理想は好位から速い上がりを繰り出せること
2012年に読売マイラーズCと交換する形で春の阪神最終週に移行してきたアンタレスS。京都から阪神に変わって8年なので、データ的には阪神のアンタレスSので十分だろう。
念のため過去10年の勝ち馬の記録を見ていくが、京都から阪神に移行したとはいえ、距離は同じダート1800mだけに差はあまりない。近年では1000m通過60秒台、残り800mを49秒台で乗り切るというのがパターン。淀みない流れからそれなりに速い脚を使う、中央のダート重賞らしい傾向だ。
ここ4年間、勝ち馬の上がり3ハロン順位は1、2、1、1位とダートながら、しまいにいい脚を使える馬に有利である。4角順位は6、5、4、4番手で後方一気型より流れにしっかり乗れ、かつ最後までしっかりした脚を使える馬が理想像だ。
川田将雅騎手の平均着順は「3.9」 1か月で19勝を挙げてリーディングを独走【騎手リーディング2回中山・1回阪神開催終了時】
優位は5歳、前走距離1900m
ここから阪神で行われた過去8年のデータを分析していく。まずは年齢別成績から。
5歳が【6-1-1-17】と勝率では圧倒的。これは春の重賞あるあるで、4歳VS.5歳では春までは5歳が強いレースが多い。芝は春の後半になるにつれ4歳が優位になるが、ダートは5歳の優位はなかなか揺るがない。息長く活躍できる舞台ゆえの数字であろう。4歳は【1-4-2-22】と複勝圏内には来ているので、5歳→4歳→4歳はひとつの形として覚えておきたい。
つぎに前走距離別成績を分析する。
同距離の1800m【1-3-7-59】と奮わない。3着が多く勝率はわずか1.4%と壊滅的。反対に距離短縮組が幅をきかせている。1900m【5-3-0-6】、2000m【2-0-0-15】と好成績。なかでも1900m組は勝率35.7%、複勝率57.1%と群を抜いている。1900mは中央では京都と中京でしか実施されないコース、そのどちらかかと思うが。
じつは名古屋大賞典組が【4-3-0-4】と好走例をほぼ占めている。ダート重賞は地方交流のダートグレード組が軽く扱われがちだが、これは見逃せないデータ。想定では名古屋大賞典1、2着のロードゴラッソ、アングライフェンが出走予定。まずこの2頭から検討をはじめるべきだ。
ロードゴラッソは全6中3勝(シリウスS含む)が阪神というコース巧者。アングライフェンはシリウスSでロードゴラッソの2着、まずこの2頭のうちどちらかに◎を打ちたい。先のデータの5歳優位を当てはめれば、ロードゴラッソとなる。ロードゴラッソからアングライフェン、そして4歳で前走1800m組、これが必勝パターンである。
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ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて「築地と競馬と」でグランプリ受賞。中山競馬場のパドックに出没。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌「優駿」にて記事を執筆。