2018年度よりリランキング制度導入で変わるシード権システム
2017年11月、日本女子プロゴルフ協会より、2018年度トーナメントにおけるリランキング制度の導入が発表された。リランキングとは、ツアー活性化のために考えられた制度で、QT(クオリファイングトーナメント)などでシーズン初めに設定されているトーナメントへの出場優先順位を、シーズン途中で見直して、そこまでの成績順で優先順位を変更するというもの。
あわせて、2017年賞金ランキングに基づく出場資格も変更になり、従来の上位50位までに与えられていた2018年度トーナメントのシード権の他に、51位~55位の者には、2018年度第1回目のリランキングまでの出場権が与えられることになった。
効果はすぐにあらわれた。10月末の「樋口久子三菱電機レディスゴルフトーナメント」終了時点での賞金ランキング50位は、酒井美紀選手の21,076,725円、55位はベイブ・リュウ選手の18,622,483円だったのだが、50位以内に入ることは諦めていた賞金ランキング下位の者にも、第2シードともいえる55位以内を目指す目標ができて、終盤戦は目が離せない展開になった。
シード権は失うも、リランキングまでの出場資格獲得、佐伯三貴選手
「樋口久子三菱電機レディスゴルフトーナメント」終了時点で、佐伯三貴選手の賞金ランキングは61位で、獲得賞金額は16,877,857円とシード権はおろか55位も危ない位置で戦っていた。
佐伯選手は、2007年プロに転向して2014年まで8年連続シード権を維持、2015年は怪我でトーナメントを欠場してシード権を失ったが、2016年には復帰して2017年もシード選手として戦っている。
優勝も7回達成している勝負強いプロゴルファーだ。残された試合は2試合しかないが、なんとかシード権は確保したい。
残り2試合となった「伊藤園レディスゴルフトーナメント」では、初日トップと上々のスタートを切ったが、2日目4位タイ、最終日9位タイと順位を下げて試合を終わった。
しかし久々のベスト10に入り、2,250,000円を獲得して、賞金額を19,127,857円まで伸ばし、ランキングは55位まで浮上した。最終戦「大王製紙エリエールレディスオープン」では、初日85位タイと出遅れてこれまでかと思われたが、2日目に42位タイまで挽回してギリギリで予選を通過した。
そして、3日目、最終日とスコアを伸ばし12位タイまで順位を上げて、1,660,000円を獲得した。これで賞金獲得額は20,787,857円となったが、50位までは届かず53位でシーズンを終えた。
最後の最後1番違いで失ったシード権、酒井美紀選手
「樋口久子三菱電機レディスゴルフトーナメント」終了時点で酒井美紀選手の賞金ランキングは50位と、ギリギリのところで戦っていた。
酒井選手は2010年にプロになると、2012年には賞金ランキング36位でシード権を獲得して、以降5年間シードを守っている。2014年には、ランキング6位になったこともある実力者であるため、普通にプレーすればシード圏内に残れると思われた。
しかし、残り2試合となった「伊藤園レディスゴルフトーナメント」では、初日63位タイのスタートとなり、なんとか予選は通ったものの、40位タイで試合は終わった。
賞金550,000円を獲得したが、この試合は賞金ランキング58位だった福田真未選手が優勝して30位に入ったため、押し出される形で51位に順位を下げた。この時点で50位の大山志保選手とは762,741円差、最終戦で頑張れば逆転できる金額だった。だが最終戦は、初日70位タイと出遅れ、2日目盛り返したが1打足りずに予選落ちを喫して全ては終わった。
最終成績は51位でシード権は落としたが、リランキングまでは出場できる。来季は出だしで頑張って欲しい。
悔しい終盤戦の予選落ちでQTに回る有村智恵選手
「樋口久子三菱電機レディスゴルフトーナメント」終了時点で有村智恵選手の賞金ランキングは54位と、第2シードギリギリの位置で戦っていた。
有村選手は2006年にプロテストに合格すると、2007年にはシード権を獲得して2008年には初優勝を飾り、2009年には1億4千万円強を獲得して賞金ランキング3位につけるなど、トッププレーヤーとして活躍してきた。
しかし、2013年のアメリカツアー挑戦以降は、調子を崩したのかこれといった成績は残せていない。2016年から日本ツアーに復帰して、2017年シーズンはQTランキング17位の資格でトーナメントに参戦している。2018年のシード権はなんとしてもほしいところだ。
そんな中迎えた「伊藤園レディスゴルフトーナメント」では、初日49位タイでスタートしたが、2日目スコアを落とし1打差で決勝には進めなかった。この試合でランキングは57位まで下がり、望みを託した最終戦では31位タイで決勝に進むものの、スコアは伸ばせず41位タイで試合は終わった。
この試合で540,000円獲得したものの、ランキングは1つ下げて58位だった。2018年シーズンの出場権はQTに委ねることになる。
土壇場の優勝でシード権獲得福田真未選手
「樋口久子三菱電機レディスゴルフトーナメント」終了時点で福田真未選手の賞金ランキングは58位で、シード圏内の50位とは賞金額で3,281,259円の差があった。
残り2戦の賞金額からみても、どちらかで単独7位までに入らないと追いつけない。そんな状況で迎えた「伊藤園レディスゴルフトーナメント」は、初日を首位タイでスタートすると、2日目で2位に4打差の単独トップに立ち、最終日を迎えた。
最終日は後半1打差まで追い上げられたが、勝負どころのパットが決まってなんとか逃げ切り、優勝を手にすることができた。この優勝で賞金ランキングも30位に上昇、4年連続となるシード権を確定させた。
2017年シーズンで、賞金ランキング55位までに入れなかった選手は、QTで成績を残し来季の出場優先順位を獲得する。しかし、獲得したからといってうかうかしてはいられない。
リランキングまでの成績が悪ければ、そこでふるいにかけられる。2018年シーズンは例年に増して熱い戦いが期待できる。