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8・9番打者が優秀な阪神打線 “切り込み隊長”次第で大量得点も【打順別データで見る阪神】

2020 2/29 06:00青木スラッガー
阪神タイガースの梅野隆太郎ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

新外国人大砲を補強も……課題は1番打者

ここ何年かは貧打に悩むシーズンが続いている阪神。リーグ屈指の投手陣を抱えるだけに、野手陣の働き次第では、一気に優勝候補に躍り出る可能性もあるだろう。打力向上のためにはどのような部分がポイントとなるのか、2019年シーズンの打順別データから探っていきたい。

阪神の打順別打撃成績ⒸSPAIA

昨季のチーム得点538点はリーグワースト。打順別のOPSは1番から7番までがリーグ5位以下と全体的に低調に終わった。打線の中心である4番打者もOPSは両リーグワーストの.741。糸井嘉男、福留孝介と主軸の高齢化も課題になってくる。

その中で球団は、大リーグ通算92本塁打の左打者ジャスティン・ボーアと、昨季韓国プロ野球で打点王に輝いた右打者ジェリー・サンズの左右の主砲候補を獲得。今季にかける本気度が伺える積極的な補強で中軸候補は充実した。彼らの活躍によっては昨季4番打者として470打席に立った大山悠輔も、もう少し楽な打順で力を発揮しやすくなるのではないだろうか。

中軸は新外国人に期待となるが、昨季の戦いでもうひとつ課題が見えたのが1番打者だ。

2019年セ・リーグ1番打者打撃成績ⒸSPAIA

阪神のトップバッターといえば、昨季はルーキーの近本光司が盗塁王に加えセ・リーグの新人最多安打記録を更新する活躍を見せた。しかし、出塁率で見ると近本のシーズン成績は.313、阪神の1番打者成績はリーグワーストの.290。チャンスメーカーという1番に求められる役割を考えれば満足のいく数字ではなかった。

8・9番の打力はリーグトップ

1番打者次第で、阪神打線は大きく化ける可能性もある。8・9番打者の数字に注目したい。

2019年セ・リーグ8番・9番打者OPSⒸSPAIA

9番打者OPSの.522はリーグ2位で、後半戦から野手を9番に置くラインナップを組んだDeNAとほぼ変わらない数字だ。上本、髙山、北條、原口文仁と代打で力を発揮する打者が多かった。

リーグトップのOPS.732を記録した8番打者は、正捕手として不動の地位を築きつつある梅野隆太郎の存在が光った。梅野のシーズン成績は打率.266・OPS.718だったが、8番出場時は168打席で打率.308・OPS.803の成績を残している。他球団を見ても捕手は負担の少ない7番、8番に入るケースが多いが、その中で阪神は“打てる捕手”がいるというのは大きい。

8番打者と代打陣が優秀なだけに、1番打者も続けば中軸につながって大量得点のチャンスが生まれる。こういった点から見ても、やはり1番を担う選手は重要だ。

矢野燿大監督は今季の打線の形として、併殺の可能性が低い近本を2番で活かす方針を早くから打ち立て、1番には新たな打者を確立しようとしている。候補となるのは遊撃手を争う木浪聖也や北條史也、二塁手を争う糸原健斗や上本博紀、外野の一枠を狙う髙山俊ら。中軸の形次第で糸井の名前も挙がってくるが、打力を向上させ1番に定着する若手が出てきてくれるのがベストだろう。チームを勝利に導く“切り込み隊長”は現れるか。

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