抽選さえ突破すれば……
ついこの間まで寒い、寒いと思っていたのに、気がつけばもう最後の桜花賞トライアル・フィリーズレビュー(3月14日)となった。このレースを経て桜花賞を制覇したのは、ここ10年でレーヌミノル(2017年)だけ。本番につながるという意味合いではチューリップ賞にかなわないが、もしかしたらレーヌミノルのような馬が今年は隠れているのかもしれない。
とまあ、桜花賞の行方も気になるところだが、今回の目的はフィリーズレビューの好走パターンに当てはまる馬を探し出すこと。いつも通り過去10年の成績を基にして検証していきたい。なお、2019年に1着同着が発生しているので、データでは1着馬11頭、2着馬9頭となっている。
まずは所属別から。関西で行われるレースということもあって、出走数は栗東所属馬が美浦の約4倍。勝率はほぼ変わらずで、連対率は3%ほど上回っている。といっても決定的な差は見られず、所属に関しては気にしなくていいだろう。
続いて前走着順。前走1着馬の好走率が最も高いのはよくあることだが、このレースはキャリアの浅い3歳限定戦ということもあって少し傾向が違うようだ。前走1着組の7連対というのは最多の数字とはいえ、出走頭数が圧倒的に多いのもあって勝利は6%弱。正直、この数字は物足りない。
では、どの着順の成績がいいのか。前走1着に比べるとサンプル数は少ないが、前走が2、4着だった馬となっている。特に前走2着馬は勝率20%、連対率は30%を超えている。これが6着以下となると勝率が1%台となってしまって狙いづらくなってしまう。
このレースにはキャリア1戦から10戦を超える馬までが出走しているが、レース経験はどう関係しているのだろうか。結果を見てみると、勝ち星を挙げているのはキャリア2~5戦までの馬。その中で最も数字がいいのはキャリア5戦の馬で、半分近くの5勝を記録。勝率、連対率ともトップの数字となっている。キャリア1戦、もしくは6戦以上から勝ち馬は出ていないが、連対馬はキャリア6戦から3頭、7戦から1頭出ている。
キャリア1戦の馬は【0-0-0-5】と苦戦。また未勝利勝ち直後の馬は【1-0-0-10】。この1勝は2019年のノーワン(1着同着)で、最も成績のいいキャリア5戦の馬だった。素質も大事だが、ある程度のレース経験は必要ということだろう。
新馬、未勝利組は成績を残せていないが、1勝クラスの馬は5勝、8連対。勝率も連対率も前走重賞組を上回っている。最後に残ったオープン組がちょっと複雑。2011~2018年の8年間では勝ち馬がいないのだが、リステッド格付けが導入された2019年以降は2頭の勝ち馬が出ている。
この2頭はそれぞれ紅梅S、エルフィンS組で、両レースとも格付け前の2011~2018年は連対はおろか、3着にも入っていなかった。これがリステッド効果なのか分からないが、ともかくリステッド格付けのオープンレースを使ってきた馬には注意が必要だ。
前走距離に関しては顕著な傾向が出ている。ほとんどの出走馬の前走は、1200、1400、1600メートルのいずれかで、例外は3頭だけ(1500、1700、2000メートル)。その中でも距離を延ばしてきた組、つまり前走が1200メートルだった馬は【0-0-0-33】で全滅。これに当てはまる馬は馬券の対象外と考えていいだろう。
世代限定戦では恒例となった誕生月の傾向だが、このレースは1、2月生まれがそれぞれ1、2連対と振るわない。この時期になると、早生まれのアドバンテージは存在しないのかもしれない。
生産者の項目では、社台ファームが4勝しており、唯一の複数勝利を挙げている生産者となっている。同グループのノーザンファームは最多の28頭が出走して1勝なのだから、いかに社台ファームの成績がいいのかよく分かる。これは先週に行われたオーシャンSと同じような傾向だ。
最後にフィリーズレビューにおけるマイナスデータを。誕生月のところで早生まれのアドバンテージはなさそうだと書いたが、同じく完成度が早いとされるセール出身馬の成績も【1-0-2-38】とひと息。また、ディープインパクト産駒も【0-1-1-9】。芝1400メートルという条件は悪いと思えないだけに、この数字は物足りない。
ちなみに、ディープインパクトの父サンデーサイレンスはこのレースを得意としていて、1999~2004年の6年間で4頭の勝ち馬を出しているのだが、ここ10年間で見ると全て違う種牡馬の産駒が勝っている。ディープインパクト産駒は勝ち馬を出していないので、ひょっとすると今年あたり順番かもしれないと思ったが、今年はディープ産駒の登録が1頭もなかった。