世界ジュニア女王、目標は尊敬する浅田真央
2月1日に韓国・江原道で閉幕した第4回冬季ユース五輪(原則15~18歳が対象)でひときわ輝きを放ったアスリートが、フィギュアスケート女子で初の金メダルに輝いた京都・広野中3年の15歳、島田麻央(木下アカデミー)だった。
2023年3月の世界ジュニア選手権(カルガリー)で頂点に立ち、2023年12月のジュニア・グランプリ(GP)ファイナル(北京)ではトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)と4回転トーループを同時成功して2連覇を達成した実力者。鬼門のショートプログラム(SP)で71.05点をマークして首位に立つと、フリーも1位の125.94点で合計196.99点として優勝した。
目標は尊敬する浅田真央で「マオ」が名前の由来にもなった日本の将来的なエース候補。自身のインスタでは「一度しか出られない憧れの舞台なので絶対に楽しもうと思って韓国に行きました。とても緊張しましたがショートもフリーも笑顔で楽しんで滑る事ができ、滞在中選手村を楽しむ事も出来ました。この素晴らしい経験をこれから生かしていこうと思います」と喜びをつづった。
「仮想五輪」で韓国のライバルに5点以上の差
2018年平昌冬季五輪のフィギュアスケート男子シングルで羽生結弦が金メダルに輝くなど歴史を刻んできた会場の江陵アイスアリーナ。大会公式サイトによると、島田は同じ15歳で地元韓国の辛智娥に対する声援が想像以上に大きく「本当に緊張した」という。
それでも冒頭にトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)をわずかに回転不足ながら着氷すると、4回転トーループは転倒したが、後半の残る3回転ジャンプを大きなミスなくクリーンにまとめ、スピンでも最高難度のレベル4を獲得するなど高評価を得て観客を魅了した。
銀メダルの辛智娥に5点以上の差をつけ、ジュニア転向からの国際大会連勝を9に伸ばした島田は「一度しかない憧れの舞台」という将来的な「仮想五輪」の舞台で貴重なステップを踏んだ形だ。
大会公式サイトにも「ユースオリンピックの舞台に立てたので、オリンピックにも出たいって思いが強くなりました」とコメントしている。
2030年冬季五輪で「マオ」超えの頂点へ
名前の由来となった憧れの浅田真央や安藤美姫ら世界ジュニア選手権の歴代女王は、シニアでも世界一に輝いた歴代の名選手が並ぶ。島田は年齢制限で2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪には出場できなくても、2030年冬季五輪で「マオ」超えの金メダルという高みを見据えて挑戦を続けていく逸材であろう。
日本スケート連盟の公式サイトによると、趣味は岩盤浴、料理、ダンス。「皆さまに見たいと思っていただける魅力ある演技を目指す」と抱負を述べている通り、浜田美栄コーチから課された今季のテーマは演技力。大技の4回転トーループや3回転半などのジャンプ一辺倒にならないよう、オフには宇野昌磨(トヨタ自動車)が師事する元世界王者のステファン・ランビエル氏による指導で顔の向きや姿勢など細部の助言を受け、表現力も磨いている。
全日本選手権は2年連続で表彰台に立つ3位。将来有望のエース候補は持ち前の笑顔を忘れず、着実に一歩ずつ成長曲線を描いている。
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