単勝143倍のカツジが制する
10月31日に京都競馬場でGⅡ・スワンSが行われた。スタンド改修による2年半の休業前最後の重賞としても注目された一戦だったが、制したのは単勝143倍、岩田康誠騎手のカツジだった。
逃げ馬不在のメンバー構成。先行争いは内からロケットが出るかというところに、これまで4走連続で通過順が2桁という後方からの競馬が続いていたカツジも好発。向正面を利用してジワジワとハナに立った。
人気のサウンドキアラは内の4、5番手。アドマイヤマーズはゲートで出負けしたが、川田騎手が懸命に促して3番手、馬場のいい外目に切り替える。これを見るように外枠のステルヴィオやアルーシャが続いた。
前半600m通過35.5は古馬・芝1400mのGⅡとしてはかなり緩い流れ。そこから11.1-11.0の早めスパート。直線は岩田騎手が外に持ち出し、ボンセルヴィーソやアドマイヤマーズが追いすがる中、常に1馬身半程度のリードを維持する仕掛けで後続を封じた。完全にしてやったりの競馬だった。
上がり最速33.4の5着シヴァージを始め、後方勢はどうやっても届かない展開。結果からいえば上位3頭は逃げ、5番手、2番手の前残りだった。
次走への評価
勝ったカツジは3歳時のニュージーランドTに次ぐ、2度目の重賞制覇。元々地力のある馬で完全なフロックとまではいかないが、好騎乗と展開に恵まれたことは間違いない。評価は据え置きたいところ。
2着ステルヴィオは新コンビの池添騎手を背に、好位からしぶとく伸びての2着。ノドに不安のある馬だが、1400~1600くらいなら安定して走る。次走も引き続き上位安定だろう。
3着アドマイヤマーズは前述のようにゲートで出遅れ。川田騎手が辛うじてリカバリーしたとはいえ、序盤でかなり脚を使ってしまった。とはいえ、今回は休み明けで58キロの中、なんとか馬券圏内を確保。
昨年は休み明け&57キロの富士Sで9着という大凡走の後、香港マイル制覇と一気にパフォーマンスを向上させている馬。次走への上積みは上位陣で最も大きいだろう。マイルCS出走ならサリオスやグランアレグリアといった強豪が相手となるが、ひと泡吹かせられる可能性は十分にある。
1番人気に推されたサウンドキアラはパドックでも落ち着きを欠く様子が目についた。レース前まで【6-1-0-1】だった京都での10着は、明らかに本来の姿ではない。原因が精神面だとすると牝馬は特に難しいものがある。どう立て直してくるのか、陣営の手腕が問われる。馬券の点で言うと、次走は一旦見送りが吉か。
グランドスワン最後の重賞は3連単66万馬券の大波乱に。京都競馬場からの小粋なサプライズを受け、競馬は暮れの仁川へと進んでいく。
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