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韓国からの刺客「セクシー・クイーン」アン・シネ選手日本上陸

2017 8/3 12:07hiiragi
ゴルフ,女性
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「スマイルクイーン」に続く第2の「クイーン」

2017年日本女子プロゴルフツアーのメジャー初戦、ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップはかってない盛り上がりを見せた。大会期間は5月4日~5月7日までの4日間。ゴールデンウィークの後半で晴天に恵まれたせいもあるが、会場となった茨城ゴルフ倶楽部西コースには、4日間で4万人を超すギャラーリーが詰めかけた。
この試合には、2年ぶり出場となった宮里藍選手や、前年優勝者で直前のUSLPGAメジャー初戦ANAインスピレーションで悲劇の2位に終わったレキシー・トンプソン選手らが出場して人気を集めた。そしてもう1人、この2人の実力選手に並んで、ギャラリーの注目を集めた選手が居た。
韓国ツアーから日本ツアーに初参戦となった、アン・シネ選手だ。 アン・シネ選手は1990年生まれの韓国人。2009年韓国女子ツアーでプロデビューを果たしたプロゴルファーだが、165cmのスラリとしたスタイルと、ミニスカートにこだわった斬新なファッションで「セクシークイーン」と呼ばれている。
「スマイルクイーン」のキム・ハヌル選手に続いての「クイーン」の日本登場に、マスコミも報道で盛り上げ、一目見ようと会場にも多くのファンが足を運んだ。

クォリファイングトーナメント45位で日本ツアーへ

アン・シネ選手が、日本女子プロゴルフツアーの2017年シーズンに参戦する意思があることは、2016年8月の時点で分かっていた。2017年のツアー出場優先順位を決めるQT(クォリファイングトーナメント)を受験したからだ。
QTは例年8月~12月にかけて、ファーストQT、セカンドQT、サードQT、ファイナルQTと行われ、ファイナルQTの成績順位が翌シーズンの出場優先順位になる。QTそれぞれのステージには免除規定がある。しかし、日本で実績のないアン・シネ選手はファーストQTから出場して勝ち上がり、ファイナルQTで上位につける必要があった。
ファーストQTでは約300人中66名がセカンドQTに勝ち進んだ。セカンドQTでは2016年までにプロテストに合格した日本女子プロゴルフ協会会員と一定基準を満たした登録者が加わる。367名で行われたセカンドQTでは、169名がサードQTに駒を進めた。サードQTは、2016年度ステップ・アップ・ツアー優勝者と「樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント」終了時点の賞金ランキング上位70名が加わり、フィールドは厳しくなる。サードQT通過者は92名。
ファイナルQTでは、2016年シード選手、2016年賞金ランキングでシードを逃がした51位~55位までの選手が加わり、4日間72ホールで行われた。アン・シネ選手は102名中45位の成績で、QTを通過した。

QT45位でTPD単年登録、後何試合に出られるのか

2016年QTランキング45位で出場優先順位が付くと、TPD単年登録をして2017年のツアー出場資格を獲得する。
TPD単年登録とは、日本女子プロゴルフテストに合格した正会員に与えられるツアー出場資格を、正会員以外にも与えるための制度だ。サードQTまで進出するとTPD単年登録ができ、翌1年間のツアー出場資格が付与される。余談だが、2017年からはTPD単年登録者が優勝すれば、正会員の資格を与えられることになった。
QTランキング45位でTPD単年登録をすれば、全ての試合に出ることができるかといえばそうではない。日本女子プロゴルフツアーでは3日間競技が主流で、出場選手は108名に限定される大会が多い。108名の中で主催者推薦枠が18名程あり、残りの90名中50名はシード選手で埋まる。残り40名をQTランキング1位から順に埋めていけば、45位までは回ってこない計算になる。ただ、全員が出場するわけではなく欠場者が出れば繰り上がるのだが、45位は微妙な位置だ。
2015年のQT45位は藤崎莉歩選手だったが、2016年には26試合に出場している。アン・シネ選手も日本ツアーに本格参戦をするつもりなら、26試合前後出場できるのではないかと思われる。

日本ツアー初出場ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップ

日本ツアー初出場はメジャー初戦、ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップだった。メジャーだと他の試合に比べて出場が難しくなりそうだが、それがそうでもない。メジャーだと4日間大会になり、出場選手数が多く設定されるのだ。
実際この大会は120名の選手が出場できる。QTランキングの枠も60名ほどあり、アン・シネ選手にも出場枠が回ってきた。
日本初戦の初日は+3で53位タイのスタートとなった。2日目は+2で回り、トータル+5と60位タイまでの予選通過には厳しい位置でホールアウトしたが、ぎりぎりの58位タイで決勝に進出できた。3日目は朝1番のスタートで青山加織選手と2人で回った。
お互いのリズムが良かったのか2人ともスコアを伸ばし、32位タイまで浮上する。最終日は韓国の先輩イ・ボミ選手と、日本のファッションリーダーの1人でもある金田久美子選手とのペアリングとなった。それぞれが人気選手で、多くのギャラリーに囲まれてのプレーとなったが、スコアは伸ばせずトータル+6の41位タイで試合を終えた。
アン・シネ選手の日本初戦は41位タイと、それほどいい成績ではなかったが、日本のファンの歓迎ぶりには驚いたようでマスコミ取材に答え、何度も感謝の気持ちを述べたのが印象的だった。

随所で見せたプロゴルファーとしての対応

日本ツアー2戦目は翌週行われた、ほけんの窓口レディースだった。 この大会は3日間競技で出場総数は108名のため、優先順位では出場できないが主催者推薦での出場となった。
プロの場合この主催者推薦は、シーズン8回まで受けることができる。優先順位が下位の選手にはありがたい制度だ。
初日はあいにくの雨と雷で約5時間の中断をはさんで再開したが、中断の時間もファンへのサインサービスは忘れなかった。結局試合は消化しきれず順延。翌日に初日の残りと2日目の18ホールが行われた。アン・シネ選手は初日+7の100位タイから、2日目も+6を叩きトータル+13の101位タイで予選落ちを喫してしまう。
こうして日本での2週間は終わりを告げた。2試合とも決して良い成績とはいえなかったが、アン・シネ選手の口から出た言葉は、悪天候にもかかわらず熱心に応援してくれた日本のファンに対する感謝の言葉だった。
日本での2試合が終わった直後の世界ランキングは218位と、日本で活躍する韓国勢の中では下位にランキングされている。それでもファンに対するサービスやメッセージはプロとしての対応にふさわしいものだった。次回の参戦に期待したい。