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【フィリーズレビュー】「前走2着」「社台ファーム生産」が吉 データ上も混戦の重賞を制するのは?

2021 3/10 11:00門田光生
フィリーズレビューの前走距離別成績インフォグラフィックⒸSPAIA

ⒸSPAIA

抽選さえ突破すれば……

ついこの間まで寒い、寒いと思っていたのに、気がつけばもう最後の桜花賞トライアル・フィリーズレビュー(3月14日)となった。このレースを経て桜花賞を制覇したのは、ここ10年でレーヌミノル(2017年)だけ。本番につながるという意味合いではチューリップ賞にかなわないが、もしかしたらレーヌミノルのような馬が今年は隠れているのかもしれない。

とまあ、桜花賞の行方も気になるところだが、今回の目的はフィリーズレビューの好走パターンに当てはまる馬を探し出すこと。いつも通り過去10年の成績を基にして検証していきたい。なお、2019年に1着同着が発生しているので、データでは1着馬11頭、2着馬9頭となっている。

フィリーズレビュー出走馬の所属ⒸSPAIA
フィリーズレビュー出走馬の前走着順ⒸSPAIA


まずは所属別から。関西で行われるレースということもあって、出走数は栗東所属馬が美浦の約4倍。勝率はほぼ変わらずで、連対率は3%ほど上回っている。といっても決定的な差は見られず、所属に関しては気にしなくていいだろう。

続いて前走着順。前走1着馬の好走率が最も高いのはよくあることだが、このレースはキャリアの浅い3歳限定戦ということもあって少し傾向が違うようだ。前走1着組の7連対というのは最多の数字とはいえ、出走頭数が圧倒的に多いのもあって勝利は6%弱。正直、この数字は物足りない。

では、どの着順の成績がいいのか。前走1着に比べるとサンプル数は少ないが、前走が2、4着だった馬となっている。特に前走2着馬は勝率20%、連対率は30%を超えている。これが6着以下となると勝率が1%台となってしまって狙いづらくなってしまう。

フィリーズレビュー出走馬のキャリアⒸSPAIA
フィリーズレビュー出走馬の前走クラスⒸSPAIA


このレースにはキャリア1戦から10戦を超える馬までが出走しているが、レース経験はどう関係しているのだろうか。結果を見てみると、勝ち星を挙げているのはキャリア2~5戦までの馬。その中で最も数字がいいのはキャリア5戦の馬で、半分近くの5勝を記録。勝率、連対率ともトップの数字となっている。キャリア1戦、もしくは6戦以上から勝ち馬は出ていないが、連対馬はキャリア6戦から3頭、7戦から1頭出ている。

キャリア1戦の馬は【0-0-0-5】と苦戦。また未勝利勝ち直後の馬は【1-0-0-10】。この1勝は2019年のノーワン(1着同着)で、最も成績のいいキャリア5戦の馬だった。素質も大事だが、ある程度のレース経験は必要ということだろう。

新馬、未勝利組は成績を残せていないが、1勝クラスの馬は5勝、8連対。勝率も連対率も前走重賞組を上回っている。最後に残ったオープン組がちょっと複雑。2011~2018年の8年間では勝ち馬がいないのだが、リステッド格付けが導入された2019年以降は2頭の勝ち馬が出ている。

この2頭はそれぞれ紅梅S、エルフィンS組で、両レースとも格付け前の2011~2018年は連対はおろか、3着にも入っていなかった。これがリステッド効果なのか分からないが、ともかくリステッド格付けのオープンレースを使ってきた馬には注意が必要だ。

フィリーズレビュー出走馬の前走距離ⒸSPAIA
フィリーズレビュー出走馬の誕生月ⒸSPAIA
フィリーズレビュー出走馬の生産者ⒸSPAIA


前走距離に関しては顕著な傾向が出ている。ほとんどの出走馬の前走は、1200、1400、1600メートルのいずれかで、例外は3頭だけ(1500、1700、2000メートル)。その中でも距離を延ばしてきた組、つまり前走が1200メートルだった馬は【0-0-0-33】で全滅。これに当てはまる馬は馬券の対象外と考えていいだろう。

世代限定戦では恒例となった誕生月の傾向だが、このレースは1、2月生まれがそれぞれ1、2連対と振るわない。この時期になると、早生まれのアドバンテージは存在しないのかもしれない。

生産者の項目では、社台ファームが4勝しており、唯一の複数勝利を挙げている生産者となっている。同グループのノーザンファームは最多の28頭が出走して1勝なのだから、いかに社台ファームの成績がいいのかよく分かる。これは先週に行われたオーシャンSと同じような傾向だ。

フィリーズレビュー出走馬のマイナスデータⒸSPAIA


最後にフィリーズレビューにおけるマイナスデータを。誕生月のところで早生まれのアドバンテージはなさそうだと書いたが、同じく完成度が早いとされるセール出身馬の成績も【1-0-2-38】とひと息。また、ディープインパクト産駒も【0-1-1-9】。芝1400メートルという条件は悪いと思えないだけに、この数字は物足りない。

ちなみに、ディープインパクトの父サンデーサイレンスはこのレースを得意としていて、1999~2004年の6年間で4頭の勝ち馬を出しているのだが、ここ10年間で見ると全て違う種牡馬の産駒が勝っている。ディープインパクト産駒は勝ち馬を出していないので、ひょっとすると今年あたり順番かもしれないと思ったが、今年はディープ産駒の登録が1頭もなかった。

データ的にも決め手を欠く混戦

データをまとめていくとA「前走2着馬、次いで4着馬」B「キャリア5戦」C「前走がリステッド」D「社台ファーム生産」E「ここ10年で勝ち馬を出していない種牡馬」が好走パターン。この中でEの「ここ10年で勝ち馬を出していない種牡馬」だが、何と今年の登録馬全てが過去10年の勝ち馬に該当しない父系。このデータは全馬が満たしていることになる。

続いて、F「前走6着以下」G「キャリア1戦」H「前走が1200メートル」I「1、2月生まれ」J「セール出身」が凡走パターンとなる。桜花賞の最終切符をかけてフルゲートを超える27頭が登録してきたこのレース。これだけの頭数がいても、好データを多く満たして減点材料がない馬が存在しなかった。今回はどこかで妥協点を探っていくしかないようだ。

好データが多く揃っているのはアンブレラデート(ADE)、スンリ(ACE)、ラヴケリー(ABE)、ララクリスティーヌ(ACE)の4頭。ただし、4頭ともマイナスデータを抱えている。中でも連対率0%というH「前走が1200メートル」に該当するラヴケリーは推しづらい。それを除いた3頭が本命候補となるのだが、3頭とも抽選対象。1頭でもくぐり抜けてくれればいいのだが。

3頭の順位付けをする前に、マイナスデータの強弱を見ていく。前述の通り、H「前走が1200メートル」は連対率0%だから、これが一番厳しいマイナスデータ。同じくGの「キャリア1戦」も連対率0%で、該当する馬はノーマークでいいだろう。あとは勝率順に並べると、F「前走6着以下」(1.7%)、J「セール出身」(2.4%)、I「1、2月生まれ」(それぞれ6.3%、3.3%)。これからいくと、マイナスデータがI(2月生まれ)のアンブレラデートが本命候補に押し出される。続いてJを持つララクリスティーヌ、IとJの2つを持つスンリが3番手となる。

エイシンヒテンはプラスデータが「前走4着」と、全馬が満たしている「ここ10年で勝ち馬を出していない種牡馬」だけ。ちょっと弱いが、マイナスデータが1つもないのは優秀。2勝馬なので除外の心配がないのもいい。あとプラスデータが複数あってマイナスデータが1つしかない組ではフォティノース、ヨカヨカ、ラストリージョ、リュクスフレンドの4頭。本命を決めた時と同様、マイナスデータが一番マシなIの「2月生まれ」を持つフォティノースとリュクスフレンドの2頭が押さえ。

◎アンブレラデート
〇ララクリスティーヌ
▲スンリ
△エイシンヒテン
×フォティノース
×リュクスフレンド

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて地方競馬を中心に予想・記事を執筆中。
登録馬に名前がある「ヨカヨカ」。馬名の意味は「いいよ、いいよ(九州地方の方言)」。外国由来のしゃれた馬名が多いなかで、こういう馬を見るとホッとするのは年を取った証拠なのでしょうか。

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