日本人賞金女王は4年振り、パットの名手鈴木愛
2017年シーズンの日本女子プロゴルフ賞金女王争いは、ツアー終盤の逆転で鈴木愛選手が獲得して、4年振りとなる日本人賞金女王が実現した。ツアー序盤は韓国のキム・ハヌル選手が飛び出し、4月、5月、6月と優勝を重ね、独走態勢を築いたかと思われた。
しかし、鈴木選手は6月末のアース・モンダミンカップで今季2勝目を挙げると、10月の日本女子オープンゴルフ選手権で4位、富士通レディースでも4位と徐々に差を詰め、11月に行われたアメリカ女子公式戦TOTOジャパンクラシックで2位に入り、逆転に成功、残りの試合も崩れることなくそのまま逃げ切って、初の賞金女王に輝いた。
元々パットの上手い選手で、2016年は平均パット数1.7445で1位、2017年は1.7582で2位だったが、パーオン率が2016年の66.1616%から2017年の70.5083%と改善し、全体の成績アップに。
海外のメジャー大会にも出場し、全米女子オープンは予選落ちだったものの、全英リコー女子オープンでは14位タイに入り、来年の出場権を獲得。今季の活躍で世界ランキングも上昇を続け、11月20日には31位で野村敏京選手を抜き日本人トップに躍り出た。
悔しさをバネに3季ぶりの優勝、復活なった上田桃子
上田桃子選手は、2017年シーズンには31試合に出場し、予選落ちが3試合、棄権1試合があったものの16試合でトップ10に入り、優勝は2回、賞金額は101,820,977円で賞金ランキング6位の成績だった。
優勝は2014年以来3年振り、賞金金額1億円超えは2007年以来の11年振り、と復活を印象づけたが悔しい思いもした1年だった。 地元熊本県で4月に行われたKKT杯バンテリンレディスオープンでは、初日首位でスタートすると、2日目も首位をキープして最終日に臨んだ。
昨年のこの大会は熊本地震で中止になり、義援金集めにも奔走した。「熊本出身の自分が優勝すれば元気を与えられる」と臨んだ大会だったが、最終日のスコアを伸ばせない。
ボギーが先行してバーディで取り返すゴルフを続けて迎えた最終18番ホールでは、入れれば優勝の約1mのパーパットを打ちきれなかった。 地元で優勝はできなかったが、いつか優勝の報告をとの思いを強く持ち続け、3試合後の中京テレビ・ブリヂストンレディスオープンで念願の優勝を果たした。
初優勝で初シードも獲得、苦労人川岸史果
川岸史果選手は、2017年シーズンにはQTランキング26位の資格で参戦して31試合に出場、5試合の予選落ちがあるものの、トップ10には13回入り、9月のマンシングウェアレディース東海クラシックで初優勝を飾った。
今季の成績を反映して、賞金ランキングは7位に入り、見事シード権を獲得。 両親ともプロゴルファーというこれ以上ない環境で生まれ、ジュニア時代から全国レベルの大会で活躍した実績を持っている。
2016年プロテストに合格して日本女子プロゴルフ協会の会員になったが、プロ転向は2013年と古く、会員になるまではTPD単年登録でツアーなどに参戦、プロテストには4度挑戦した苦労人でもある。
2017年シーズンは、開幕戦のダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメントでいきなり優勝争いをし、アクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKIやワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップでも優勝に絡み、一躍注目を浴びる存在となった。
しかし、最終日にスコアを落とすことが多く、優勝までは届かなかったが、9月に行われたマンシングウェアレディース東海クラシックでは、最終日首位と2打差の7位タイからスタートして、8打伸ばすチャージを見せ逆転優勝に輝いた。
1勝にかける思いと練習量で初優勝獲得、永井花奈
永井花奈選手は2017年シーズンにはQTランキング14位の資格で参戦した。37試合に出場して、トップ10には9回入り、10月末に行われた樋口久子三菱電機レディスゴルフトーナメントで初優勝に輝いた。
この優勝で賞金ランキングも上昇して、最終的には20位に入りシード権も獲得した。 しかし、2017年シーズンも最初から順調だったわけではない。序盤は6試合中予選落ちが3回と苦しい立ち上がりだった。優勝した直前の2試合も連続予選落ちを喫している。
それでも、1勝にかける思いと練習量で初優勝を手繰り寄せた。 この試合は初日を首位と3打差の6位タイでスタートを切ると、2日目単独首位に立ち、最終日の中止で初優勝が決まった。台風の接近で最終日の中止も考えられる中、2日目の最終ホールでバーディを奪って、混戦から抜け出した。2018年は最終日を戦って優勝を飾りたい。
日本ツアーで自信を取り戻し再びアメリカツアーに挑戦する畑岡奈紗
畑岡奈紗選手は、2017年シーズンには女子プロゴルフツアー優勝者に与えられる1年間の出場資格で参戦した。2016年シーズン10月の日本女子オープンゴルフ選手権競技を、史上初となるアマチュアで優勝を飾った快挙は記憶に新しい。
2017年シーズンは、開幕戦から出場できたのだがそうはせずに、アメリカ女子ツアーへ挑戦した。しかし、結果のでない焦りからかスイングを崩し、来季シード権を取れずに帰国した。
帰国後出場した9月のミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンでは、初日2オーバーの49位タイから、2日目には8アンダーで回り首位タイに浮上すると、最終日も7アンダーで回りプロ初優勝に輝いた。この優勝は大きかった。再度、向こう1年間の出場資格が取れただけでなく、アメリカで失いかけた自信を取り戻すことができたのだ。
翌週行われた日本女子オープンゴルフ選手権競技では2連覇を達成するのだが、公式戦72ホール最少ストローク記録の20アンダー、樋口久子氏以来となる40年振り2人目の連覇、最年少連覇を更新と記録ずくめだった。 アメリカツアーのQTにトップ合格を果たし、2018年シーズンはアメリカを主戦場に戦う。アメリカツアー初優勝もそれほど先のことではないかもしれない。