賞金総額は1億1千万円の増額、賞金1億円超え選手は6名
日本ゴルフツアー機構が主催する2017年シーズン日本男子ゴルフツアーは、宮里優作選手が初の賞金王に輝き幕を閉じた。レギュラー試合は1月のアジアンツアーとの共同主管SMBCシンガポールオープンで幕を開け、12月のゴルフ日本シリーズJTカップまでの26試合で争われた。
試合数に変更はなかったが、これまで6月にストロークプレーで行われていたISPSハンダグローバルカップがマッチプレーに変更となり、ISPSハンダマッチプレーと名称が変更された。賞金総額も1億円から2億1千万円に増額され、シーズン賞金総額も1億1千万円増の35億9475万円となった。
賞金王の賞金額は、昨年の2億円超えから1億8千万円台に下がり、1億円超えは6名を数え、賞金王争いも最終戦まで確定しないスリリングなシーズンだった。
2転3転、最終戦までもつれ込んだ賞金王の行方
賞金王争いは、シーズンを通して2転3転、最終戦までもつれ込み、序盤は宮里優作選手が飛び出した。4月末に行われた第5戦中日クラウンズと第6戦日本プロゴルフ選手権大会を連覇して、賞金ランキング1位に躍り出た。
中盤はアメリカ国籍を持つチャン・キム選手が賞金ランキングをリードした。キム選手は5月末の~全英への道~ミズノオープンで初優勝を飾ると、7月の長嶋茂雄招待セガサミーカップで2勝目を達成、全英オープンで11位の成績を残し(海外メジャー・マスターズ・全米オープン・全英オープン・全米プロで獲得した賞金額は賞金ランキングに加算される)、賞金ランキング1位に躍り出た。
終盤は小平智選手が引っ張り、10月のトップ杯東海クラシックで今季初優勝を飾ると、シーズン複数回優勝の宮里選手、キム選手を抑え賞金ランキング1位に躍り出た。
若手では今平周吾選手がよく頑張り、5月の関西オープンゴルフ選手権競技でツアー初優勝を飾った。シーズン中は好調を維持し、一時は賞金ランキング3位まで浮上。最後まで賞金王争いに絡んできた。
そんな中、最終戦ゴルフ日本シリーズJTカップを残し、賞金王の可能性は小平選手、宮里選手、キム選手と池田勇太選手に残ったが、宮里選手が優勝を飾り、賞金王を獲得した。
世界との差を痛感した日本ツアーからの海外挑戦
2017年シーズンも、日本ゴルフツアー機構に所属する日本人プレーヤーが海外メジャー大会への出場を果たし、第1戦目となるマスターズには、池田勇太選手と谷原秀人選手が出場した。
池田選手は2016年末の世界ランキング50位以内の資格で、谷原選手はマスターズ前週の50位以内の資格で出場権を獲得。26位タイでスタートを切った池田選手は、2日目後半にボギーが重なり1打差で予選落ちを喫し、谷原選手は初日54位タイと出遅れ、2日目もスコアを落とし、カットラインには6打届かず予選落ちとなった。
第2戦全米オープンには、世界ランキング資格で池田選手と谷原選手が、日本予選を勝ち抜いて宮里選手、小平選手、今平選手が出場。決勝には宮里選手と小平選手が進出したが、小平選手46位タイ、宮里選手60位タイと上位には進めなかった。
第3戦全英オープンには池田選手、谷原選手、宮里選手の3名が出場したものの、決勝にはだれも進めなかった。第4戦全米プロゴルフ選手権には、池田選手、谷原選手、小平選手の3名が出場して、池田選手は予選落ちに終わったが、谷原選手は67位タイ、小平選手は48位タイと4日間を戦った。
メジャー4試合に、延べ13名が出場して決勝に進めたのは4名のみ、最高順位は46位と寂しいメジャー挑戦だった
シード常連の名選手も落選、やはり厳しいシード権争い
2017年シーズン第25戦カシオワールドオープンは、シード権当落線上にいる選手たちにとっては特別な試合だ。泣いても笑ってもこの試合の成績次第でシード権が確定する。
今季もランキング対象外選手を除く賞金ランキング75位までのシード権を巡って、様々なドラマが繰り広げられた。その結果、10名が初シード権を獲得し、8名がシードに復活を果たす一方で、18名の選手がシード権を失った。
シード喪失者の中には、2006年の日本プロゴルフ選手権覇者でツアー6勝を挙げている近藤共弘選手や、2008年のUBS日本ゴルフツアー選手権宍戸ヒルズを制し、ツアー3勝の星野英正選手も入っていた。
初シード権獲得組には、今季マイナビABCチャンピオンシップで初優勝を挙げて、賞金ランキング27位に入った小鯛竜也選手や、2016年QT1位通過で賞金ランキング31位に入った飛ばし屋星野陸也選手などが、復活組には2002年に日本プロゴルフ選手権、2012年に日本オープンを勝ってツアー7勝の久保谷健一選手、アメリカツアーで頑張っていた岩田寛選手など懐かしい顔も入り、2018年シーズンを盛り上げてくれる。
パット・イズ・マネーは正しかった、今季活躍選手の部門別データ
個人の1年間のスタッツがひと目で分かるツアー部門別データでは、ほぼ賞金ランキングに沿った結果となった。
平均ストロークでは、賞金ランキング2位の小平選手が自己最高となる70.02で、賞金王の宮里選手の70.16を抑えて1位を獲得した。3位には70.19で今平選手が入り、成長の跡を見せてくれた。
しかし、昨シーズン69.62で1位の池田選手は、70.98で17位まで順位を下げた。それでも賞金ランキング4位は勝負強いというべきか。平均パットでは、宮里選手が1.7420で1.7509の小平選手を抑えて1位に輝いた。昨シーズン1.8065の73位と落ち込んでいただけに、嬉しい復活となった。
パーオン率は70.67で小平選手が1位、今平選手が70.45で2位に入り、バーディ率は小平選手が1位、宮里選手が2位だった。ドライビングディスタンスは、賞金ランキング3位のチャン・キム選手が314.24ヤードの圧倒的な飛距離で1位を獲得した。
日本人1位は295.60ヤードの永野竜太郎選手、池田選手は293.72ヤードで11位、小平選手は292.38ヤードで13位、宮里選手は288.05ヤードで33位だった。今シーズンだけを見ればパットが飛距離を抑えた結果になったが、来シーズンはどうだろうか。
2018年シーズンは2018年1月18日からのSMBCシンガポールオープンで幕を開ける予定だ。