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実力は十分ついた!マスターズへの出場なるか男子プロゴルフ小平智

2018 3/2 17:58hiiragi
小平智選手
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ナショナルチームの一員として国際大会の経験も豊富

東京都の出身の小平智選手は、1989年に生まれ、10歳でゴルフを始め、アマチュア時代には2005年~2007年までの高校生の3年間を、関東高等学校ゴルフ選手権東京大会で3連覇を果たした。
また、2010年には関東アマチュアゴルフ選手権競技で優勝し、主に関東地方で活躍した。

その間、2009年、2010年とナショナルチームの一員に選ばれ、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドとの4カ国チーム選手権や、世界規模の大会として知られるアイゼンハワートロフィー世界アマチュアゴルフチーム選手権などの国際大会に派遣れ、世界のゴルフを肌で感じる機会を得た。海外志向はこの時期に培われたのかもしれない。

2010年には、アマチュアで出場した日本ゴルフツアー機構の下部ツアー、鳩山カントリークラブ・GMAチャレンジトーナメントで優勝を果たし、同じ年の12月にプロに転向した。プロ1年目の2011年は賞金ランキング78位、2012年は賞金ランキング87位とシード権は獲得できなかった。

元々ドライバーには定評があり、2012年のドライビングディスタンスは12位、フェアウェイキープ率を加味したトータルドライビングは17位タイと上位にランキングされたものの、平均パットが98位では上位定着は難しかった。

冷静な判断でつかんだメジャー大会での初優勝

2013年になると、5月の日本プロゴルフ選手権大会日清カップヌードル杯で5位、続くダイヤモンドカップゴルフでも6位タイと2戦連続トップ10に入る好調なゴルフを展開して、迎えた日本ゴルフツアー選手権Shishido Hillsで念願の初優勝を果たした。
日本プロゴルフ選手権に続くメジャー大会連続の最終日最終組だったが、前回の経験を生かし、自分のプレーで優勝を手繰り寄せた。

とはいえ、危ない場面がなかったわけではない。6番までに4打伸ばして迎えた7番では、ティショットを池に入れダブルボギーにすると、それまでの平常心を失い少し不安になったようだが、大きく崩れることはなかった。
10番でイーグルを取り、11番でボギーの後は膠着状態が続き、迎えた17番ホールでは得意のドライバーショットを深いラフに入れてしまった。ここは初日同じような状況から池に入れてダブルボギーを叩いている。

だが、小平選手は冷静だった。初日には濡れてクラブに絡んだ芝が最終日は乾いていた。これならボールは飛んでくれる。
気合の入ったショットでこのホールをパーで切り抜けると、最終18番ホールもパーで上がり、念願の初優勝をメジャー大会で成し遂げた。

2013年は22試合に出場し、優勝1回を含むトップ10に5回入り、賞金ランキングは12位に急伸して初のシード権も獲得した。しかし平均パットは1.8030で64位と相変わらず下位に低迷していた。

海外メジャー初出場で叩きのめされた全英オープン

2013年の日本ゴルフツアー選手権の優勝は、シード権以外にも恩恵を与えてくれた。開幕から~全英への道~ミズノオープンまでの賞金ランキングで、有資格者を除く上位2人に与えられる全英オープンへの出場権が手に入ったのだ。
海外一流選手の実力を肌で感じてきたいと意気込んで臨んだ初めてのメジャー挑戦だったが、世界の壁は想像以上に厚かった。

初日9オーバーの143位タイから2日目は10オーバーを叩き、トータル19オーバーの150位タイで予選落ちを喫してしまう。世界での立ち位置を痛感して全英オープンを後にした。
再挑戦のチャンスは2016年に訪れた。2015年の日本オープンで国内メジャー2勝目を挙げて、2度目の全英オープン出場権を獲得したのだ。

2015年は国内賞金ランキングも9位まで上がり、平均パットは1.7714で28位まで上げて、ある程度の自信を持って臨んだ全英オープンだったのだが、初日5オーバーの134位タイ、2日目6オーバーでトータル11オーバーの138位タイとまたしても予選落ちに終わってしまった。

しかしこれで海外挑戦を諦めたわけではない。2017年に期待を込めて、2016年は賞金ランキングを6位まで上げ、平均パットも1.7700で19位とまずまずの成績でシーズンを終えた。

メジャーで戦える自信をつけた2017年、目標はマスターズ

2017年はアメリカツアーのソニーオープン in ハワイを初戦に選んだ。この大会は海外志向の強い日本人選手が出場する。 ここを2日目6位につける健闘を見せて幸先の良いスタートを切ると、5月に行われた全米オープンの日本予選を突破して、本戦に出場を果たし、初日61位タイから2日目は24位タイまで順位を上げて決勝に駒を進めた。

最終的には46位タイまで順位を下げたが、メジャーでも十分戦えるという確信を得た大会となった。メジャーには8月の全米プロゴルフ選手権にも出場を果たし、こちらも決勝に進出48位タイの成績だった。

一方日本ツアーでも日本プロ選手権3位タイ、日本ツアー選手権3位タイ、日本オープン3位とメジャーで優勝争いに顔を出し、トップ杯東海クラシックと三井住友VISA太平洋マスターズで優勝を飾り、賞金王争いの主役に踊り出た。
その間、世界ランキングも上昇を続け2016年末の96位から11月12日には53位まで浮上して、年末50位以内に与えられるマスターズ出場が現実味を帯びてきた。

そんな中迎えた国内最終戦日本シリーズJTカップでは、賞金王を争う宮里優作選手に優勝を許し賞金王は譲ったものの、12月3日付けの世界ランキングは49位に浮上してマスターズ出場圏内に入ってきた。
年末までは残り4週間、それまでに出場可能な試合はアジアンツアーのインドネシアマスターズがある。ここで好成績を収めればマスターズ行きは確実になるのだが、成績が悪ければ下がってしまう。出るか出ないか、小平選手は出ない方を選んだ。

しかし、この判断は裏目に出てしまい、この時点で58位だった宮里選手がインドネシアマスターズに出場し4位に入り、年末の世界ランキングを50位にまで上げたのだ。51位に押し出された小平選手のマスターズ出場は、年末時点では果たせなかった。
2017年はトータルドライビングで1位、平均パットでも1.7509と2位まで順位を上げ数字の上でも海外に通用すると証明してみせた。次のチャンスは2018年3月25日付け世界ランキング50位以内。2018年はマスターズ出場を目指しての戦いが続く。