千四未経験馬は買える？
今週は土曜に2つの2歳重賞、京王杯2歳SとファンタジーSが行われる。京王杯2歳Sには型破りなレース運びで能力の片鱗を見せつけているリフレイムや函館2歳S覇者リンゴアメ、ファンタジーSには3連勝の実績を引っ提げ堂々の重賞制覇に挑むヨカヨカ、小倉2歳Sを鮮やかな末脚で差し切ったメイケイエールなどが出走を予定。両重賞とも粒揃いのメンバー構成だ。今週のコラムでは2レースが共に1400m戦であることで、「2歳の1400m戦」をテーマにデータを分析していく（使用するデータは特記ない限り2015年6月6日〜2020年11月1日）。
＜2015年以降 2歳馬×1400m戦の距離経験別データ＞
距離経験あり【216-220-211-2044】勝率8.0%/連対率16.2%/複勝率24.0%
距離経験なし【174-169-178-2155】勝率6.5%/連対率12.8%/複勝率19.5%
※新馬戦を除く
まず1400mを経験しているかどうかで成績に差が出るか調べると、複勝率で5%程度の差がついていた。回収率でも経験あり：単勝回収率71%・複勝回収率78%、経験なし：単勝回収率57%・複勝回収率65%と、こちらも経験あり組が有利。素直に前者から買うのが吉だ。
また経験なし組のうち、マイルや1800mを使ったのちに1400mへ短縮してくるケースには注目。経験なし組の前走距離別で比較すると、距離延長は複勝率18.3%・単勝回収率42%、距離短縮は複勝率20.8%・単勝回収率73%と短縮がベター。これに該当する中で、例えば前走4角2番手以内だった馬全体では単勝回収率が105%に達している。先行力≒スピードは距離短縮で生きやすく、距離経験がなくともマイル以上のレースで先行してきた馬は侮れない。
今週使えそうなところでいえば、京王杯2歳Sに登録のロードマックスに注目。前走の新潟2歳Sで道中3番手を追走も力尽きてしまったが、短縮がプラスに出る可能性は高い。
重賞×6番人気以内なら初距離でも
＜2015年以降 1400m以上初経験の2歳馬成績＞
1400m戦全て【68-77-76-929】勝率5.9%/連対率12.6%/複勝率19.2%
重賞・1400m【3-3-2-22】勝率10.0%/連対率20.0%/複勝率26.7%
次に1000mや1200mでキャリアを積んだ馬が初めて1400m以上のレースに臨む場合の成績。先に挙げた「距離経験なし」の馬の中でもさらに一段成績が落ち、回収率も単勝：43%、複勝：63%と強調材料に乏しい。特に前走先行組が人気ほど走っておらず、たった1ハロン程度の延長でもピタッと止まってしまうケースが少なくない。該当馬は疑ってかかりたいところ。
ところが、重賞においては傾向がやや異なる。2015年以降の京王杯2歳S・ファンタジーSに出走した馬のうち、これまで1400ｍ以上を未経験ながら馬券になった馬は計8頭いて、複勝率26.7%。また、6番人気以内に限ると【3-3-2-3】複勝率72.7%にまで跳ね上がる。さらに父サンデーサイレンス系に限ると【2-3-2-1】複勝率87.5%だ（唯一の着外は2019年ファンタジーS6着ケープコッド）。「1400ｍ以上に初出走」「（想定）6番人気以内」「父サンデーサイレンス系」を満たす、京王杯2歳Sのリンゴアメ、ファンタジーSのメイケイエールあたりは信頼していい。
羽ばたけ、九州の星ヨカヨカ
＜2015年以降 2歳1400m戦 騎手データ＞
福永祐一【30-24-20-112】勝率16.1%/連対率29.0%/複勝率39.8%
ルメール【45-35-26-67】勝率26.0%/連対率46.2%/複勝率61.3%
三浦皇成【13-10-20-73】勝率11.2%/連対率19.8%/複勝率37.1%
最後に2歳1400m戦における騎手別成績を概観する。ファンタジーSで九州の星ヨカヨカと共に重賞初制覇&デビュー4連勝に挑む福永祐一騎手は、単勝回収率99%と出色の数字を残しており、さらに前走から続けて手綱をとる場合に限ると【6-9-8-19】複勝率54.8%までアップ。該当条件での重賞騎乗はないものの、オープンで【2-1-4-0】とパーフェクトだ。
ヨカヨカは父サンデーサイレンス系でこそないものの、前章で述べた「重賞」「1400ｍ以上に初出走」「（想定）6番人気以内」にも該当する。ぜひ頑張ってもらい、GⅠの大舞台へと羽ばたいてほしい。
ルメール騎手は当然好成績だが、福永騎手とは対照的に乗り替わりでパフォーマンスを上げ、【21-15-11-18】で複勝率72.3%、複勝回収率114%。さらに前走上がり3ハロン2位以内では【13-5-4-4】複勝率84.6%、単勝回収率141%・複勝回収率116%だ。今回京王杯2歳Sで騎乗するのはモントライゼ。ヨカヨカに新馬戦で後塵を拝したものの、未勝利戦の圧勝劇、続く小倉2歳Sでも2着（上がり2位）と力のあるところを見せている。川田騎手からバトンを受けた今回は前走以上の結果に期待したい。
その他では、三浦皇成騎手も騎乗馬人気に比べ好走率が高いため、馬券的に狙える。
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