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ハンドボールのレジェンド宮崎大輔が語る「エース後継者」とパリ五輪への期待感

2023 12/25 11:00田村崇仁
宮崎大輔,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

天性の司令塔・安平光佑を後継者に期待

ハンドボール男子の日本代表「彗星JAPAN」がパリ五輪のアジア予選を勝ち抜き、日本が開催国枠で出場した2021年東京五輪を除けば1988年ソウル五輪以来、実に36年ぶりとなる自力出場を決めた。

元日本代表のエースとして長らくけん引してきた42歳のレジェンド宮崎大輔は、後輩たちが負の歴史を断ち切り、進化を遂げた理由として23歳の司令塔、安平光佑の存在を挙げる。

身長172センチと決して大きくはないが、変幻自在の動きで「ファンタジスタ」と呼ばれる新エースはバーレーンとの五輪予選決勝でも得意のカットインや7メートルスローなどでチーム最多の10得点と奮闘。利き腕は右ながら、機を見て左腕でもゴールを奪うトリッキーなプレーは圧巻だった。

宮崎は日体大の後輩でもある安平について「今まで見てきた日本選手でも一つ抜けている。パス、アシスト、シュート、スピード、フェイント。すべてを持っている。さらに研究熱心だし、誰よりも負けず嫌い」と称賛し、自身の後継者として期待感を示した。

欧州CLに日本選手として初出場、初得点

安平は富山・氷見高校時代にキャプテンとして選抜、インターハイ、国体の高校3冠を達成。日体大時代には活躍の場を欧州に求め、ドイツ、フランス、ポーランドで2メートル超の大型選手と渡り合った。

ポーランドの強豪プウォツクで活躍した昨年は欧州チャンピオンズリーグ(CL)に日本人男子選手として初出場して得点し、今季からハンドボールが盛んな旧ユーゴの北マケドニアリーグのRKバルダルでプレーする。

欧州の本場スペインでプレー経験もある宮崎はパリ五輪予選の決勝前も安平と連絡を取ったそうで「運も実力のうち。とにかく断トツで結果を残してきているし、ハンドボール界で欧州CLに出るなんてなかなか理解されないけど本当にとんでもなくすごいこと。彼は天才なんて言われるけど、実はめっちゃ努力もしている」と最大限の評価。

日本の大砲、部井久アダム勇樹(ジークスター東京)も会見で「彼がチームに合流して新しい風が吹いた」と予選のMVPに安平の名を挙げた。

「海外組」の存在、パリ五輪でメダル期待

安平の卓越した技術を以前から注目してきたという宮崎は「SNSが普及し、そのパスどこで覚えたのというのがある。自分で見てアレンジしている。その辺が天性の持ち主」と語る。「海外を知ることは試合をする上で重要で、トップチームと戦うと相手選手との歩数も違うし、高さも違う。えっと驚いた時点で負け」と経験値の重要性を指摘する。

パリ五輪予選の日本代表で切り札となったのは安平をはじめ5人の「海外組」だ。フランスリーグでプレーするポスト役の22歳、吉田守一も190センチの体格を生かしたパワフルな守備で強さを発揮。物おじしない明るい性格で「国内組」との融合にも貢献した。

女子日本代表「おりひめジャパン」も来年4月に行われるパリ五輪女子世界最終予選で、1976年モントリオール五輪以来の自力での出場を目指す。日本は世界選手権4位のスウェーデン、ハンガリー、カメルーンと同組になった。

12月の世界選手権では五輪3連覇の実績のあるデンマークに27―26で競り勝つなど6試合で3勝を挙げており、宮崎は「女子も海外組が融合して実力を上げている。パリ五輪で男女同時出場のチャンスは十分ある」とみる。

来夏のパリ五輪に向け「男子に期待するのは最高でメダル。日本人でも戦える、という日本の新たな戦い方を世界で見せてほしい」と期待を込めた。

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