オーストラリア対策に大半の時間を割く
バスケットボール3x3女子日本代表が2月6日に、第7次強化合宿を迎えた。インド・バンガロールで行われる「FIBA オリンピック予選 (OQT)」に向けてあと1か月と迫り、合宿もいよいよ本番モードへと突入した。
メディア公開日となった6日の練習では、OQTで同じプールに属するオーストラリア対策に大半の時間が割かれていた。対オーストラリアを想定し男子チームを呼んで、フィジカルの強さと高さ対策を重点的にスクリメージ。当然、体格も違うため、最初は当たり負けをするシーンもあったが、徐々に適応し充実した練習となったようだ。
ロイブル・トーステンコーチは、公開練習後の記者会見で「OQTに向けて非常に重要なキャンプ」と切り出す。
「予選ラウンドのチームの中でオーストラリアとウクライナという強いチームがいる。そのチームをシミュレーションするために、男子のチームに来ていただきました。そういったチームはフィジカルに強いですし、高さもあるので、男子のチームにオーストラリアのプレーをしてもらった。そのシミュレーションをしながら如何に対応をしながら自分たちで考えていくということです」と目的を明かした。男子チームに関しては「上手くやってくれた」とオーストラリア対策において大きな役目を果たしていた。
Ⓒマンティー・チダ
そして、この日はU23ワールドカップ優勝メンバーである山本麻衣、馬瓜ステファニー(共にトヨタ自動車アンテロープス)、永田萌絵(トヨタ自動車アンテロープス/東京医療保健大学 4 年)が同じチームでプレーしていた。その意図を確認すると「あくまでも組み合わせの一つ」とロイブルコーチは話す。
「実際に今日ここで分けたという事ではなく、色んなラインナップを想定しているわけで、前回までのキャンプで組んでいないチームとしました。明日はまた違うチームになると思います。全て録画し結果を見て、どのラインナップが良いかという事をしっかり見て判断するつもり。U23ワールドカップのメンバーには気を付けていて、ずっとそのメンバーでやってしまうと、これで決まりではないかと思う選手がいると困るので、そのあたりはしっかり混ぜるようにしています。実際にみんな違った能力や武器を持っていますので、如何に使える選手が誰かというのを見て、しっかりした判断基準を基に選手選考をしていきたい」とあくまでも偶然だと強調する。
自分の強みをしっかり生かし切ることが大事
ロイブルコーチは、OQTに向けてロースターの組み合わせを「2人ガード、2人ビッグマン」という構想を明らかにし、補欠もガード、ビッグマンそれぞれ1人ずつにするとした。
今回の強化合宿で召集されたメンバーで考えると、ビッグマンとなればU23ワールドカップの優勝メンバーである馬瓜と西岡里紗(三菱電機コアラーズ)、そして田中真美子(富士通レッドウェーブ)になる。
そのうちの一人、田中は馬瓜、山本、永田と同じメンバーでチームを組んでいた。「一生懸命付いていこうと。(馬瓜)ステファニーと山本麻衣ちゃんは長年ずっとやっているし、IQも高いから、永田さんも含めて連携が取れていると思います」と田中は一緒にプレーしてこのように感想を話す。
そして、男子チームとのスクリメージについては「やっぱり全然違う。国内ではなかなか体感できないようなフィジカルやスピード、パワーがあるので。とりあえず当たり負けしないように、自ら当たっていくという事を意識し、泥臭くボールも取りに行きました」と振り返った。
田中は早稲田大学時代、インサイドの主力としてチームを牽引し、ユニバーシアード大会を大きな目標としていた。その為、3人制で強化合宿に呼ばれていることに対して「自分が一番驚いている」と明かした。
「個人技というタイプでは無く、合わせとかリバウンドを取るなど、そういうプレイヤーなので、びっくりしています。1対1とかではない3x3で生かせる強みというのも多少はあるのかなと思います。それが世界に通用するのかはわかりませんが、自信を持って頑張るしかない」
Ⓒマンティー・チダ
所属する富士通レッドウェーブでも、3人制の要素を入れた練習をたまに実施する事もあるようで、1対1の強化という意味で取り組んでいる。実際、強化合宿でも大神雄子アソシエイトコーチが「勝つか負けるかは1対1が重要」と声を出すほど、フィジカルなどの差があったとしても、選手に1対1で上手くなることを求めた。
田中は「正直私で良いのかなという気持ちはあります。アジャストできている部分もあるし、そうで無いところも。チャンスはあるが、今から1対1がすごくうまくなるとは思わない。自分の強みをしっかり生かし切ることが大事」とあくまでも自分の強みで勝負する。
ロイブルコーチは「OQTを突破した後は、再度今回招集した9人を呼ぶ。出場権を獲得した4人はボーナスになりますが、確定ではない。同じレベルであれば、出場権を獲得した4人が優位になります」と方向性を示した。だからOQTのメンバー入りを逃したとしても、チャンスが完全に無くなるわけではないが、OQTのメンバー入りを果たせば、当然オリンピック本大会のメンバー入りに大きく前進することは間違いない。
「オリンピックには行きたい。その為には、シュートを決めきる力が本当に無く、良い動きでも決めきれないこともあるので、細かい所を徹底すること。それから、泥臭くディフェンスとかリバウンドとかで貢献することが私のできるところなので、頑張りたい」と意欲を示した。
3月のOQTには誰が選ばれるのか、そしてどのようなゲームプランとなるのか待ち遠しい。