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【マイルCS】インディチャンプに強力データあり 東大HCがシルクレーシングを分析

シルクレーシング成績上位騎手ⒸSPAIA
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インディチャンプに強力データ

今週末は下半期のマイル王決定戦、マイルCSが行われる。春の安田記念で絶対女王アーモンドアイを下し、スプリンターズSをも制したグランアレグリアに、現3歳ナンバー2サリオス、昨年の春秋マイルGⅠ制覇インディチャンプ、今年のNHKマイルC馬ラウダシオンなど楽しみなメンバーが揃った。

グランアレグリアの対抗格とみなされる上記3頭は全て一口クラブ法人「シルクレーシング」の所有馬。来週に迫った世紀の一戦ジャパンCにもアーモンドアイとグローリーヴェイズを送り込むなど、GⅠ戦線での活躍が目立つ馬主だ。今週は「シルクレーシング」をテーマに、騎手起用など狙いたい条件をピックアップしていく(データは2015年11月21日〜2020年11月14日)。

騎手別


まずマイルCSに出走する3頭の鞍上とシルクレーシング所有馬の相性をデータから探ってみよう。

3人の中で最も馬券妙味があるのは福永祐一騎手。単勝回収率122%は100回以上の騎乗がある中でダントツだ。マイル戦に限ると【11-10-9-17】複勝率63.8%と数字を上げ、前走から継続騎乗では【7-2-3-5】同70.6%と安定感抜群。さらにシルク所有馬で挑んだマイルGⅠは【1-1-2-0】と全て馬券圏内に入っており、これら全てに当てはまるインディチャンプの好走は堅そうだ。

M.デムーロ騎手は福永騎手を上回る複勝率で、単複回収率ともに90%台。芝に限定すると単勝回収率は113%にアップと文句なしだ。マイル戦では今春人気薄ラウダシオンをNHKマイルC馬に導いたように相性が良く【9-4-5-11】複勝率62.1%、単勝回収率192%。ちなみに、東京芝1600mで行われた3勝クラス以上のレースでは【3-2-1-0】とパーフェクトだ。

武豊騎手は上記2人に比べ騎乗機会が少ないものの、複勝率を4割に乗せているあたりさすがはレジェンド。ただし6番人気以下では【0-1-0-9】、マイル戦でも【0-0-1-5】と微妙。なお、アーモンドアイの手綱を取り、勝負服姿が馴染み深いルメール騎手は2歳戦で【31-18-3-19】と驚異の連対率69.0%を記録しており、該当条件は反射的に連軸でOKだ。

「代打」の選手層が厚い

シルク×マイルCSといえば、昨年の同レースをインディチャンプで勝利。主戦の福永騎手が騎乗停止により「代打」の池添騎手を配しての戴冠だった。今年もサリオス、ラウダシオンの2頭が乗替りでレースを迎える。

過去5年、シルクのGⅠ成績は【12-7-4-51】だが、内訳を見ると継続騎乗が【8-4-3-25】に対し、乗替り【4-3-1-26】。連対率で比べれば30.0%と20.6%なので当然前者の方が好走率は高い。しかし、回収率では継続騎乗が単92/複63で、乗替りは単123/複75と逆転現象が起きる。

主戦が乗れなくても他の名手を幅広く選べるシルクゆえに、乗替りGⅠのデメリットはさほどなく、馬券的に狙えるパターンとなっている。また、「GⅠ・乗替り」に「前走3着以内」という条件をさらに加えるとポジティブな乗替りが増えるのか【4-2-1-14】で単199/複104まで上昇する。

今回も、サリオスは堀厩舎と縁の深いデムーロ騎手、ラウダシオンは過去に3度騎乗している“準主戦”の武豊騎手という配置。どちらも前走3着以内で、期待値が高い「代打」起用といえそうだ。

シルク御用達、木村哲也調教師

調教師別

続いて調教師別成績をチェック。

最多の38勝を挙げるのは木村哲也調教師。GⅠ勝利こそないもののプリモシーン・ゼーヴィント・オーソリティで7つの重賞を制しており、複勝率も5割近い。馬券の狙いどころとしては関東所属の騎手へ乗り替わる場合がおすすめ。全体の単勝回収率が139%に達し、2番人気以内では【9-2-5-4】と8割が馬券になっている。

ラウダシオンの斉藤崇史調教師はヒンドゥタイムズやソニックベガなどでも堅実に結果を出しており、2018年以降に限ると単勝回収率131%、複勝回収率100%。特に2000m戦は【7-4-6-16】と過半数の馬が3着以内に食い込んでいる。また先週のエリザベス女王杯2着サラキアなどを手がける池添学調教師は3〜7番人気と手ごろな人気帯で単勝回収率125%をマークしている。

ベタでもロードカナロアを

種牡馬・条件別



最後に種牡馬別で買いたい条件を紹介する。アーモンドアイ、ダイアトニックと大物を輩出しているシルクのロードカナロア産駒。父と同様マイル以下の成績が優秀で、単勝回収率が108%。5番人気以内では複勝率57.8%、単勝回収率124%と信頼度・妙味ともに強調できる。

有馬記念馬ブラストワンピースがいるハービンジャーは芝の単勝回収率が134%と主要種牡馬の中で抜けており、頭固定で馬券を組みたいところ。またリオンディーズ【2-1-1-1】、モーリス【2-2-0-4】など新種牡馬でも早速結果が出ており、追いかけていく価値があるだろう。


《ライタープロフィール》
東大ホースメンクラブ
約30年にわたる伝統をもつ東京大学の競馬サークル。現役東大生が日夜さまざまな角度から競馬を研究している。現在「東大ホースメンクラブの愉快な仲間たちのブログ」で予想を公開中。


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