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サラブレッドゴルファーは世界に羽ばたけるのか!川岸史果

2017 9/13 14:03hiiragi
ゴルフ
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女子プロゴルフテストに3回失敗 苦労人、川岸史果選手

川岸史果選手は1994年生まれ、神奈川県出身の女子プロゴルファー。父親はプロゴルファー川岸良兼氏、母親はやはりプロゴルファーだった喜多麻子さん。クラブを握ったのが10歳の頃だというからそれほど早くはないが、中学生になると才能が開花する。

・2007年関東中学校ゴルフ選手権春季大会優勝。
・2009年全国中学校ゴルフ選手権夏季大会優勝。
・2011年全国高等学校ゴルフ選手権大会優勝。

この間2010年にはナショナルチームにも選ばれ、世界ジュニアゴルフ選手権女子15~17歳の部で8位タイに入る活躍を見せた。

2013年高校を卒業するとプロゴルフテストを受験する。プロテストの合格は上位20位タイまでに与えられるが、2打届かず不合格に終わった。一方2014年の出場権をかけて行われた2013年暮れのQT(クォリファイングトーナメント)でもセカンドQTで地区51位となり、45位までに与えられたサードQTまで進めなかった。

プロテストには失敗、QTも失敗と八方ふさがりの中、それでもQT終了後にはプロ宣言を行い、女子プロゴルファーとしてスタートを切った。結局プロゴルフ合格までには丸3年を要し、2016年4回目の受験で晴れて日本女子プロゴルフ協会会員となる。

4回目のプロテストで起死回生の最終日7アンダー

2014年は少し微妙な立場となった。プロ宣言をしたものの、プロテストの失敗で日本女子プロゴルフ協会の会員にはなれない。TPD単年登録をすれば1年間のツアー出場資格が与えられるが、サードQT進出者でないと登録できない。女子プロゴルフツアーに出場する方法がないのだ。結局2014年はプロゴルフトーナメントには1試合も出場できなかった。

2014年のQTでは何とかサードQTまで残ってTPD単年登録による出場資格を手に入れた。2015年はレギュラーツアー4試合に出場して、3試合で予選落ち、ステップ・アップ・ツアーは5試合に出場して4試合に予選落ちといい結果は残せていない。2015年のQTではまたもセカンドQT止まりに終わり、2016年のプロゴルフテストにすべてをかけることになる。

4回目の挑戦となった2016年プロゴルフ最終テストは、3ラウンドを終わって4オーバー37位タイにつけていた。合格圏内の20位以内はイーブンパー。最終日を迎えて4打のビハインドは厳しい。しかし最終日は7アンダーで回り、トータル3アンダー堂々の7位タイで念願のプロテスト合格を果たした。2016年はレギュラーツアー3試合に出場、予選落ち1回、残りの2試合は16位タイと26位タイだった。

鮮烈なデビューを果たした2017年シーズン初戦

2016年QTは26位で通過、2017年のほぼ全試合の出場権を手に入れた。その2017年シーズン初戦ダイキンオーキッドレディスゴルフトーナメントは、女子プロゴルフシーズン開幕戦に加えて、宮里藍選手の6年ぶりの出場やアマチュアで2016年日本女子オープンを制した畑岡奈紗選手の出場などで、注目度も高かった。そんな中、川岸選手が鮮烈なデビューを果たす。

初日は2オーバー13位タイと静かなスタートを切ったが、2日目7アンダーで回り首位タイまで順位を上げた。3日目も4アンダーで回り9アンダーと首位をキープ、2位に2打差をつけて最終日を迎えた。2位タイでアン・ソンジュ選手、4位にイ・ボミ選手と韓国の実力選手が後を追う展開で、川岸選手の逃げ切り優勝は成るのか、注目が集まった。

強風の中、行われた最終日はスコアが伸びない我慢の勝負となった。川岸選手はボギーが先行、4打落として5アンダーでホールアウト、2位タイスタートからこの日1オーバーで回ったアン・ソンジュ選手に逆転を許してしまう。アプローチショットで自分の首を絞めたと悔しさをにじませたが、いいスタートが切れた2017年シーズンだった。

初出場国内メジャーで繰り広げた優勝争い

いいスタートを切れば波にも乗りやすい。アクサレディスゴルフトーナメントinMIYAZAKIで3位タイ、ヤマハレディースオープン葛城で6位タイと成績を重ねた。途中2週連続予選落ちはあったものの、勢いが止まるほどではなかった。そして5月初旬、初めてとなるメジャー初戦ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップを迎えた。

この大会は世界ランキング上位の海外招待選手も多い。世界の一流選手とどれくらい違うのか、確かめるつもりで臨んだ大会だった。ところが初日4アンダーで首位タイからスタートすると、2日目も4アンダーで回り単独首位に躍り出た。こうなると優勝を意識する。すると、3日目は3オーバーとスコアを落とし、首位と1打差の2位タイまで順位を下げる。最終日はイーブンパーにまとめたが、首位でスタートしたキム・ハヌル選手、2位タイでスタートしたレキシー・トンプソン選手はスコアを伸ばし、またもや優勝には届かなかった。

やはり最終日スコアを伸ばさないと優勝は難しい。それでも海外選手と対等に戦え、自信になった大会でもあった。

自信になった全英女子オープン最終日

日本でのメジャー第1戦が終わると海外メジャー第3戦全米女子オープンへの出場を目指して、日本地区の予選会に出場した。この予選会は1日36ホールで行われ、上位4名が本選に進める。川岸選手はプレーオフを勝ち抜いて4番目に出場権を獲得した。

初出場の全米オープン。キャディは父親の川岸良兼氏が買って出た。2番ホールで幸先良いバーディを奪うが、4-オーバーで迎えた13番ミドルホールではグリーン左の窪地に落としたボールが上がらない。このホールで8打を要し、初日は7オーバー、全米オープンへの挑戦は事実上終わりを告げた。2日目をイーブンパーで乗り切っただけに初日が悔やまれた。

海外メジャー第4戦全英女子オープンへの出場権は6月25日アース・モンダミンカップ終了時の賞金ランキングで有資格者を除く上位5人に与えられる。川岸選手は6位だったが上位選手の出場辞退で繰り上がりで出場権を手に入れた。その全英オープンでは初日は1オーバーと苦しい立ち上がりだったが、2日目は2アンダーで回りトータル1アンダーで予選を通過した。3日目はイーブンパーでこらえると、最終日は1イーグル5バーディ1ボギーと爆発、6アンダーで回りトータル7アンダーと23位タイまで順位を上げた。1日だけのビッグスコアだったが、順位以上の自信になったのではないか。