国内FA移籍初年度の開幕投手はNPB史上3人目
2016年以来となるクライマックスシリーズ出場を目指すロッテ。井口資仁監督は、新型コロナウイルスによる開幕戦延期の発表前から、開幕投手に美馬学を指名していた。
美馬はこのオフシーズンに国内FA権を行使し、楽天からロッテへと移籍してきたばかりでいきなりの大役を任されたことになる。井口監督は、実績のある石川歩や若手有望株の種市篤暉といった生え抜きの投手を起用しなかった。これにはきちんと理由があり、美馬の経験と開幕戦の相手となるソフトバンクとの相性を重視したことをコメントしている。
NPBにおいて、国内FA移籍1年目での開幕投手は美馬で史上3人目となる。過去の2人とは、1995年の工藤公康(西武→ダイエー)と2000年の星野伸之(オリックス→阪神)だ。両投手とも実績があるなかでの開幕投手への抜擢だったが、工藤は4回途中8失点、星野は2回5失点と打ち込まれ、ともに結果を残せなかったが、負けはついていない。
美馬が予定通り開幕投手を務めることになれば、国内FA移籍初年度の開幕投手としての初勝利を挙げることができるか、注目の試合となる。
村田兆治が球団記録となる13回の開幕投手で6勝
ロッテの開幕投手における記録を振り返ってみると、マサカリ投法の村田兆治の名前が燦然と輝いている。昭和の時代にロッテのエースとして活躍し通算215勝を挙げた村田は、球団史上最多の13回、開幕投手を務めた。その成績は6勝6敗で、6勝、6敗いずれも球団最多となっている。
2リーグ制後のNPBにおいて、開幕投手の回数は金田正一(国鉄ほか)と鈴木啓示(近鉄)の14回が最多となっており、村田の13回はそれに続く。また1975年から1982年に渡って8年連続で大役を任されている。この数字も、もちろん球団史上最長である。
8年連続で務めた後、1983年から1985年は肘の故障もあり開幕投手ではなかった。しかし見事に復活を遂げた村田は、1986年から1990年まで再び5年連続で開幕投手を任されている。1990年には、なんと40歳4カ月で完投勝利をマークし、開幕投手の最年長勝利を記録した。
1990年、開幕戦で白星を挙げた村田は2ケタ勝利(10勝)を達成したにも関わらず、この年をもって現役を引退した。余力を残した状態でユニフォームを脱ぎ、マウンドから去ったのである。
ちなみに、平成に入って以降では成瀬善久(現・BC栃木)が、2010年から2014年まで5年連続で開幕投手を務めたのが連続記録だ。この間の成績は1勝3敗で2つ負け越している。
体調不良でオープン戦の登板回避
ここまで、美馬はオープン戦で1試合も登板していない。3月5日のオリックス戦(当日中止)での登板が予定されていたものの、体調不良でこれを回避。その後、練習には参加しており大事には至っていないが、少し心配なところではある。
この春の実戦登板は2月22日の西武戦(練習試合)で2回1失点、27日のオリックス戦(練習試合)で3回2失点の2試合だけ。
美馬にとっては、開幕戦が延期になったことはプラスになるかもしれない。今年34歳とベテランの域に足を踏み入れつつある美馬は開幕戦へ向け、どのように調整を行っていくのだろうか。体調不良の不安を一蹴するような快投に期待したい。
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