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【eスポーツが知りたい!】闘会議2018の取材とレポート①~イギリスのeスポーツ団体「eGAMES」

2018 2/16 12:10SPAIA編集部
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闘会議2018の取材とレポート①~イギリスのeスポーツ団体「eGAMES」

 2018年2月10日(土)、11日(日)、幕張メッセにて闘会議2018が開催された。来場者数は7万2,425人、インターネットのライブ配信を視聴したユーザーは513万1,820人に上る。会期中は様々なジャンルのゲーム大会が行われ、2日間の賞金総額は2,815万円だった。日本で初めてプロ選手のライセンスが発行される大会も開催され、注目を集めた。

闘会議2018

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▲来場者は実際にゲームをプレイしたり、コスプレを楽しむ人もいた。

 

 SPAIA編集部も会場に赴き、海外のプロ選手やeスポーツ団体への囲み取材に参加した。今回は、数々の大会を開催しているイギリスのeスポーツ団体「eGAMES」のCEOチェスター・キング氏、シニアバイスプレジデントのジェームス・シェストン・ベイカー氏に、eスポーツのリアルな状況を聞くことができた。

 

―イギリス、EU圏ではeスポーツはどのように浸透しているのでしょうか。
キング氏:イギリスではeスポーツはスポーツではなく、チェスのような、単なるゲームとして認識されています。しかしポーランドでは、チェスはスポーツであると捉えられているため、ゲームもスポーツだと考えられています。このように、EU圏でも認識に違いがあります。しかし、イギリスではゲームが精神的に良い影響を与えるとされていて、それが我々にとっては追い風になっています。

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▲チェスター・キング氏(手前)とジェームス・シェストン・ベイカー氏。

 

―認識の違いは、オリンピック競技として認められるまでの足かせとなりますか。
キング氏:その面はあります。ゲームには商業性がついてまわるので、そこをどうしていくかが問題です。個人的には、国によって人気のゲームが違うため、どのゲームを選ぶのかが大きな問題です。例えば「League of Legends」は世界中で遊ばれていますが、国によっては違います。

 

―eスポーツがプレミアリーグのように大規模にならないのはなぜだと思いますか?
ベイカー氏:一番大きいのは、メインストリーム、つまり実際にプレイする人に訴求しているかどうかです。サブカル的な部分からメインストリームにいかないと、そういう規模にはならないと思います。
キング氏:eスポーツには教育的な側面があると考えています。プレイヤー同士のコミュニケーション要素が大きく、社会的・精神的にも良い影響を与えると、政府も注目しています。例えば子供がチェスをやっても親は怒らないですよね。そのような流れで、テレビを見ているよりもeスポーツのほうがいいよねとか。そんな風にeスポーツをやる流れになればいいなと思います。

 

―教育的というと、ゲームの中には「Call of Duty」のような暴力性の高いゲームもありますが、そのあたりはどうお考えですか。
キング氏:そのためにレーティングがあると思っています。子供にわざわざホラー映画を見せることがないのと同じように、正しいゲームを遊ばせる活動もしています。

 

―オリンピック競技として採用されることを目指したときに、暴力性のあるゲームの題材がスポーツとして認可される時に障害となりますか?
ベイカー氏:オリンピックの競技になる要件を満たしているゲームは、少なくともFPSのようなゲームには存在しないと思います。銃撃戦のようなゲームは扱わないと公式にも発表されています。
私は35タイトルを確認しましたが、オリンピックの競技になるようなタイトルはありませんでした。しかしそれが悪いということではなく、あくまで方向性が異なるということだと思います。例えば「STEEP」(2016年に発売されたウィンタースポーツのゲーム)などは可能性があるでしょう。

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▲闘会議2018最終日、「Call of Duty」プロライセンスマッチの様子。実況者(中央)の叫び声が響き渡り、熱気と緊張感を帯びていた。

 

―日本では高額賞金の大会がないため、プロゲーマーの数が少ないと思います。イギリスのプロゲーマーの平均収入や大会の平均賞金額を教えてください。
キング氏:イギリスはEU圏でも一番賞金が低いんです。プレイヤー人口は300万人程度いますが、プロとなると50人以下くらい。問題はやはりお金です。一番金額総額が多かった大会が65万ポンド(約9700万円)で、チームで山分けするかたちでした。通常は5万ポンド(約750万円)くらいです。たとえばフォードなど大手のスポンサーが入れば、金額は大きくなると思います。
ベイカー氏:規模を拡大していくためには、そういう人たちが投資したいと思えるような大きな露出効果が得られないと厳しいです。
キング氏:その点で日本とイギリスの状況は似ていると思います。しかしイギリスの場合は政府がサポートしてくれているので、恵まれていると感じます。

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▲プロゲーマーに来場者が挑めるブース。挑戦者がプロゲーマーを負かすというケースもあり、連日賑わっていた。

 

―イギリスのeスポーツユーザー層と人気のゲームを教えてください。
キング氏:99%のファンが男性です(笑)これについては変えたいと思っていて、団体の運営するスクールリーグでも男女が参加できるように工夫しています。
イギリスだと「Counter-Strike: Global Offensive」、「League of Legends」が人気で、最近他の国では格闘ゲームや「オーバーウォッチ」も人気があります。特に若い層では「ロケットリーグ」が人気です。
ここで一つ問題があって、「Call of Duty」はコンソール(家庭用機)で遊んでいる人が多いのですが、大多数の大会がPCで行われるので、できればPCで遊んでほしいと思いますね。
ベイカー氏:どのプラットフォームで遊んでいるかは国によって違うので、統一して大会を開催するのは難しいんです。しかし基本的には皆、楽しむことを目的にゲームをやっているので、文化が違うのは仕方ないと思います。

 

―より多くのファン層を取り込むためにどのような取り組みをされていますか。
ベイカー氏:eGAMESは始めたときからテレビ制作会社と連携していて、映像だけでも楽しめるように工夫しています。スーパーボウルのハーフショーのように、必須ではないが重要な役割だと思っています。
例えば「League of Legends」を急に放送しても、視聴者は内容がわからないのでピンとこない。サッカーなど皆がルールを知っているスポーツのゲームを放送すれば、コアではないユーザーも取り込んで行けると思っています。
キング氏:イギリスではケーブルテレビではeスポーツの専門番組があるんです。プロの選手は多くないですが、実況(よく叫ぶことからeスポーツの実況者は「shout caster」と呼ばれている)が上手い人材が多く、番組の制作力が非常に高いんです。
よりファンを増やすためには、eスポーツのヒーロー、スター選手も必要だと思いますね。イギリスでは街を歩けば皆が振り返るようなeスポーツのヒーローは、まだいない。そのような人が出てきてほしいです。

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