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阪神・藤浪晋太郎の不調の原因はメンタル?データが示す根拠とは

2020 3/4 06:00小中翔太
山本昌臨時コーチの指導を受ける藤浪晋太郎ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

「甲子園の申し子」待たれる復活

甲子園の申し子が長いトンネルから抜け出せずにいる。高校時代は史上7校目となる甲子園春夏連覇を達成し、プロ入り後はルーキーイヤーから3年連続で2桁勝利をマーク。将来は阪神の、ではなく球界のエースとなることが期待された藤浪晋太郎だが、近年は満足のいく成績を残せていない。

元々制球力で勝負するタイプではなかったが2016年から制球を乱す場面が増え勝敗が逆転。2018年に5勝3敗と勝ちを先行させたものの防御率は5点台と芳しくなく、昨季の1軍登板はわずか1試合だけに終わった。

メンタル面が課題なのか、技術面に問題があるのか。人によって意見が分かれており、明確な原因が分かっていない。

2016年以降はK/BBもFIPも下落

勝敗、防御率の"結果"もさることながら"投球内容"でも2015年までと2016年以降では差が見られる。2013年から2015年までの成績を合計すると、1つ四球を与える間にいくつ三振を奪ったかを示すK/BBは2.73だった。

しかし2016年以降になると1.73と大きく数字を落とす。前者なら11三振4四球、後者なら7三振4四球のペースに近いから看過出来ない変化幅だ。

さらにFIPでも差が開いた。これは奪三振、与四球、被本塁打から計算される指標で、野手の守備能力など外的要因を極力除いた投手の真の実力を示すとも考えられている。擬似防御率との見方もされるこの指標の数値は2015年までは2.98だったが、2016年以降は3.99。偶然にもK/BBと同じくほぼ1.00数値が悪化している。

最近3年間の2軍成績は入団から3年間と酷似

不振に陥り2017年からは鳴尾浜で過ごす時間が増えた。ただ過去3シーズンのファームでの成績を合計するとFIPは2.86、K/BBは2.58。実は2015年までの1軍成績とほぼ同じになる。もちろん相手打者のレベルも下がるため単純比較は出来ないが、3年続けて安定した成績を残せている以上、下でやることはないと考えるのが自然だ。

1軍で結果を残せない原因が技術不足だとするならば、現在の藤浪は2軍でなら活躍出来るが1軍では通用しない1軍半レベルの選手だということになってしまう。中には2軍の帝王というありがたくない称号を与えられてしまう選手もいるが、誰が見ても一目でわかるポテンシャルを秘めた藤浪がそういった選手と同列であるとは考えにくい。

2軍でできることが1軍ではできない…

ファームでは出来ていたことが1軍だと出来ない、それはメンタルが原因で本来の技術、パフォーマンスが発揮出来ていないということになるのではないだろうか。

毎年オフには様々な考え方を取り入れたトレーニングを実施し、キャンプでは山本昌臨時投手コーチのアドバイスを受けた。今季こその復活が期待されているが、実戦ではもどかしい投球が続く。新聞の見出しが「新フォームに手応え」ではなく「辿り着いた無の境地」になった時が復活の第一歩になるのかもしれない。

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