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谷原秀人選手、海外への挑戦と待たれる国内賞金王の座

2017 6/30 12:56hiiragi
ゴルフ
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アメリカツアー挑戦か国内ツアーで賞金王をめざすか

谷原秀人選手は広島県尾道市出身のプロゴルファー。ゴルフを始めたのは12歳と決して早くはないが、高校生になるとジュニアで活躍、ゴルフの名門校東北福祉大学に入り腕を磨いた。卒業後2001年にはプロに転向、2002年から本格的にトーナメントに参戦を果たした。賞金王の経験はまだないが、賞金ランキングでは常時上位に顔を出す実力の持ち主である。2016年に池田勇太選手と賞金王を争い、最終戦までもつれ込んだが、タイトルは獲得できなかった。
2017年になるとマスターズ出場権取得のため、海外ツアーを転戦、最後のチャンス、WGCデルテクノロジーズマッチプレーで4位に入り念願のマスターズ出場権を手に入れた。この間、アメリカPGAツアーのポイントもたまり、来季出場権も視野に入ってきた。
谷原選手は2016年の日本プロ選手権日清カップヌードル杯の優勝で、2021年までの国内ツアーシード権を確保している。PGAツアーへの挑戦は乗り気だとの発言もあった。ただ、国内ツアーの賞金王を考えると、国内ツアーに専念した方が有利だ。PGAツアーに挑戦するか、国内で賞金王を目指すか、谷原選手の今後の動向が注目される。

2005年PGAツアーへの挑戦と挫折、そして2006年全英での活躍

谷原選手の海外ツアー挑戦は初めてではない。2005年にPGAツアーに挑戦した実績を持っている。
国内ツアーで初優勝を果たした2003年暮れにはPGAツアーのQTを受け失敗すると、翌2004年には2回目の挑戦で見事合格、2005年のシード権を獲得した。2005年はPGAツアー開幕第2戦ソニーオープンinハワイから出場したが、残念ながら予選落ちしてしまう。続くビュイックインビテーショナルでも予選落ちを喫するなど序盤戦から苦戦が続き、20試合に出場するも予選通過は6試合と振るわず、9月には日本のツアーに復帰している。
では谷原選手が海外では活躍できなかったか?というとそうではない。2006年の全英オープンではタイガー・ウッズ選手を向こうに、大活躍をして見せた経験を持つ。
この試合、初日はイーブンパーで回り68位タイと出遅れるが、2日目-4で22位タイ、3日目には-6で回りトータル-10で首位につけたタイガー・ウッズ選手と3打差の単独7位に浮上、最終日に期待を持たせた。最終日は2番でバーディを奪い3位に浮上する場面もあったが、6番でダブルボギーを叩き後退してしまう。それでも、後半スコアを立て直し、トータル-11で5位タイに食い込む大健闘を見せた。

2006年日本ツアー賞金ランクキングは2位

2006年は国内でも賞金王を争った充実したシーズンになった。
PGAツアーから撤退することになった谷原選手の初戦は、東建ホームメイトカップだったが、ここを4位と上々の成績で2006年をスタートさせた。2戦目では予選落ちを喫するものの、5戦目のマンシングウェアオープンKSBカップでは7位タイと調子を上げ、7戦目JCBクラシック仙台で優勝を果たす。
自身3勝目となったこの試合は、初日-4でトップタイに立ち2日目は2位に後退するものの、3日目-7と爆発してトータル-14で首位に立つ。2位は賞金王2連覇中の片山晋呉選手で、最終日は一騎打ちになったが、片山選手に5打差をつけて逃げ切った。
この優勝で全英オープンの出場権をほぼ確定させ、全英オープンで5位に入ると、帰国後第1戦のサン・クロレラクラシックでは、全英の勢いそのままに混戦を制して、2006年の2勝目を飾った。この優勝で賞金王に一歩近づいたが、9月初めに行われたフジサンケイクラシックでは、2日目首位に立ちながら、3日目に逆転を許し、そのまま片山選手の優勝を許してしまう。
そして、賞金王争いの踏ん張りどころツアー秋の陣では、片山選手に水をあけられ、最終戦を待たずに賞金王を決められてしまった。

2016年最終戦までもつれ込んだ日本ツアー賞金王争い

その後、2007年、2008年と賞金ランキング4位で踏みとどまるが、2009年29位、2011年には65位まで落としてしまう。それでも、2012年には13位、2013年には6位と調子を戻し、2014年8位、2015年7位から2016年は一気に2度目の賞金王争いを演じる。
2016年はオリンピックが行われた。選考条件となるゴルフワールドランキングで、2015年末115位の谷原選手は、日本人中10位と完全な圏外だった。しかし、4月末開催の中日クラウンズで3位に着けると、6月の日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ Shishido Hillsでも3位と調子を上げ、6月末開催の長嶋茂雄招待セガサミーカップで優勝を飾る。
この間、世界ランキングも上昇を続け、セガサミーカップ優勝で選考圏内の日本人2位に躍り出てしまった。しかし、谷原選手は、オリンピックを辞退、賞金王に照準を合わせた形になった。そして翌週行われた、日本プロ選手権日清カップヌードル杯でも優勝を飾り、国内メジャー初制覇を果たした。
賞金ランキング2位で迎えたHEIWA・PGM選手権では、賞金ランキング1位の池田勇太選手をプレーオフで下し優勝、首位に躍り出る。しかしダンロップフェニックストーナメントで再逆転を許すと、翌週のカシオワールドオープンゴルフトーナメントでは優勝を許し、またしても賞金ランキング2位でシーズンを終えてしまった。

土壇場でつかんだ2017年マスターズ出場権

2016年は賞金ランキング2位と悔しい思いをしたが、2015年末115位だった世界ランキングは、2016年最終戦ゴルフ日本シリーズJTカップの行われる前週には56位まで上昇した。
JTカップで優勝すれば50位以内に入る可能性もある。そうなると、2017年マスターズへの出場も見えてくる。しかし結果は5位で世界ランキングも57位に終わり、前年末50位以内の資格でのマスターズ出場の希望はなくなってしまった。だがこれで希望がなくなったわけではない。同年公式世界ランキング50位以内(マスターズ大会開催前週に発表のもの)に入ればいいのだ。ここから谷原選手の挑戦が始まった。
世界ランキングを上げるには、少しでも多く試合に出て、いい成績を残すしか方法がない。PGAツアーのソニーオープンinハワイ、今年から始まったアジアツアーとの共同主管2試合では結果を残せなかった。マスターズが近づく中、残された試合は世界選手権シリーズの2試合のみ。世界の強豪相手に結果を残さなければいけない。
初戦WGCメキシコ選手権では32位タイで、残すはWGCデルテクノロジーズマッチプレーのみ。しかし、ここで谷原選手は踏ん張る。予選を勝ち上がり、ベスト16でポール・ケーシー選手、準々決勝でロス・フィッシャー選手を撃破、ベスト4まで進みマスターズの切符を手に入れた。
そのマスターズでは予選落ちとなったが、アメリカで数試合を戦う予定がある。仮に2017-18シーズンのシード権が取れれば、2004年の雪辱を果たしたいところ。当時とは違う円熟のゴルフで、PGAツアーでひと暴れできそうだ。