牝馬は完成度が高い
新馬戦は、他のレースと違って、過去のレース成績がないので、予想するのが難しい、と感じる人は多いだろう。逆に言うと、過去の成績がないぶん、使えるファクターは何でも使った方がいい、ということだ。一見関係のなさそうなファクターを用いて、徹底検証する。
競馬新聞に載っているあらゆる情報を、データとしてとらえ分析してきたが、そこでレース結果に因果関係が見られたのが「性別」だ。まずデータとして、新馬戦における牝馬の月別成績をご覧いただきたい。

好走率を見ていくと、6~8月の成績が良いことがわかる。これは「牝馬は夏に強い」という説もあるが、単純に牝馬の方が牡馬より成長度が早い、ということだ。実際にJRAが指定する斤量も2歳9月までは性別に関わらず、全く同じ54キロとなる。補足すると、10~12月は牡馬55キロ、牝馬54キロ、3歳になると牡馬56キロ、牝馬54キロと、2キロの差がつく。
全く同じ斤量でありながら牝馬の方が成績が優秀なのは、牡馬に比べ完成度が高いからだと予想できる。サラブレッドの2歳とは、人間で言えば小学生~中学生ほどの頃合いだ。小学生当時を振り返ると、女子の方が発育が早く、背も高いことが多かっただろう。その経験を競馬にあてはめると、2歳新馬戦、特に早い時期(6~8月)は牝馬の方が優勢であることはうなずけるであろう。
ダート戦は牡馬が買い
ただ、なんでもかんでも牝馬が買いというわけでもない。パワーを要するダート戦では、やはり牡馬の方に利がある。

これは新馬戦に限った話ではないが、ダート戦においては、好走率や回収率など、全て牡馬が上回る。回収率も牡馬の方が優秀なのは、馬券を買う我々競馬ファンが、「性別」を予想ファクターとして取り入れてないからだ。
全馬が未知の条件となる新馬戦においては、まずダート戦の牝馬は少し割り引いて考えるのが得策だろう。
砂を被りにくい外枠が好成績
ダート戦のつながりで言えば、「枠順」も有効な予想ファクターになる。2歳戦では、よく「キャリアの浅さが出ました」とレース後にジョッキーや調教師のコメントが出ることがある。これはまだ馬がレースの経験が少ないため、初めてのことに戸惑い、力を発揮できなかった、ということだ。
初めての大観衆の前でパニックになったり、初めての競馬場に戸惑い馬体重を大きく減らしてしまったり、初めての左回りでコーナーを回れなかったりと、様々なハプニングが起こる。
なかでも、ダート戦で起きやすいのが「砂を被る」ということだ。前を走る馬が蹴り上げた砂が顔にあたり、それを嫌がり、レースに集中できない、ということが多々ある。慣れたら克服することもあるが、新馬戦では、全ての馬が砂を被ることが初体験となる。それならば、砂を被らずにレースを運べる馬が有利になるのは明らかだ。
それをデータとして集計したのが、枠別の成績だ。

砂を被るリスクが少ない外めの枠の方が、明らかに成績が良い。ダートの新馬戦では、迷ったら外めの枠の馬を買うといいだろう。また、最も砂を被るリスクが少ない大外枠は、さらに単勝回収率が上がる。

大外枠ということは、もちろん外を回り、コースロスを強いられる可能性もある。ただ逆に、砂を被らないことで気分よく走り、他の馬よりもすんなり前に行けて、内めを走ることができることもある。つまり、一か八かの枠なのだ。ハマる時は勝ち切る傾向にあるので、1着候補で馬券を検討するのが賢い買い方だ。
馬具を着けている馬は割引
最後に、馬具に着目したデータを紹介する。馬具は一般的に、気性に問題がある馬に装着するものだ。持論として、デビュー時にすでに馬具を着けてきている馬は、よほど気性が悪いと予想している。データとして集計できるのは、ブリンカーだけなのだが、実際に新馬戦でブリンカーを着用した馬の成績は、散々なものになっている。

ブリンカーは競馬新聞にも掲載されるので、レース前に確認できるが、それ以外の馬具は当日のパドックを見るしかない。普段パドックを見ない方も、新馬戦だけは馬具に注目して見てみることをオススメする。
ライタープロフィール
鈴木ショータ
競馬伝道師。競馬エイトトラックマンを経てフリーに。オリジナルのweb競馬新聞「PDF新聞」を毎週発行。根っからの大穴党で、馬券格言は「人の行く裏に道あり”穴”の山」