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女子ゴルフ界で世界を席巻、韓国女子ゴルファーが強い理由

2017 6/28 09:44hiiragi
Se-ri Pak
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日米ツアーで主要ランキングの上位を独占

世界の女子プロゴルフ界を席巻する韓国の勢いが止まらない。日本ツアーでは3年連続賞金女王の座を占め、2016年賞金ランキングでは、ベスト10に6名が入っている。2016年末の女子ゴルフ世界ランキングを見ても3位のチョン・インジ選手を筆頭に5名がベスト10に入っている。
日本LPGAツアーの2016年トーナメント優勝者を振り返ると、37試合中賞金女王のイ・ボミ選手が5勝、2位の申ジエ選手が3勝、4位のキム・ハヌル選手が2勝、7位の全美貞選手が2勝、8位の李知姫選手が2勝、9位のアン・ソンジュ選手が2勝、20位の姜秀衍選手が1勝と合計17勝を挙げ、試合数の半分に迫りそうな勢いである。
USLPGAでも同じような現象で、2016年賞金ランキングトップ10に、韓国選手が4人入っている。4位のチョン・インジ選手を筆頭に、6位にキム・セヨン選手、8位にジャン・ハナ選手、10位がユ・ソヨン選手である。ちなみにアメリカ人トップは9位のブリタニー・ラング選手、日本人トップは11位の野村敏京選手だった。ユ・ソヨン選手は2017年メジャー初戦のANAインスピレーションに優勝、6試合終了時点で賞金ランキング1位を独走中である。

韓国国民に希望を与えた朴セリ選手

なぜ韓国女子ゴルフは強いのか、朴セリ選手の存在抜きにして韓国女子ゴルフの今を語ることはできない。朴セリ選手は1996年プロに転向後、韓国ツアーで2年間プレーをし、1998年よりUSLPGAツアーに参戦している。
同年、5月に行われた全米女子プロゴルフ選手権でいきなり優勝を飾り、7月に行われた、全米女子オープンゴルフでは、大接戦を制してメジャー2連勝を達成した。
特に全米女子オープンゴルフの印象は強烈だった。この試合は72ホールでは決着がつかず、プレーオフに突入、翌日18ホールを戦うこととなった。その18番ホールで川に入れた朴セリ選手は、靴と靴下を脱いで川に入り、起死回生のショットを放つ。結局18ホールではまたもや決着がつかず、エキストラホールで勝利を収めた。母国韓国では視聴者は手に汗握って勝敗の行方を見届け、その後この時の映像は何度も母国で流されている。
韓国は前年の1997年に起こったIMF通貨危機で、疲労困憊していた。そんな中で成し遂げた快挙に、ゴルフファンならず、国民全員が勇気を与えられたことは、想像に難くないだろう。朴セリ選手は英雄になり、朴セリ選手にあこがれてゴルフを始めた少女が後に続いた。
彼女たちは朴セリチルドレンと呼ばれ、現在の韓国女子ゴルフを牽引する選手たちに育っていった。 朴セリ選手はUSLPGA通算25勝、メジャー5勝を挙げ、2007年には世界殿堂入り、2016年限りで引退した。

ナショナルチームの存在

朴セリ選手の登場で韓国女子ゴルフ界の視野は広がり、優秀な人材が集まるようにはなった。だが、それだけで韓国の女子ゴルファーが強くなった訳ではない。日々の韓国式の厳しい練習の結果、実力を付けていったのも事実である。
少数精鋭の韓国のナショナルチームは、非常に厳しいことで知られ、成績が悪いとすぐにチームから外されるほどの成績第一主義。しかし、採用されれば、練習場所やコーチ、ゴルフ場での実戦練習まで、徹底的なバックアップ体制があり非常に優遇される。
指導方法も徹底しており、学業よりもゴルフの方が優先され、ゴルフ中心の生活になる。プロを目指すジュニアにとっては、これほど良い環境はなく、学業やゴルフにかかる費用のことなど、全て何の心配もなくゴルフに集中できるのだ。他の誰よりも練習をしナショナルチームに入ることで、さらに上が目指せるようになる。イ・ボミ選手、申ジエ選手、アン・ソンジュ選手などもナショナルチームの出身者である。

強い身体と心が育つ理由

韓国人選手が強い理由の一つとして、身体の強さが注目に値する。あの強い肉体はナショナルチームだけで培われたものではないようだ。
コウ・ウスン選手によると、プロを目指す子供たちは、幼いころからより漢方を日常的に取り入れていることも特徴的である。数百種類の漢方を織り交ぜた高級なサプリメントも日本より手軽に入手でき、そのことが強い体作りに一役買っている可能性はあるかもしれない。
トレーニングで筋力を鍛え、ナショナルチームでさらに効果的に強い身体を作る。そうして韓国人選手はガッチリとした強い身体を手に入れているようである。
また、韓国人選手はメンタルが強いとも言われている。『健全なる精神は健全なる身体に宿る』の諺どおり、強い肉体を誇る選手には強い精神が宿っているようで、どんなにピンチに陥ろうと、韓国人選手は毅然と物事に対処できる。乱れることのない精神と強靭な肉体で、韓国は世界でも名高いゴルフ強国になったと言えよう。

競争社会で培われた「負けたくない」精神

韓国は日本以上の競争社会であることは有名である。誰よりも勉強して受験に勝ち、就職してからもさらに競争をしている姿が日本でも放送されるほど。 その精神は勉強だけでなく、スポーツでも同じで「誰にも負けたくない」という気持ちはプロになっても衰えない。
2010年11年14年と3回の賞金女王の実績を持つアン・ソンジュ選手に逸話がある。彼女は韓国でプレーしていた頃、どうしても申ジエ選手に勝てない時期があった。自分に足りないものはパッティングだと聞かされると、パッティングの練習を集中的に行い、苦手なパットを克服した。実際、日本に来てからのパッティングランキングは、いつも上位に入っています。
それ以外にも、コーチ陣の教え方の上手さや、試合の組み立ての上手さも韓国が強い理由の一つに挙げられる。韓国から日本に来た選手たちは一様に、まずスイングを固めるところから教わったと言う。韓国女子ゴルファーの、フェアウェイウッドの扱い方の上手さや、スイング時のトップの位置の正確さは、以前から賞賛されていましたが、スイングを固める練習の効果が出たようである。
小さいころから、十分な練習を行える環境に加え、人に負けたくない国民性が揃う韓国女子ゴルファーの天下は、しばらく続きそうな気配だ。

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