフィニッシュ。条件による有利不利はさほど感じなかった。

1着馬ポタジェは中団でピッタリ折り合い、直線は馬群を割って末脚勝負を制した。勝ち時計は例年の白富士Sと同程度。ルージュバックの半弟が4連勝でリステッド競走を制したが、G1級相手となると大幅なパフォーマンスアップが必要だ。

2着馬サンレイポケットは不利な大外枠のうえ出遅れたため、腹を括って最後方からの競馬。同斤量になる今回はポタジェとの着順が入れ替わっても不思議ではない。

雨予報に要注意

ジャパンCの上位馬であるデアリングタクトとグローリーヴェイズの地力はここでも一枚抜けている。状態さえ整えば上位争い濃厚だろう。伏兵で期待するのはブラヴァスとキセキ。注文はつくが素質は見劣らない2頭だ。雨予報にも要注意。

注目馬:ブラヴァス、キセキ

※記事内の個別ラップは筆者が独自に計測したものであり、公式発表の時計ではありません。

ライタープロフィール
坂上明大
元競馬専門紙トラックマン。『YouTubeチャンネル 競馬オタク(チャンネル登録者45000人強)』主宰。著書『血統のトリセツ』。血統や馬体、走法、ラップなどからサラブレッドの本質を追求する。

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