スキップ上野美優はエリートアカデミー1期生
群雄割拠の新時代で名乗りを上げた。2月4日まで札幌市で行われたカーリングの日本選手権で女子のSC軽井沢クラブが北海道銀行を5―4で下して初優勝し、3月の世界選手権(カナダ)に日本代表として出場することが決まった。
2022年北京冬季五輪銀メダルで3連覇を狙ったロコ・ソラーレが2次リーグで敗退する波乱。決勝は3―4で迎えた最終第10エンドに2点を挙げて逆転勝ちする劇的な展開だった。新興勢力として台頭し、初の頂点に導いたのは22歳のスキップ上野美優。将来の五輪選手育成を目指し、8年前にクラブが開校したエリートアカデミーの1期生でもある。
「頼もしいチームメンバーがいたので、信じて投げるだけだった」と大会の公式インタビューで正確なドローショットを決めたラストショットを振り返った上野美優。挑戦者として合言葉「新時代の主役」に一躍躍り出た形だ。2年後のミラノ・コルティナダンペッツォ五輪に向け、着実な成長曲線を描いている。
1998年長野冬季五輪でカーリングが行われた長野県軽井沢町の生まれ。クラブの公式YouTubeによると、上野美優は小学生時代にバレエも経験。同級生の両川萌音がバレエだけでなく、カーリングもやっているので気になり「体験会に妹(結生)と行ったら沼にはまった」と競技にのめり込んだ。
2022年世界ジュニア選手権で日本勢初優勝を遂げたメンバーの中心で、特に予選最終戦のカナダ戦で「ラストロックオープンテイクを投げるときに手だけでなく、体全体が震えた」のが印象に残っているという。
上野姉妹と43歳のベテラン西室淳子
SC軽井沢クラブは上野美優の妹で21歳、リード上野結生もエリートアカデミーの1期生だ。サードの金井亜翠香、フィフス両川萌音、上野姉妹ら20代の若手を、43歳のベテラン西室淳子が経験でチームを支える。
クラブの公式YouTubeによると、上野結生は長野大学で環境ツーリズムを学んでおり、中学時代は陸上部で短距離選手だったという。
セカンド西室淳子は小学生の頃からスピードスケートで五輪を目指し、中学時代にカーリングに転向。ママさんカーラーでもあり、個人として2005年(チーム土屋)、2018年(富士急)に続き3度目の日本選手権制覇となった。チームの精神的支柱でもある。
世界を目指すクラブは8年前にまいた種がこうして大きく花開き、専任コーチの一貫指導の下、トップチームがジュニアを指導、そのジュニアがトップチームになり、地域スポーツの理想型である好循環が生まれている。
世界選手権でも「新時代の主役」になれるか
SC軽井沢クラブは昨年の日本選手権決勝ではロコ・ソラーレに5―7で敗れた。今大会は準決勝で優勝経験のある中部電力を破り、決勝では北海道銀行に競り勝った。
土壇場で逆転勝ちにつなげるチームの根幹にある強さは「明るく楽しむ」というスタンス。スキップ上野美優は自信のSNSで「今まで取り組んできたことに集中し、課題を修正して成長し続けた1週間は本当に楽しかったです」と総括した。
3月の世界選手権でも合言葉の通り「新時代の主役」になれるか。この勢いのまま、挑戦者として世界でも躍進が注目される。
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