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最大飛距離を生むダウンスイングでの2つの連動【ゴルフハウツー】

2020 12/31 06:00akira yasu
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下半身と上半身・腕とクラブ

飛距離を出すには効率よくクラブヘッドを走らせる必要があり、ヘッドを走らせるには身体とクラブの連動が鍵となる。動きを分けると「下半身と上半身」「腕とクラブ」となり、この2つの動きをうまく連動させればヘッドスピードを速くできるのだ。

多くのゴルファーは下半身と上半身がぎくしゃくしていたり、腕とクラブを固定させ過ぎることで肩からクラブヘッドまでが一本の棒のようになってしまっている。そうなるとクラブヘッドは走らない。すると、ロスしている飛距離を補おうと力んでしまい、さらに連動性や再現性が損なわれてしまうのだ。

腕とクラブの連動

ダウンスイングでは腕とクラブの内角が鋭角であるほど、インパクトでクラブヘッドを加速させやすくなる。腕とクラブの角度は肘と手首の角度とも言え、この角度は一般的に「タメ」と言われている。手は下降しながらクラブヘッドは上に残り、腕とクラブの内角が鋭角になるのが理想的だ。

多くのゴルファーはこのタメが作れていない。「ボールにクラブヘッドを当てたい」といった意識やクラブヘッド側に重心が偏っているクラブの構造などが影響して、手と一緒にクラブヘッドが下降しているのだ。早い段階で肘や手首の角度がほどけ、クラブヘッドの方が先に落ちてしまっているゴルファーも少なくない。

多くの人はボールを投げる動作に馴染みがあるだろう。ゴルフクラブを上手投げするような動作を思い浮かべてみてほしい。目標方向にクラブを振り出して行く時、腕とクラブがバラバラに動くだろう。

右肘の内角が鋭角になりながら右手首が背屈し(右投げの場合)、クラブヘッドが大きく遅れる。そして、遅らせたまま粘り、右肘、右手首の順番で一気にリリースすることで、ヘッドは遠心力によって加速する。

上方で行う動作と、下方で行う動作とでは、重力の関係で感覚は違ってくるものの、ゴルフスイングでクラブヘッドのスピードやパワーが生まれる流れは同じだ。

下半身と上半身の連動

ダウンスイングでは、腕が振り下ろされるよりも先に左足に加重していきながら腰部が回旋していく。腰部の動きに導かれるよう少し遅れて肩が回りながら腕が振り下ろされる、という流れが理想的だ。

多くのゴルファーはダウンスイングで肩と腰部が同時に回っている。上手投げの動作に置き換えると、肩と前足(右投げの場合、右肩と左足)が同時に投げる方向に向かっている状態だ。これでは力強くリリースすることができない。ただし、この動きには胸郭周りの可動域が大きく影響する。柔軟性のない人の場合は逆効果になることがあるので注意が必要だ。

ちなみに、インパクトでは左脚や臀部、腹部の筋肉を使い体重や腰部の回旋を受け止め、遅れた肩を追いつかせるような流れが必要なことも把握しておきたい。

飛ばし屋の原英莉花

日本女子ツアー最終戦とJLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップで優勝と、今季挙げた勝利がいずれもメジャーだった原英莉花は飛ばし屋だ。身長173センチの黄金世代。長い手足を巧みに使い、「下半身と上半身」「腕とクラブ」をうまく連動させヘッドスピードを出している。

原はダウンスイングの早い段階で、右膝が目標方向を向くぐらい腰部が回転しているものの、胸は目標の反対方向を向いたまま粘る時間が長い。捻転差が大きいことで、ねじり戻りの力を使って上半身を高速回転させている。

その上半身の回転が腕の振りを導き、手元が下降してもクラブヘッドは上に残り、腕とクラブの内角が鋭角でタメが深い状態を作り出しているのだ。インパクトでは一気にタメを開放してヘッドスピードを出し、ボールに力を伝えている。

1つだけの連動でも効果あり

ただし、原のように2つの動きを連動し融合させるスイングは難易度が高い。そのため、腕とクラブの連動だけを意識して取り組んでみるのも良いだろう。

どうしても腕や手首は固めている方が安心感があるため、連動させるとクラブヘッドの動きが不安定になると感じるかもしれない。しかし、ある程度の腕や手がクラブヘッドの重みや遠心力にもっていかれる感じは自然で、あるべきものと言える。

その不安感を払拭するには、定めたイメージで反復練習をするしかない。よりしなやかに体の各部位とクラブが連動したスイングを目指し、練習に取り組んでみて欲しい。

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