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スポンサーはANA、女性版マスターズ2017の概要と日本人選手

2017 6/28 09:44hiiragi
ana inspiration
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女性版マスターズと言われる理由

女性版マスターズと呼ばれる大会がある。男子ゴルフメジャー初戦であるマスターズトーナメントは、プロ、アマ問わずトップアスリートが一度は出てみたい、いつかは勝ちたいと目標にする大会だ。
そんなマスターズとほぼ同時期に行われる、USLPGA主催のメジャー大会、ANAインスピレーションが、女性版マスターズと呼ばれる大会である。この大会が女性版マスターズと呼ばれるようになったのには理由はいくつかあり、どちらもメジャー初戦で開催日がほぼ同時期である、開催場所が毎年同じコースに決まっている、華やかなイメージがある、などがそう呼ばせているようだ。女性版マスターズの正式大会名は過去何度か変更になっている。
メジャー昇格は1983年。当時はナビスコ・ダイナ・ショアとして開催されていた。創設者の歌手、ダイナ・ショアさんの名前とスポンサーであるナビスコ社の名前を足している。2000年からナビスコ選手権、2002年からクラフト・ナビスコ選手権、2015年からは日本のANAがスポンサーになり、ANAインスピレーションとして開催されるに至っている。優勝者は18番ホールグリーン近くにある池に飛び込み、喜びを表わす恒例行事が有名である。

会場のミッションヒルズカントリークラブとは

マスターズトーナメントのコースはアメリカ・ジョージア州にあるオーガスタ・ナショナルゴルフクラブである。緑に囲まれた美しいフラットなコースですが、要所に池やクリークが絡んでくる難しいコースでもある。
一方、ANAインスピレーションのコースはアメリカ・カリフォルニア州にあるミッションヒルズカントリークラブである。こちらのコースも緑に囲まれた美しいフラットなコースで、要所に池が絡んでおり、アウト3番までは真っ直ぐなコースが続き、4番はやや打ち上げの右ドッグレッグである。5番ショートホールは2段グリーンを持つ池越え、6番も池に絡んだ左ドッグレッグのミドルホールで、果敢に攻めるか安全に攻めるか、コースマネージメントが試されるホールだ。9番は左ドッグレッグのロングホール、ティーショットの置き場所と、グリーンのアンジュレーションが難しいホールである。
インは広いフェアウェイの10番から始まり、2オン可能な11番ロングホール、左ドッグレッグの12番を過ぎると、13番は距離があるミドルホール、14番は池がらみのショートホールである。17番までを無事乗り切れば、名物の18番ロングホールが待っている。グリーンが浮島になっている池越えホールで、狙うか、刻むかで勝負の行方が左右される。

出場資格と該当選手

各トーナメントはそれぞれ独自の出場資格を設定しており、メジャー競技では出場資格が厳しくなる。ANAインスピレーションの出場資格優先順位1番は、LPGAツアー殿堂入りを果たしている現役選手。2番はANAインスピレーションの過去の優勝者。3番は過去5年間のメジャー優勝者、4番は過去4年間のエビアンチャンピオンシップ優勝者と続く。
出場資格優先順位5番目は過去3年間のLPGA大会優勝者であり、2016年に2勝を挙げた野村敏京選手は、このカテゴリーで出場した。6番はリオオリンピック金メダリストで、韓国の朴仁妃選手だが、朴選手は1番~5番まで4番以外の基準に全て該当するというスーパースターだ。
7番が前大会20位以内の選手となり、宮里藍選手は前年18位だったことにより出場権を獲得した。8番が前年のメジャーで5位以内である。2016年大山志保選手はこのカテゴリーで出場権を手に入れる。
9番が前年のLPGA賞金ランキング80位以内で、シード選手には全員出場権が与えられる。日本の上原彩子選手、横峯さくら選手、宮里美香選手は9番目の出場資格で出場権を獲得した。
その他にも、前年の欧州、日本、韓国ツアーA賞金ランキング2位以内、3月7日時点の世界ランキング30位以内でも出場できる。

2017年大会日本人選手の成績

2017年、日本人選手は、あまりいい成績を残せなかった。最終的に一番いい成績でホールアウトしたのは、27位タイの上原彩子選手であった。上原選手は2013年から主戦場をUSLPGAに移し2016年は賞金ランキング78位でシード権を維持、辛うじて出場権を獲得する。3日目69を出し、上位進出のきっかけはつかんだものの、最終日スコアを伸ばしきれなかった。
続いて40位タイが宮里藍選手。宮里選手は2016年18位タイに入り、2017年上位入賞が期待されての出場であった。しかし初日78位タイからのスタートとなり、予選は通ったものの、もう一つ波に乗れないまま、終わってしまった。
横峯さくら選手は初日15位タイとまずまずのスタートを切ったものの、2日目3日目のスコアが響いて68位タイ。
野村敏京選手も初日15位タイからのスタートを活かせず、70位タイト低迷した。宮里美香選手は初日から波に乗れず、予選落ちに終わっている。
もう一人、日本LPGAツアーからイ・ボミ選手が出場した。イ・ボミ選手は2016年大会は10位に入っている。期待されたが、3日目、最終日とスコアを落とし、66位タイの成績だった。

試合途中で異例の罰打、思いがけない展開の優勝争い

優勝争いは、韓国のユ・ソヨン選手とアメリカのレキシー・トンプソン選手が-14で並び、プレーオフの末、ユ・ソヨン選手が優勝に輝いたのだが、無事に事が運んだ優勝争いではなかった。
最終日2位に2打差をつけてスタートしたレキシー・トンプソン選手は最終日をプレー中、4罰打が課せられる異例ともいえる事件があったのだ。 この4罰打は前日の3日目のプレーとその後のスコア誤記に対して課せられたもの。発端はテレビ視聴者からの指摘である。3日目17番グリーン上で、マークした場所と違う場所にボールを置いて打っていたとの指摘があり、競技委員会がこの指摘を採用したのだ。
誤所からのプレーで2打罰、スコア誤記で2打罰の計4打罰。このようなテレビ視聴者からの指摘は初めてではなく、競技委員会もビデオで確認するのだが、テレビで映る頻度は、人気選手や成績上位の選手に偏るため、不公平だとの声も出ている。
4罰打を受けたトンプソン選手は2打を追いかける立場に変わったのだが、涙を流しながらも気丈に戦い、18番で追いつきプレーオフにまで持ち込んだ。しかし、気力もここまでだったよう。こうして2017年度女性版マスターズは幕を閉じた。